〜ドラえもん のび太と異世界の盗賊〜


第10話


振り子を手にした者




イメージBGM:通常ダンジョン
 大部屋に戻ったドラえもん達。ここでドラえもんは、もう使えなくなったしずかのスモールライトをポケットにしまうと、代わりの武器を出す事にした。
(ドラえもん、ひみつ道具判定…成功)
 「こんなに早くスモールライトが使えなくなるなんて…やっぱりこの世界で使った影響なのかな…ショックガンがもう一つあった。これにしよう」

 ドラえもんはショックガンをポケットから取り出し、しずかに渡した。その時…

 「…?」

 のび太がドラえもんのポケットを見ながら、首を傾げる。

 「どうしたの、のび太君?」

 「…ねえ、今ポケットから、何か変な物が出てなかった?」

 「変な物って?」

 「丸くて金色の物が、ポケットの端の方に出てた気がしたんだけど…」

 「丸くて金色の物? さあ、ぼくはそんな物入れた覚えはないけど…見間違いじゃない?」

 「…そうかなあ…」

 のび太はあまり納得していなかったが、とりあえず気のせいだと思う事にした。

 その後6人は、まだ試していない、もう1つの出口を試す事にした。そこからは、ドクンドクンという音が響いてくる。



 トンネルを進むにつれて、ドクンドクンという音がだんだん大きくなっていく。

 「ねえドラえもん、この音、まるで心臓みたいだね…」

 のび太が震えながら言う。

 「そうかも知れないね。さっきの部屋が胃だとしたら、この先に心臓があってもおかしくないよ」

 「し、心臓…って事はさ、血が流れてたりするのかな…」

 スネ夫の顔が青ざめる。

 「…でも、もし心臓なら、この神殿の命って事だよな? だったら、振り子があってもおかしくないかもな」

 「本当かダッパ? じゃあ、もうすぐじゃねえか!」

 「あっ、あれが出口かしら?」

 6人が話しているうちに、前方に出口が見えてきた。そこからトンネルを出ると、目の前に急流が現れた。

 壁から発する鈍い光の下で、その流れはとても黒っぽく見える。スネ夫がそれに近付いてみる。

 「こ、これ、血の川だよ! やっぱり、血が流れてるんだ!」

 「うーん、これが血管だとすると、この流れの上流か下流に、心臓があるのかも知れないね」

 ドラえもんが腕組みをしながら言う。

 「じゃあ、俺達は上流か下流に泳いで行けば良いのか?」

 「えーっ、ボク泳げないのに…」

 「いくらテキオー灯浴びてるから溺れないと言っても、この急流を泳ぐのは危険だと思うわ」

 「…下流には船でもあれば行けそうだな。上流は、タケコプターでも使わないと無理か」

 ダッパの意見を聞いたドラえもんは、少し考えた後、ポケットに手を入れた。
(ドラえもん、ひみつ道具判定…成功)
 「ここはダッパ君の考えで行こう。まずは船で下流を調べて、何も無かったら、タケコプターで上流を目指す。救命イカダ!」

 ドラえもんは、水に漬けると膨らみ、テントの付いた大型イカダになる、イカのようなデザインの小さな道具・救命イカダを取り出した。

 「みんな、これは水に漬けるとすぐに大きくなるけど、この急流だからすぐに走り出すはずだ。だから、大きくなったらすぐに乗ってね」

 ドラえもんはそう言うと、血の川にイカダを浮かべた。イカダはたちまき大きくなり、ドラえもんの予想通り、すぐに動き始めた。6人は急いでイカダに飛び乗った。

 幸い、6人ともイカダに飛び乗る事ができたが、川の流れはかなり速く、イカダの上にいる6人はバランスを崩しそうになる。 6人はイカダの上部にある扉を開けて、イカダの中のテントに避難した。

