No.61 地球消しゴムと地球鉛筆


 あまりにもさりげなく登場していたので、今まで見逃してきたが実はとんでもない道具。話の中でもちょろっと使われていただけで、全くその危険性に気づかなかったのだ。

 この道具が登場する話は、ベイルートから飛び立った気球が地球一周を目指し、ひたすら東へと進む旅に出発したことを伝えるニュース番組をのび太とドラえもんが見ているところから始まる。ジャイアンとスネ夫は早速実験を始めた。木の箱に風船をたくさん取り付け、裏山から飛ぼうとしたのである。結果は言うまでもないが、箱に乗ったジャイアンは哀れ崖から落下し負傷。間抜け。こんなものを実験とは呼べないが、彼らは「気球で世界一周なんて、絶対に無理なんだ。」「あの冒険は必ず失敗するよ」としずかちゃんに力説した。そして、一部始終を見ていたドラえもんとのび太に笑われる。怒った彼らは気球旅行が成功するか、ゲンコツ百発を賭けた賭けを二人に挑んだのである。輪をかけて間抜けとしか言いようがない。よりにもよってドラえもん相手に賭けを挑むとは。向こうが気球がピンチに陥る度に秘密道具でなんとかしてしまうのは目に見えているのだから、勝ち目などゼロである。「男には負けるとわかっていてもやらなきゃならない勝負がある」などというセリフを特撮でよく聞くが、そんな状況でもない。いい加減、自分達がパターンマンガの世界に生きていることを理解しろよ。それはともかく、ドラえもん達は気球旅行を成功させるため、秘密道具を使って彼らの旅を助けるのである。地球消しゴムと地球鉛筆は、そのような状況の中で使われた。

 気球がパキスタン北部で消息を絶った。ヒマラヤ山脈のあるこの地で、山越えができずにいたのである。早速ドラえもんは秘密道具で彼らを助ける。「地球消しゴム」が登場したのはこの時である。ドラえもんが「EARTH ERASER」と書かれたこの消しゴムで地図の上のヒマラヤ山脈をこするとあら不思議。山がみるみるうちに低くなり、気球は無事に山越えを果たすことができた。ドラえもんは「気球が通り過ぎたら、地球鉛筆でまたかいておけばいい」と言う。出番はこれだけ。話はこの後もピンチにおちいった気球を二人が助け、日本にやってきた気球が空き地の上空を飛ぶところをのび太達が眺めるところで終わる。

 劇中ではこれほどさりげなく描かれていたが、実はこの道具、とんでもなく危険な道具ではないだろうか? 考えてみてほしい。地図に載ってさえいれば、地球上のどんな場所でも消しゴム一つで文字通り消されてしまうのである。どこかの国の元首が、日頃仲の悪い国の首都をこれを使って消してしまう、なんてことは簡単に思い浮かぶ。核兵器よりも効率的に都市を破壊できるこんな道具を野放しにしておいていいはずがない。消しゴムだけではない。鉛筆だって、十分危ない。例えば、どこかの国の元首が日頃仲の悪い国の農業にダメージを負わせたいと考えたとしよう。彼は秘書に地図を持ってこさせ、その国の穀倉地帯の周りを囲むように、鉛筆を使って高い山脈を描いてしまう。そうすると、穀倉地帯に雨を運んでいた雲は高い山によってさえぎられ、穀倉地帯に雨が降らなくなる。結果、穀倉地帯は砂漠化してしまい、その国の農業は大打撃を受けるだろう。もちろん、消しゴムにせよ鉛筆にせよ、この道具を使った攻撃はただちに知られるところとなる。結果、この道具を使った報復が行われるはずだ。両国の都市がボコボコ姿を消していくだろう。もしかしたら、未来の世界ではこんな事態が恐れられるあまり、紙に書かれた地図など存在しないのかもしれない。もっぱらどこでもドアやカーナビを利用した移動。ますます運動不足になる。

