ドラえもん対6人のドラえもん
第2話
出現! 謎の組織DBS団
薄暗い部屋の中。ぼろぼろになった黄色い首輪のにせドラえもんが、その部屋の中に入ってきた。青息吐息で中に入り、床にばたりと倒れた。そんな彼のまわりに、なんと4人のドラえもん達が現れた。外見は全く同じだが、つけている首輪の色がそれぞれ違う。
「まったく、ひどいざまだな、No.1・・・」
緑色の首輪をつけたドラえもんが言った。
「まったくだ。あれだけ大口を叩いておいて・・・」
「あんな奴ら、俺一人で倒せると言っていたのは誰だったかな・・・」
それぞれ青と紫の首輪をつけている二人のドラえもんがあざわらった。
「おおかた、首輪の色で怪しまれたんだろう? 俺の首輪なら、あの鈍いメガネ小僧には気づかれなかっただろうがな・・・」
ピンクの首輪をつけたドラえもんが言った。仲間からバカにされ、にせドラえもんが立ち上がった。
「さっきから言わせておけば! 予想外のことが起こっただけだ! まさかあんな鬼ババがあそこにいるとは、全く知らなかったんだ! それに、お前達と一緒に行動するのは危険すぎるだろう!」
「どうだか・・・自分の実力不足を棚にあげといて・・・」
4人のにせドラえもん達は、黄色い首輪のにせドラえもんをバカにしきっていた。今にも争いが起こりそうである。その時
「やめんか、お前達!!」
厳しい声がした。5人のにせドラえもんがその方向へ振り返る。暗い闇の向こうから、白い首輪のにせドラえもんと、白衣に身を包み、奇妙な仮面をかぶった男が現れた。白衣の男はその衣装のせいで素顔はわからないが、のび太とほぼ同じぐらいの背格好だった。
「お前達、リーダーの俺の前で争いごとを起こすな!」
白い首輪のにせドラえもんの言葉に、にせドラえもん達は「ちっ、何がリーダーだよ」と内心でつぶやきながら、一応静かになった。それに続き、仮面の男が言う。
「そのくらいにしておけ。たしかに、No.1を襲った鬼ババについては、我々の調査不足だった。しかしNo.1、お前もうかつだ。ドラえもんを牢屋に改造した土管などに閉じこめなくとも、その場で破壊しておけばよかったものを。ポンコツロボットとあなどるな。調査によれば、人生経験と戦闘経験は奴の方が上だ」
「ハッ・・・」
「もういい。修理室で体を治すがいい」
「了解・・・」
黄色い首輪のにせドラえもんは、よろよろと別の部屋へ入っていった。
「まったく、惨めな奴だ」
「だが、我々はみなほぼ同じ能力。戦闘用改造をされた我らDタイプネコ型ロボットと互角に渡り合うとは、ドラえもん、やはりあなどれませんな・・・」
「ドクトル・D、次はどうすれば?」
「ディーと呼ぶな! 「デー」だ! リ○ビタンDのデーだ! 何度言ったらわかるんだ!」
白衣の男が怒る。白い首輪のにせドラえもんがなだめにかかった。
「すみません、ドクトル・D(デー)。しかし、やはりDはディーと発音した方が・・・」
「うるさい! 私はデーの方がいいのだ! 口答えするな!」
「ハッ・・・」
「まあいい。とにかくだ。我が秘密組織「ダーク・ブラック・シャドウ団」は何としてもあのメガネ小僧を葬らなければならない」
「・・・お言葉ですがドクトル・D、その名前、ドリーマーズランドのアトラクションに登場する悪役の名前じゃありませんか。我々どうも、こんな月並みな形容詞を並べただけの安直な組織名には納得いきません・・・」
白い首輪のにせドラえもんの言葉に、他のにせドラえもんもうなずく。しかし、ドクトル・Dはまたしても憤慨。
「何を言う! ダーク、ブラック、シャドウ。悪にふさわしい形容詞を3つも冠したこの名前こそ、我々にふさわしいのだ。口答えするなと言ってるだろう!」
「ハッ、失礼しました」
「とにかく、シャドウドラえもんNo.1がこの作戦に失敗した以上、もはやにせドラえもん作戦は使えない。奴らと正面切って戦うしかないだろう」
「ハッ。それで、作戦は?」
「我々だけでも、十分あの二人には勝てるだろう。しかし、勝利をより確実にするためにも、いい作戦がある。お前達シャドウドラえもんに命令する。明るくなってから行動を開始し、奴の友人をここへ連れ去ってくるのだ。その際には、これを使え。即効性の麻酔薬だ」