 イカダは急流に運ばれ、曲がり角では危うく壁にぶつかりそうになりながら方向を変えて、トンネルの中を進んでいく。

 イカダのテントの中にいた6人は、イカダの激しい揺れに思わず縮こまっていたが、そのうちに揺れが収まってきた。

 やがて揺れはかなり緩やかになり、逆にドクンドクンという音はさらに大きく聞こえるようになった。



 下流に到着したと判断した6人はテントから出て、周囲を確認する。

 そこは広い洞窟だった。ドーナツ型の血の池が、流れるプールのようになっている。その真ん中には小さな島があり、島の中央には台座が一つ置かれている。

 そして、大柄な2人の人物が、その台座のそばで取っ組み合っているような格好で立っている。

 6人はイカダを中央の島に近付けて上陸した。

 上陸して近くで見ると、2人の人物は、片方が白でもう片方が黒という色の点を除けば、どちらも全く同じ姿をした偶像だった。 顔はのっぺらぼうで、体は筋肉隆々とし、拳はハンマーのような形をしている。

 台座の上には、小型のガラス管に収められた振り子が置かれており、それがゆっくりと揺れている。振り子自体は長さ10センチほどの、非常に小さなものであった。

 「ねえ、あの振り子ってもしかして…」

 のび太が振り子を指差すと、ドラえもんは頷く。

 「間違いない。あれが”運命の振り子”だね」

 「やったぜ! ついに見つけたな!」

 ジャイアンは喜んで台座へと向かう。だがその際、黒い偶像に近付いた途端、ジャイアンはすくみ上がるかのように立ち止まった。

 「どうしたの、ジャイアン?」

 スネ夫が駆け寄ると、彼も突然、すくみ上がるかのように立ち止まった。

 その様子を気にした他の4人も近付いていき、彼らが立ち止まった理由を知った。

 「ひっ! な、何これ…」

 「な、何だかゾクッとするわ…」

 「何て言うか、ものすごい悪意を感じるって言うか…ロボットのぼくでも感じるよ…」

 「こ、これは…こっちの像から出てるみたいだな…」

 ダッパの言う通り、黒い偶像は強烈な悪意を放射しており、6人はそれを感じて悪寒が走り、思わず立ち止まってしまったのである。

 6人は試しに、白い偶像の方にも近付いてみると、こちらからは正義の心らしきものが感じられた。だがこちらも強烈で、思わず立ち止まってしまうほどだった。

 だがそれだけで、特に何も起こらなかったので、6人はそのまま台座へと向かった。

 ドラえもんが振り子を持ち上げると、それまで部屋中に響いていた心臓音が不意に止まった。続いて…


ドカッ! ドカッ!


 それまで動かなかった2つの偶像が突然動き出し、殴り合いを始めた。

 「わっ! う、動いた…」

 「な…さっきまで動かなかったのに…」

 驚くのび太とダッパ。

 「も、もしかして、ぼくがこの振り子を取ったせい…?」

 「で、でもよ、こいつら、何で殴り合ってんだ?」

 「こ、これってまさか、善と悪の戦いって奴…?」

 スネ夫の言葉は、まさにこの殴り合いを表すにふさわしい表現だった。正義の闘志を出す白い偶像と、悪意を吹き出す黒い偶像が、同じ力で殴り合い、しかも全く勝負がつかない。

 「…! ねえみんな、池の様子が変よ」

 しずかの声に、5人が池の方を見ると、それまで止まらなかった池の流れが緩やかになっている。やがて流れは止まった。

 しばらく様子を見ていると、池を満たしていた血がどんどん引いていき、やがて完全に無くなってしまった。

 「…これも、この振り子を取ったせいなのかな。でもこれで、歩いて戻れそうだね」

 ドラえもんは振り子と救命イカダをポケットにしまいながら言った。

 「…ねえ、これどうするの?」

 スネ夫が、未だに殴り合っている2つの偶像を指差して言う。

 「どうするって…勝手に喧嘩してるんだから、放っときゃ良いだろ」

 「でもジャイアン、これの白い方って、正義の味方なんじゃないの? だったらさ、黒い方を壊すのを手伝ってあげれば、白い方は僕達の味方になるんじゃない?」

 「…なるほど、一理あるな。ちょっと試してみるか!」

 ジャイアンはそう言うと、ショックスティックで黒い偶像に一撃を食らわせた。その直後に白い偶像の一撃が、黒い偶像を粉々に打ち砕いてしまった。

 敵を粉砕した白い偶像は、ジャイアンの方に向き直ると、口も無いのにしゃべり始めた。

 「私は善の偶像だ。私は汚れのあるもの、純粋でないもの全てと戦わなければならない。お前達の中には悪の部分がある。私にはそれが存在するのが見える。お前達は浄化されなければならない…」