 とにかく、ちょこっと登場しただけの道具の中にも、こんな危ない道具が潜んでいることがあるのである。油断も隙もあったものじゃない。

No.62 戦車ズボン


 「ウルトラセブン」第28話「700キロを突っ走れ!」に、恐竜戦車という怪獣が出てきたことがある。「ウルトラセブン」は地球侵略を企む宇宙人に、ウルトラ警備隊とウルトラセブンが立ち向かうという話がほとんどなので、エレキングをはじめとする怪獣達はほとんどが彼らの侵略兵器だった。恐竜戦車も例外ではなく、キル星人という宇宙人の侵略兵器だった。恐竜戦車はその名の通り、恐竜(というか怪獣)が戦車の上に乗っかったような怪獣である。キャタピラでセブンの腕を轢いたり、三連装砲を撃ったり、尻尾でセブンを打ち据えたり、多彩な攻撃を見せてくれた。恐竜と戦車というどちらもパワフルなイメージを持つものを組み合わせて、1+1=2以上のものを作り上げることができた、という感じで、個人的にはかなり好きな怪獣である。が、「ドラえもん」では、戦車は恐竜のようなパワフルなイメージをもつものではなく、全く予想のつかないものと組み合わされてしまった。なにかというと、それはなんとズボンなのである。なぜ、戦車とズボンなどという組み合わせができてしまったのだろうか?

 空き地でジャイアンとスネ夫とサッカーで遊ぶのび太。が、ジャイアンにボールをぶつけられ、その拍子に水たまりに尻餅をつき、ズボンを汚してしまった。家に帰るが、その少し前にもズボンを汚していたため、ママに「もうズボンはありません」と言われる。ブリーフ一丁でいるわけにもいかないので、のび太はドラえもんにズボンを出してと頼む。しかし、家庭科が専門のドラミならまだしも、ドラえもんはズボンなどもっていない。「ちょっと変わったズボンならあるけど」と言って取り出したのが、戦車ズボンだった。戦車ズボンの形は、まるっきり戦車そのものだ。キャタピラも砲身もついている。「これがズボン?」と驚くのび太だが、ドラえもんは「ポケットもおしっこするとこもついてるよ」と言う。なるほど、確かにポケットはついている。しかし、ファスナーはどこに・・・? この疑問は後ほど。さて、このズボンは普通のズボンのようにはくことはできない。はくというより、ズボンの中に正座するのである。そのため、これをはくとあたかもゲッター3やガンタンクのような下半身戦車系ロボットのような姿になる。ただし、歩く必要はない。キャタピラが動いて、心に思ったように動いてくれるのだ。さらに、壁を登ったり天井を走ったりすることもできる。戦車らしく、行動範囲を選ばないわけだ。これをはいたのび太は空き地へ向かう。そこでサッカーをしていたジャイアンにボールをぶつけたり彼の体を戦車で登ったりしていらだたせたあと、高速走行で翻弄、とどめに体当たりで水たまりに突き落とし、泣かせた。上機嫌でドライブを楽しむのび太。しかし、途中でトイレに行きたくなり、全速力で家まで走る。しかし、間に合わない。「ドラえも〜ん」と叫ぶのび太の声を聞いてドラえもんが行ってみる。すると、のび太は戦車の砲身部分からおしっこをもらしながら走り(失礼)、ドラえもんは「よるな、よるな」と必死で逃げ回る。そう、ここにいたって先ほどの疑問が解ける。砲身がファスナー代わりだったのだ。えらく不便である。なにもそこまで戦車の形状にこだわらなくてもいいのに。このズボンの製作者、よっぽど戦車好きだったのだろう。結局のび太はまたズボンを汚してしまった。最後のコマ、戦車ズボンを物干し竿に干そうとしているママのいやそうな顔がいい。普通のズボンとは大きく違うこのズボンをどうやって干すのか、非常に気になってしまう。

 結局、なぜこのズボンはつくられたのだろう。いくら考えても、戦車とズボンを組み合わせる必然性が浮かんでこないのだ。いろんなところを走れたり、それなりに利点はあるのだが。正座しなれない人は、はいているうちに足がしびれてくることもあるだろう。未来人特有のファッションセンスと考えるしかないだろう。

No.63 人間切断機


 お待たせしました(?)、人間シリーズの登場です! というわけで、人間切断機のご登場。名前からしてすでにやばいが、どのような道具なのだろうか?