ドクトル・Dはシャドウドラえもん達に赤いカプセルを数個ずつ渡していった。
「なるほど、人質にするわけですね」
「フフフ・・・お前もまだあまいな。それだけにはとどまらない。連れてきた奴の友人達を、ここで悪の怪人に改造するのだ。戦う相手が自分の友人だと知ったら、やつらは手出しできまい」
「おおっ、D様ったら、悪知恵♪」
「ハハハ、そんなに誉めるな。これぐらい、朝飯前だ。何しろ私は天才なんだからな。さて、皆の者、準備にかかるのだ!」
「オオーッ!!」
暗い室内に、シャドウドラえもん達の雄叫びが響いた。
夜が明け、太陽が上がった。今日は日曜日である。ジャイアンが剛田雑貨店の手伝いをさせられていると、ドラえもんがやってきた。
「やあ、ジャイアン」
「なんだ、ドラえもんか。なんか用か?」
「うん、実はね、いいものをもらったんだけど、僕やのび太君には必要ないものなんだ。ここじゃちょっとまずいから、裏の方へ・・・」
「いいものって何だ?」
「まあまあ、慌てないで。さあ、こっちへ・・・」
ドラえもんの話に、ジャイアンは食いついた。ドラえもんの言うがまま、店の裏手に誘われる。のび太に次いで鈍いジャイアンのこと、ドラえもんの首輪が白になっていることなど、気づきもしない。
「で、何なんだよ。早く戻らないと、母ちゃんに怒られちまうぜ」
「これだよ」
ドラえもんは赤いカプセルをジャイアンに見せた。
「何だこりゃ?」
「22世紀で売り出されたばかりの商品なんだ。なんと、飲んだ人の声帯をトランスフォームさせて、歌唱力を100倍にアップする薬なんだよ」
「なんだって!?」
歌唱力100倍と聞いて、ジャイアンが食い入るように見つめた。
「僕やのび太君は歌がうまくなってもしょうがないからね。やっぱりこれは、君が飲むべきじゃないかと思って。あげるよ」
「ほ、本当か!? 本当にこんないいものを・・・」
「もちろんさ、だって僕らは友達だろう?」
「こ、心の友よ!!」
ジャイアンは号泣し、ドラえもんに抱きついた。ドラえもんは笑いながら彼を引き剥がし、薬を勧めた。
「お礼なんかあとでいいよ。さあ、早くこの薬を飲んで、ますますパワーアップした君の歌声を僕に聞かせてくれ」
「ド、ドラえもん、なんていい奴なんだ!! よし、わかった! このビッグスター剛田武、心の友のためにこの薬を飲み、パワーアップした歌声で喉がかれるまで歌い続けてやるぜ!」
ジャイアンは薬をポイッと口の中に放り込んだ。その途端、彼はその場にバッタリと倒れ、グウグウといびきをかき始めた。
「ほんとに即効性だな。こんなに強力で、害はないんだろうか。それにしても、見かけ通り単純な奴だな。フフフ・・・」
シャドウドラえもんNo.2は麻酔薬の効果に驚きつつも、倒れたジャイアンを見てほくそ笑んだ。
ピンポーン
骨川家の家のチャイムが鳴らされた。
「は〜い、どなた?」
「やあ、僕だよ」
スネ夫がドアを開けると、ドラえもんが立っていた。
「なんだ、ドラえもんか。一体何の用だ?」
「その前に聞きたいんだけど、今家にママはいる?」
「いや。エステに出かけてる。何で?」
するとドラえもんは、スネ夫の耳に顔を近づけ、耳打ちした。
「実はね、22世紀ですごい薬が売り出されたんだ。君に紹介しようと思って」
「すごい薬? なんだかうさんくさいセールスみたいだな。それに、君の出す薬なんて、ろくなものがあったためしがないじゃないか」
スネ夫は疑いの視線を向けた。
「今度は本当にすごいんだって。嫌ならいいんだよ。ジャイアンや出木杉君のところに行くから。ジャイアンや出木杉君がこの薬を使ったら、今よりもっとすごいことになっちゃうけどなあ・・・」
ドラえもんが聞こえよがしに言った。いかにもといった感じだったが、スネ夫の心は揺れた。
(今よりもっとすごいことになる? どんな薬なんだ? 力が強くなる薬? 頭がよくなる薬? それとも、顔がジャニ○ズ系になる薬? ・・・まずい! ジャイアンや出木杉がそんな薬を使ったら、ますます僕の立場が危うくなる・・・!!)