 そして偶像は、ボクシングのごとく左右に跳ねながら拳を構えた。


イメージBGM:通常戦闘
 「な、何だよやる気か?」

 ジャイアンはショックスティックを捨てて、拳を構える。

 「あわわわわ…な、何でこんな事になっちゃってるの?」

 「悪の部分がどうこうって…ジャイアンだったのがまずかったのかな?」

 思わぬ展開に動揺するのび太とスネ夫。

 「いや、あの偶像は、ほんの少しでも悪の部分があったらダメみたいだね。正義ロープよりも厳しいんだね…」

 「厳しいって言うより、偏った正義しか持ってないんだな…」

 偶像の性質を分析するドラえもんとダッパ。

 「ちょ、ちょっとみんな、タケシさんを止めないの?」

 そう言うしずかも、ジャイアンを止めるために動こうとはしなかった。5人はジャイアンと偶像を止めるべきかどうか迷っているか、やる気満々なジャイアンに止めにくいものを感じたり、 偶像の出す正義の闘志に圧倒されたりで、何もできずにただ見ていた。
(ジャイアンVS善の偶像 戦闘判定…ジャイアンの攻撃が命中 クリティカル さらに善の偶像の攻撃は大失敗)
 拳を構えて向かい合うジャイアンと善の偶像。だがやがて…


ブオウッ!


 善の偶像が、全身から正義の闘志を全開した。目には見えないが、その強烈さはその場にいる全員が感じ取る事ができた。

 「な…な…」

 その闘志を感じ取ったジャイアンに怯えの色が見え、後ずさりし始める。

 善の偶像は、後ろに小さくジャンプすると、勢いをつけて前方にジャンプし、ジャイアン目掛けて突進してきた。

 「う、うわぁっ!」

 後ずさりしていたジャイアンは、自分が捨てたショックスティックに足を取られて、仰向けに転んでしまった。

 だがその事が、思わぬ形で彼の勝利をもたらした。

 善の偶像が突進してくるタイミングでジャイアンが転んだため、偶像の攻撃が外れたのだ。しかも転んだ際に、突進してきた偶像の腹の部分を蹴り上げたため、 偶像はその衝撃でバランスを崩してしまった。そして…


ズガガガーン!