 テレビを見るのび太。しかしそこへ、ママがお使いを頼んでくる。今いいところなので、テレビの前を離れたくない。テレビを見ながらお使いに行けないものかと泣きながらドラえもんに訴えるのび太。なにもそこまで・・・。それはともかく、ドラえもんは一つの大きな機械を取り出した。まず大きなベッド。のび太はそれに縛り付けられる。それに続いて取り出されたのは、なんと大きな回転ノコギリ。そう、よくショッカーとかが捕らえたヒーローを処刑しようとするときなどによく使うアレである。ドラえもんがそれをベッドに取り付けると、回転ノコギリは恐ろしい音をたてながら回転を始める。カッパーフィールドのイリュージョンのように手品をやるのかと思っていたら、なんとのび太の体は腹をちょん切られ真っ二つに! 「ほんとに切るやつがあるか!」と大騒ぎするのび太だが、別段体に異常はないようだ。そう、これこそがドラえもんの考え出した「テレビを見ながらお使いに行く方法」だったのである。大騒ぎするのび太に、ドラえもんは「心配するな。簡単にくっつくのりがあるから。」 そういう問題か? テレビを見ながらお使いに行くというくだらない目的のために体を真っ二つにするというのは、いくらなんでもやりすぎじゃないのか? 上半身の代わりにお皿のような電子頭脳を取り付けられた下半身はお金を乗せて電気屋さんまで行き、電球を買ってきた。この電気屋のおじさん、下半身だけが歩いて買い物にきたというのに、少し驚いたようなそぶりを見せただけである。異常だ。私ならばダルマみたいな青いロボットが前から歩いてきたって肝を潰すだろうが、下半身だけが歩いていたら誰だって大騒ぎするだろう。もしかしたらこの町の人は、未来から来たネコ型ロボットとその周囲の子ども達が巻き起こす騒動に慣れっこになってしまって、ちょっとやそっとのことでは驚かないのかもしれない。ところが、この後事態は思わぬ方向へと進み始める。のび太は面倒なことはすべて下半身に押しつけていたが、下半身は上半身がないことですばやく動けることに気づき、上半身の言うことを聞かなくなったのである。上半身のび太は「このまま足が戻らなかったらどうしよう」と途方に暮れるが、ドラえもんが奇策を思いつく。ドラえもんの指示に従い、水をがぶ飲みする上半身のび太。一方そのころ下半身はトイレに行きたくなり、公衆便所へ入る。しかし、彼は気づいた。「このままじゃできない!」 そう、ファスナーを下ろせないのである。進退極まった下半身は、やむなく上半身のもとへと戻ったのである。しかしこの理屈、言うまでもなくおかしい。なぜ切り離された上半身と下半身が循環器系を共有しているのか? なぜ上半身が飲んだ水が、切り離された下半身へと伝わるのか? いろんな道具を紹介してきたが、これほど科学を豪快に無視した道具は見たことがない。

