ポケットの中の喧騒
No.11〜No.20


No.11 プール服

 これも本編に登場せず、図鑑にのみ記載された道具。図鑑の絵を見る限り、ビニールかなにかでできただぶだぶの服の中に水を入れて着て、暑さをしのぐようだ。しかし、動きずらそうだ。さらに、長時間来ていると体温で中の水が暖まり、ぬるくなるだろう。定期的に水を交換しなければならず、とても面倒だと思われる。それに、これを着て外を歩くにはかなり抵抗がある。かといって家の中でこれを着るくらいなら、クーラーをつけたほうがいい。なんのための道具なんだか。

No.12 チャンバラ刀

 チャンバラごっこ用の刀。ただしこれは本当に切れる。「もとどおりにくっつくのりがあるからだいじょうぶ」らしいが、そういう問題だろうか。人道上よくないだろう。

No.13 実物福笑い

 これは道具というより遊び。「手術てぶくろ」という人間の目や鼻といった顔のパーツを自由に取ったり付けたりするどうぐで、自分の顔を福笑いにしてあそぶのだ。しかし、顔で遊んでいいのか?

No.14 バイバイン

 この液体をかけたものは5分ごとに分裂して2倍になるという錬金術のような薬品。のび太はおいしいくりまんじゅうが食べるとなくなることをおしみ、くりまんじゅうにこれをかけた。最初は食べてもなくならないくりまんじゅうに大喜びだったが、調子にのったせいでくりまんじゅうはどんどん増え、ママや友達にも協力を求めたが、彼らも食べきれなかった。残ったまんじゅうは2時間15分で1億個以上に分裂し、1日で地球はくりまんじゅうの底に埋まってしまう。結局、大量のくりまんじゅうはふろしきに包まれ、ロケットで宇宙の彼方に送られた。物語はここで終わる。しかし、くりまんじゅうは宇宙を飛ぶ間にも増え続ける。もしロケットがどこか生命のいる星に不時着しそこがくりまんじゅうの底に埋まってその星の生物が絶滅したら、のび太はどう責任をとるのだろう。

No.15 イキアタリバッタリサイキンメーカー

 細菌を製造する機械。ただし、どんな細菌ができるかはその名の通りいきあたりばったり、運勝負。うまくいけば酵母菌やビフィズス菌のような、人類の役に立つ細菌ができる。事実、のび太は木の葉を発酵させておいしいジュースをつくる細菌を作り出した。反面、ボツリヌス菌やペスト菌を上回るおそろしい細菌を作ることもある。事実のび太は「ドラや菌」という恐ろしい細菌を作り出してしまった。これは空気を吸って無限に大きくなるドラ焼き型の細菌で、ドラえもんがこの細菌を知っていたところをみると、未来でもこれが誕生したことがあったらしい。幸い巨大ドラ焼きは、のび太がそれ以前に作っていたドラ焼きを空気にかえる細菌にふれて消滅した。しかし、こんな危険な装置を作った会社、そしてそれを認可した官庁はどういうつもりだったのだろう。

No.16 ウラオモテックス

 湿布のようなもので、これを貼られると裏でこそこそやっていたことを大っぴらにやるようになる。偽善を行っていたスネ夫は、これを貼られたために本性をバラす行動をとってしまった。政治家や悪徳業者にはぜひ貼ってみたい。後ろめたいことのある人は、これを貼られる前に正しく生きるように努めましょう。

No.17 恐怖症スタンプ

 一見普通のスタンプ。しかし押す面にマジックで何か形を描き、そのスタンプを人に押すと、その人はその形がとても恐ろしくなる。例えば四角を描いて押すと、その人は本、ドアなど、あらゆる四角いものが怖くなる。しかし、人を何かの恐怖症にする道具など、なんのためにつくられたのだろう。犯罪のにおいがする。

No.18 びっくり箱ステッキ

 なにか開ける物をこのステッキでたたくと、何でもびっくり箱になる。劇中では机の引き出し、ごみ箱、はては鍋までびっくり箱になった。しかし、やはり製作の意図がわからない。なんでもびっくり箱にしたところで、一体何の意味があるのだろう。

No.19 予定メモ帳

 次のような道具だった。外見は普通のメモ帳と変わり無い。ところがこの道具は「もしもボックス」並にすごい。この予定帳には「○○が」「××に」「△△で」「□□と」「☆☆をする」という5Wの文が書いてあり、「○○」といった名詞の入る場所は空欄になっている。そこに何かを書き込めば、本当に文面通りのことが起こるのだ。これさえあれば大金持ちになることも世界征服も思いのままだ。すごい。しかしこの道具、欠点と言うほどではないが、注意すべきことがある。もし空欄の部分にあいまいな表現を使うと、期待していたことが起こらないらしい。のび太はこの道具を使ってしずかちゃんとのキスを企む。ところが肝心の「☆☆をする」のところに「チューをする」と書いてしまったのがまずかった。実際起こった出来事はしずかちゃんとのキスではなく、万年筆のインクが詰まったしずかちゃんが万年筆をいじったときに勢いよく飛び出したインクが、「チュー」とのび太の顔を直撃するというアクシデントだった。本当にストレートな表現をしなければならないらしい。気をつけよう。

No.20 けんか手ぶくろ

 この道具の外見は普通のボクシンググローブとなんら変わりはない。名前からするとはめるとけんかが強くなるように思えるがそうではない。はめたとたんに、自分の手が強烈なストレートやアッパーを自分の顔にかましてくる。要するに、一人でけんかができるのだ。しかし、何の意味があるのだろう。けんかが弱い人はそのまま殴り続けられ、危険だ。かといってけんかが強い人がはめても、倒すべき相手はどこにいるのか。不毛な道具だ。



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