やがて、スネ夫は言った。
「・・・わかった。上がってよ」
「ありがとう。それじゃおじゃまします」
ドラえもんはスネ夫の家にあがった。
「そう言えばドラえもん、いつのまに首輪が緑になったの?」
スネ夫が首輪の色に気がついた。
「おしゃれな君ならわかるだろ? もう長いこと赤い首輪だったけど、あきちゃってね。遅くなったけど、この間イメチェンしたんだ。似合うだろう?」
「・・・まあね。それよりも、その薬っていうのは?」
「これだよ」
ドラえもんは赤いカプセルを見せた。
「何の薬なんだ?」
「フフフ・・・なんと、背が高くなる薬なんだ!」
「!!」
スネ夫の表情が見る間に変わった。興味津々といった様子。
「ほ、本当かい!?」
「もちろん本当さ。君が背の低いことで悩んでるのを知っているから、君に勧めに来たのさ」
「それなら、まず君が飲んで見せてよ」
「さすがに用心深いね。もちろん、OKだよ」
ドラえもんはカプセルの一つを口に放り込んだ。とたんにドラえもんの背がぐーんと伸び、180cmぐらいになった。はっきり言って、不気味な姿である。スネ夫は腰を抜かした。
「す、すごい!! でも、そんなに高くなるのは・・・」
「自分でどれぐらい大きくなりたいか願いながら飲むのさ。そうすれば、思い通りの大きさになれる」
「な、なるほど・・・」
「どう? 欲しいかい?」
「もちろんだよ! ぜひ譲ってくれ! お金はいくらでも出すから!」
「そんなものはいらないよ。君の唯一の欠点を補って、完璧な美少年を見てみたいだけさ」
その言葉が、スネ夫にとどめをさした。
「ド、ドラえもん! 君って本当は、ものすごくいい奴だったんだな!!」
「今頃何を言ってるんだい? さあ、早く飲んでごらん。パーフェクト美少年、骨川スネ夫が見たくて
たまらないんだ」
「よーっし! 憂鬱だった頃の自分に、さよならだ!! さあ、レッツ成長!!」
彼はそう言って意気込んでカプセルを飲み込み、直後倒れて寝息をたて始めた。それからすぐに、180cmのドラえもんが元の姿に縮んだ。
「さっき飲んでみせた薬は、ダミーだったんだよ。やれやれ、子供のくせに、ずいぶんと慎重な奴だったな。ひねた金持ちのガキっていうのは、こうだから困る。だが、敏腕セールスマン話術ソフトをインストールしたこの俺のミラクルなトークの前では、敵ではなかったな。さて、本部に連れて帰ろう」
シャドウドラえもんNo.3は、そう言ってスネ夫を抱え上げた。
ピンポーン
源家のドアのチャイムが鳴らされた。
「はーい」
ドアが開いて出てきたのは、しずかちゃんのママだった。
「こんにちは」
「あら、ドラちゃん。いらっしゃい」
「しずかちゃんはいますか?」
「ええ、いますよ。どうぞあがって」
「おじゃまします」
ドラえもんは源家に上がり込み、しずかちゃんの部屋のドアをノックした。
「はあい、どなた?」
「僕ドラえもんです」
ドラえもんはいつものイントネーションで言った。ドアが開き、しずかちゃんが顔を見せた。
「あらドラちゃん、いらっしゃい。入って」
「おじゃまします」
部屋に入ったドラえもんは、とりあえず床に座った。
「今日は何の用?」
「うん。のび太君と部屋の掃除をしていたら、こんなものが出てきたんだ。もしかして、しずかちゃんのじゃない?」
ドラえもんは一個の綺麗なブローチを見せた。
「まあ、綺麗なブローチ。でもこれ、私のじゃないわ」
「そう? それじゃ誰のなのかなあ。ママのものでもなかったし、お客さんのものかもしれないけど、うちって結構お客さんが多いからなあ・・・。そうだ、しずかちゃん、よかったらこれ、あげるよ」
思いもよらないことを言われ、しずかはとまどった。
「そんな、いけないわよ。誰かのものかもしれないんでしょう?」