 この道具に関しては、特に言うことはない。「おいそれと人の体を真っ二つにするな」これだけである。

No.64 人間すごろく


 再び「人間シリーズ」。今度は「人間すごろく」である。名前からして、人間を遊びに使うものであることはおわかりになれると思う。

 しずかちゃん達を家に誘って遊ぼうとするのび太。外へ迎えに行き、何をして遊ぶのかと聞かれたのび太は、なんと幼稚園の頃の雑誌の付録についていたすごろくで遊ぼうと言い出すのである。これにはしずか達三人はあきれ、のび太など相手にせず3人だけで遊ぼうと帰ってしまった。当然である。小学四年にもなって、幼稚園雑誌の付録などで遊べるものか。しかしこの話を聞いたドラえもんは怒り、「みんなですごろくしよう」とポケットから何かを取り出そうとした。一方そのころ、協議の末スネ夫の家で遊ぶことになった三人は彼の家へと向かっていたが、突然ジャイアンとスネ夫がくるりと向きを変え、意に反して空き地に来させられ、ピタッと止まって動けなくなってしまった。しずかちゃんはこれに怒り、のび太の家へ。そこではのび太とドラえもんが、すごろくを用意して待っていた。しかし、ただのすごろくではなく、ドラえもんがつくった物だという。このすごろくはのび太の町内を舞台としたもので、空き地がふりだし、のび太の家があがりとなっている。そしてコマは、なぜかジャイアンとスネ夫。もうおわかりだろう。これは人間をコマとして実際に動かしていくゲームなのだ。しずかがスネ夫、のび太がジャイアンのコマを使って遊ぶ。さて、しずかがサイコロを振ってコマを移動させると、スネ夫もまるでコマのようにヒョイと動かされる。負けずにのび太もサイコロを振り、コマの二人はそのとおりに動かされる。わけのわからない二人。と、しずかちゃんが「歌を歌う」というマスに止まった。しかしのび太は「いいんだ、君は歌わなくて」と言う。そのころスネ夫は路上で「音符のように〜すれちがってゆくのよ・・・」(松田聖子の「天使のウインク」という歌らしい。よりにもよって私の一番嫌いな歌手の歌を・・・)と歌っていた。その後も二人はのび太としずかのサイコロに翻弄され、交番の前で一回休みになったり、犬の前で三回回ってワンと言わされたりと、さんざんな目にあった。中でもしずかちゃんが「ふりだしにもどる」に止まった時はひどく、彼女がポイとコマをふりだしに放り投げたため、スネ夫は「ドタ!!」とすごい音を立てて空き地に落下。知らなかったとはいえ、ひどい仕打ちだ。どう見ても腰を強打している。この年で腰痛に苦しむようなことになったら、しゃれにならんぞ。さて、サイコロに翻弄され続けた二人は、家の二人があがったために、ようやくのび太の家にたどり着くことができた。家に来た二人にのび太は「やあ、みんなですごろくして楽しかったねえ」と言うが、二人は何がなんだかわからないという表情をするばかりだった。

 このすごろく、二つ疑問がある。まず、「ドラえもんがつくった」という点だ。既製品ではないのである。おそらく「人間すごろく製作セット」みたいなものがあって、ドラえもんはそれを使ってこのすごろくをつくったのだろう。ということは、どんな人間をコマにするも、どんな場所をフィールドにするも思いのままということだ。危なすぎる。あなたが突然サイコロのコマにされて意に反して動かされたり、製作者が作った勝手な罰ゲームをさせられたりしたら、これほどイヤなことはあるまい。もう一つは、ゲーム性の問題である。劇中、ジャイアンとスネ夫は自分達がコマにされていることを知らなかった。まあこれは当たり前だ、コマになることを承知してくれる人などいるはずがない。しかし問題は、しずかちゃんは自分のやっているすごろくが「人間すごろく」であることを知らず、普通のすごろくだと思ってやっていたことである。そう、知らない人間にとっては、これは単なる普通のすごろくと同じなのである。このすごろく本来のおもしろさを楽しむには、自分達のサイコロによって翻弄される人間をテレビモニターなどで見ないと味わえないはずである(もっともそれはバラエティ番組の罰ゲームのように、かなりサディスティックな楽しみなのだが・・・)。普通にすごろくをやっていたのでは、あまり面白くないだろう。せっかくの人間すごろくなのだから、せめてコマとされる哀れな人たちの運命ぐらい見届けるべきである。

 文字通り人間の運命を翻弄するゲーム、人間すごろく。「人を遊びに使うな」という怒り文句があるが、この言葉はドラえもんにかかれば文字通りの意味となる。皆さんもすごろくのコマにされないように気をつけよう。もっとも人間というものも、もしかしたら我々よりも高次元にいる誰か(例えば神様)がすごろく遊びに使っているコマにすぎないのかもしれないし、その意味では人生も人間すごろくも、たいして違わないものではあるが。

No.65 人間うつし


 最後に3つめの「人間シリーズ」を紹介しよう。人間うつし。この道具の名前を聞いて、これがどんな道具なのかを予想できる人は少ないだろう。なんとなく楳図かづおの恐怖漫画を連想させる名前だが、事実その通り、たいへん恐ろしい道具なのである。

 いつものごとく、ママにこっぴどく怒られたのび太。「つくづく考えたんだが・・・」とドラえもんに話を切り出す。ようやく人並みに努力する気になったかと期待したドラえもんだったが、のび太の考えはさにあらず。自分が人並みになるのではなく、人を自分並にするような道具はないかと相談してきたのだ。「君が考えることは、いつもどこかおかしいよ」とあきれるドラえもん。全くその通り。第一似たようなことを「ビョードー爆弾」のときにやったではないか。あきれた男であるが、ドラえもんはしぶしぶ試験管の中にはいった薬品のようなものをのび太に飲ませた。その奇妙な味に顔をしかめ、のび太はそれが何かと尋ねる。ドラえもんはこう答えた。「「人間うつし」というばい菌。」 そう、「人間うつし」とは細菌のことだったのである。ドラえもんの説明によると、この細菌は次のような性質をもっている。体内に入った細菌はそこで繁殖、やがて汗に混じって体外にだされ、さらに汗が蒸発することによって空気中を浮遊することになる。その空気を吸うと、「のび太病」にかかるというのである。のび太病! こんなに恐ろしい病気があったとは驚きだ。だいたい症状は次のようなものになるだろう。

・頭が悪くなる ・体力低下 ・意志薄弱 ・眠気がとれない ・注意散漫

・弱虫の泣き虫になる ・あきっぽくなる ・運気減少 ・無責任 ・不器用

 ざっとこんなところだろう。要するに、のび太と同じになるのである。しかもこれが、エアロゾル感染(空気・飛沫感染)するというから大変だ。こんな病気が流行したら、たちまち各国の研究機関はこの細菌をレベル4の危険なものとし、その撲滅に全力を注ぐだろう。なにしろこの病気が国中に広まれば、全国民が昼寝ばかりするようになり、たちまちあらゆる産業の生産性が0に近くなるほど低下し、あっというまに滅亡の危機を迎えることになるだろう。死ぬことはないが、社会基盤を破壊するために恐ろしさはエボラウィルスやリングウィルスにひけをとらない。さて、ドラえもんは「さあ、町中にばい菌をばらまいてこい。」ととんでもないセリフでのび太を送り出したのである。あんたはショッカーの大幹部か!? 地下鉄サリン事件以前にこんな細菌作戦が行われていたとは恐ろしい。それはともかく、のび太によってばらまかれた細菌は、翌日から猛威を振るい始めたのである。パパが寝坊し、ママはめんどくさがって料理をつくらず、クラスメートは全員遅刻、先生は問題がとけない・・・と、恐ろしい被害が出た。結局のび太は、のび太病にかかったママが料理を作ってくれないため、空腹に耐えかねて元に戻してもらった。「ビョードー爆弾」と全く同じオチである。「ぼくのやりかたは間違っていた」ようやくのび太も反省したかと思いきや、「いや、僕が考えたのはばい菌を先生に飲ませて、僕に先生をうつせば・・・」まったく反省していないうえに、とんでもないことだ。よりにもよってあんな時代遅れの成績至上主義の失格教師を蔓延させようとは、言語道断である。なんとしても阻止せねばならない。

 考えてみれば、ビョードー爆弾も人間うつしも恐ろしい道具だ。市民を思い通りの人間に変えてしまう細菌があったら、真っ先にテロ組織や悪の組織が欲しがるだろう。今回はのび太だったからまだいいが、もし殺人鬼や麻薬中毒者の体内で繁殖した人間うつしが市街地で散布されたら恐ろしいことになる。「人間」のつく道具達は、本当に忌まわしいものばかりである。

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