「でも、誰も落としたことは言ってこないんだから、いいんじゃないかな。遠慮しないで、もらってよ」
「そうは言っても困るわ、やっぱり」
そんな押し問答が何回か繰り返された後、結局しずかちゃんがブローチをもらうことになった。
「それじゃ、さっそくつけてみてよ」
「・・・わかったわ」
しずかはブローチをつけた。
「わあ、似合うよしずかちゃん。とっても綺麗だ」
「そお?」
まんざらではない顔をするしずか。しかし、ドラえもんはさらに言った。
「でも、もっと綺麗になれる方法があるんだけどなあ・・・」
「えっ? 何、それ?」
さすがに子供とはいえ女ということか、しずかがその言葉に食いついてきた。
「いや、この間未来に帰ったときにね、こんな薬が手に入ったんだ。肌の張りを強くして、しわができないようにする薬だってさ」
ドラえもんはそう言って、しずかに瓶に入った赤いカプセルを見せた。
「そうだ、しずかちゃん、これを飲んでみなよ」
「ええ? そんな、そんなことを気にするのは、まだ早いわよ」
「そうかもね。でももう少ししたら、そういうことにも気を使わなくちゃならないときが出てくるかもしれない。そんな時のために、持っておいた方がいいと思うけど・・・」
しずかはしばらく考えていたが、やがて言った。
「・・・そうね。そういうこともあるかもしれないわね。ドラちゃん、この薬、もらっておくわ。ありがとう」
「どういたしまして。ずっとかわいいままのしずかちゃんでいられると思うと、僕もうれしいよ。それじゃ、僕はこの辺で」
「もう帰っちゃうの?」
「のび太君が宿題をやってるから、その監視にね。もしかしたら、もう逃げてるかもしれないけど。それじゃあ」
そう言ってドラえもんは、しずかの部屋から出て少し歩き、立ち止まり、壁に耳をあてた。直後、中からドタッという音がした。彼が再び部屋の中に入ると、そこには倒れているしずかと、転がっている空の瓶があった。それを見て、シャドウドラえもんNo.6がつぶやく。
「子供といっても、やっぱり女だな。美しさを保つためには、何でもする。かつてジゴロのNo.6と呼ばれたこの俺にとっては、格好のカモだった」
それからしばらくして、シャドウドラえもんNo.3がスネ夫を、シャドウドラえもんNo.6がしずかちゃんを、ダーク・ブラック・シャドウ団の本部へと運んできた。ドクトル・DとシャドウドラえもんNo.1,3、6が、眠ったまま手術台に寝かされている二人を見下ろした。
「フフフ・・・作戦は順調に進んでいるようだな。あとはNo.2が、剛田武を運んでくれば・・・」
その時改造手術室のドアが開き、ジャイアンを背負ったシャドウドラえもんNo.2が中に入ってきた。
「お待たせしました・・・」
「遅かったな、No.2」
「こいつが小学生とは思えないくらい重いせいですよ。まったく、まるでブタみたいに重いゴリラだ。ちょっとはダイエットしやがれ」
手術台に寝かされたジャイアンの腹をNo.2が叩いたが、ジャイアンは相変わらずグウグウ眠っている。
「さて、それでは改造手術を始めるとしよう」
「ハッ」
そろった3人を眺めて、ドクトル・Dが言った。だが、彼は別なことに気づいた。
「おい、No.4とNo.5はどうした? あいつらは、本部で待機ではなかったのか?」
「そのはずですが・・・いませんね」
「そういえば、出て行くところを見たような・・・」
No.1が言った。
「もしかして、あいつらも怪人の素材を見つけにいったんじゃ・・・」
「だが、こいつら以外にそんな奴らはいるのか?」
ドクトル・Dが手術台の3人を見て言った。その時、手術室のドアが開いてNo.4、No.5が誰かを背負って入ってきた。
「遅くなりました。おい、No.5、早く来いよ」
「わかってるよ。そっちと違って、こいつは重いんだ・・・」
二人が背負ってきた人物を見て、手術室にいた連中は驚いた。No.4が背負っているのは、帽子をかぶった少年。No.5が背負ってきたのは、デブという以外にはこれといって特徴のない少年だった。
「お、お前達、そいつらは・・・」
子供が捨て犬を拾ってきたときの母親のような感じで、ドクトル・Dが驚いた。
「空き地でキャッチボールをしているところを連れてきました」
「そんなことはどうでもいい。誰だこいつらは? 我々のデータにもない人物だぞ」
「だからこそいいんじゃないですか。そういうところにこそ、まだ見ぬ強豪がなりを潜めてるものです。ひょっとしたら、とんでもない力をもっているかもしれませんよ」
「まあ、たしかに戦闘力は未知数だが・・・」
「それに、こいつらどうやら脇役のようです。俺が声をかけたら、主役と絡めると思って、餌を前にした犬みたいにわきめもふらずやって来て、なんの説明もしないうちに差し出した薬を勝手に飲んじゃいました。気の毒なくらい、出番に飢えてるようです。脇役なら、主役のドラえもんとのび太にも、もとから強い対抗心をもっているはずです。奴らに立ち向かわせるには、うってつけじゃありませんか。それに、どっちにしても手駒は多い方がいいでしょう?」
妙な理屈が通っていた。ここまで言われると、ドクトル・Dも首を振るわけにはいかなかった。
「しかたがない。こいつらも改造しよう。それで、こいつらの名前は?」
「帽子とデブでいいんじゃないですか? 脇役なんですし」
No.1がなげやりな感じで言った。
「ちょっとそれはひどいな。脇役といえど、人権はある。せめて、名前ぐらい知っておくべきだ」
ドクトル・Dが反論した。これから人を怪人に改造しようという奴が、人権などという言葉を口にするのは絶対おかしいはずだが、自分達は名前どころかナンバーで呼ばれているにも関わらず、シャドウドラえもん達は口をつぐんでいた。
「帽子の奴は帽子に名前が書かれていました。「安雄」というそうです」
「デブの方は、ハンカチに名前が書かれていました。「はる夫」という名前だそうです」
「安雄にはる夫、か。名前まで特徴のない奴らだな。しかし、二人も増えたとなると、ちょっと手術を急がなくては。ちゃっちゃとこなすぞ。すぐにオペの用意だ」
「イエッサー!!」
そして、手術室の中がにわかに騒がしくなりだした。電気ノコギリのうなる音や、使ったメスを金属のトレイに置く音、電子レンジの「チーン」という音や、「サル、ゴリラチンパンジー♪」と歌う合唱、「1、2、3、ダーッ!!」という叫び声などが、手術室の中から聞こえてきた。そんな状態がおよそ半日も続いたあと、手術室の中から歓声があがった。
「最後にセミの抜け殻で味を調えて、と・・・よーし、完成だ! ついに我がダーク・ブラック・シャドウ団の最強怪人軍団が誕生したのだ!」
「こ、これが最強なんですか・・・?」
「もちろんだ。怪人軍団よ、お前達の力で、にっくきドラえもんとのび太をこの地上から抹殺するのだ!!」
「シャシャーック!!」
「ドガア!!」
「ニャオーン!!」
「メカメカーッ!!」
「フモモモモモ!!」
手術室の中から、奇怪な叫び声が聞こえてきた。ついにDBS団最強怪人軍団が、ここに誕生したのである。
次回予告
DBS団の魔の手に墜ちたしずかたち。その危機を知ったドラえもんとのび太は、DBS団の本部へ
突入する。しかしそこには、DBS団の仕掛けた恐るべき罠が待ち受けていたのだった。次回
「ドラえもん対6人のドラえもん」第3話「突入! DBS団本部」 ご期待下さい。
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