 偶像は勢いに任せて壁に激突し、そのまま奥深くまでめり込んでしまった…


イメージBGM:通常ダンジョン
 6人は、しばらく呆気にとられていた。だがやがて、ジャイアンが口を開いた。

 「ど、どうだ、俺が勝ったぞ! どんなもんだ!」

 「…で、でもジャイアン、怖がってたよね…」

 「お、俺がいつ怖がったって言うんだよ! のび太のくせに生意気だ!」

 のび太に殴りかかるジャイアンを、他4人が慌てて取り押さえる。

 「タ、タケシさん、落ち着いて…」

 「そ、そうだよジャイアン。偶然でも勝ちは勝ちなんだからさ…」

 「ま、それはそうだな…ってスネ夫、元はと言えば、お前があいつを仲間にしようなんて言い出したからだろうが!」

 「…それにしても、あんだけめり込むって事は、あの一撃、すごい威力だったんだねえ…」

 「もしあの時、ジャイアンが転んでいなかったら…」

 ドラえもんとダッパの言葉に、全員が壁の方を見る。壁には偶像がめり込んでできた穴があったが、偶像は相当深くめり込んだらしく、奥が殆ど見えない。

 あれをまともに喰らっていたら、確実に命は無かっただろう。ジャイアンの顔が青ざめる。

 「と、とにかく、振り子は手に入ったんだから、戻ろう」

 「で、でもドラえもん、入口って閉まったんじゃなかったっけ?」

 「振り子を取ったら、血の川が全部引いちゃっただろ? だから、他の場所にも何らかの影響が出てると思うんだ。もしかしたら、入口も開いてるかも知れないよ」

 その後、6人は来た道を戻った。血の川があった場所はすっかり干上がっているので、歩いてさかのぼるのは簡単だった。



 大部屋に戻った6人は、部屋の状況に呆気に取られた。

 「な、何だこれ…垂れ下がってやがる…」

 ジャイアンの言う通り、部屋の壁や天井が垂れ下がっていたのである。

 「オイラ達が振り子を持ち出した事で、この神殿自体が死んだのかもな」

 するとスネ夫が前方を指差した。

 「あっ、僕達が入ってきたトンネルが、天井が垂れ下がったおかげで、あんなに低くなってるよ」

 「良かった。これでこの気持ち悪い場所から出られるわね」

 天井のトンネルをさかのぼると、入った際に閉じていた入口が、ぱっくりと開いているのが見えた。

 6人がそこから神殿の玄関広間へと戻ると、たくさん灯っていたはずのロウソクは全て吹き消されていた。6人はそのまま、大きな扉を開けて神殿を出た。


イメージBGM:地底フィールド
 6人は神殿をよろめき出て、透明な橋を渡った。そして、外の新鮮な空気を、肺いっぱいに吸い込んだ。テキオー灯のおかげで、生物の体内に入っても、 溶かされる事はもちろん悪臭に悩まされる事も無かったのだが、それでも生物の体内で息をする時とは、気分がまるで違う。

 「良かったー。やっと出られたー!」

 「もうあんな気持ち悪いところはこりごりね」

 のび太としずかが伸びをしながら言う。スネ夫も明るい顔をしている。

 「この神殿って生贄を捧げる場所だったんだよね? だったら僕達は、生贄を欲しがる怪物を退治したって事?」

 「すげぇな俺達。神殿に眠る宝を手に入れて、こんなでっかい怪物を退治したんだな!」

 思わずガッツポーズを取るジャイアン。

 「ワックスリーさんにも早くこの事を知らせなくちゃね」

 ドラえもんの言葉に、ダッパは周囲を見回した。

 「ワックスリーさんは…いた! おーい、ワックスリーさ…」

 やや離れた場所にいたワックスリーを発見し、そちらへ駆け寄ろうとしたダッパだったが、突然立ち止まった。

 ワックスリーの様子が、以前とは少し違っていたからだ。着せ替えカメラで作った服を着ていたはずの彼が、今では赤いローブを身にまとっていた。

 「ご機嫌よう、子供達。君達が私のちょっとした玩具を持って来てくれるのを待っていたよ。とても役に立つ玩具でねえ。分かるだろう、善と悪はもう決して同じにはならないのだよ」

 ワックスリーが大声で言う。その時、ドラえもんのポケットから、テニスボール大の金色の球が飛び出してきて、ワックスリーの元へと飛んでいく。

 「あっ、あれだよ! ボクが見た、丸くて金色の物は!」

 のび太が叫ぶ。すると金色の球から、球の大きさよりも明らかに大きい、太めの人間型の腕が出てきて、ワックスリーに何かを渡した。それは…

 「そ、それは、”運命の振り子”!」

 ドラえもんが叫ぶ。

 「ワックスリーさん、これはどういう…」

 「そ、そう言えばその服は…ま、まさかあんたは…」

 しずかとスネ夫の言葉を待たずして、ワックスリーは自らの顔を掴んで引っ張った。ワックスリーの顔が引きちぎられ、その下から出てきた顔は…

 「謎かけ盗賊!」

 ダッパの叫びが響く。ワックスリー…いや、謎かけ盗賊は、声を本来の声に戻して言った。

 「ありがとう。君達は実によくやってくれた。心からおめでとうを言わせてもらうよ。だが、私はもう行かねばならない」

 「てめえ、ふざけるな!」

 怒ったジャイアンが、ショックスティックを手に、謎かけ盗賊に飛びかかった。だが謎かけ盗賊はその場を動かず、服の中に手を入れて、何かを指で押すような動作を行った。

 飛びかかったジャイアンは、見えない壁にぶつかったかのように弾かれてしまった。

 「あれは、ぼくが貸したバリヤーポイント!」

 「ドラえもん君、君の道具は大いに役に立つな。ありがたく使わせてもらうよ」

 謎かけ盗賊は笑う。その時、金色の球から強烈な閃光が発せられ、周囲を光に包んだ。

 「「「「「「わあああああああ!!!」」」」」」

 突然の閃光に目がくらむ6人。やがて光が収まり、6人が視力を取り戻した時には、目の前に謎かけ盗賊の姿は無く、周囲は巨大な何かの影に包まれていた。

 「な…おい、あいつがいないぞ! 逃げやがったな!」

 「ちょ、ちょっと、この影は何…?」

 スネ夫の声に、空を見上げる6人。そこにはいつの間にやって来たのか、巨大な気球の姿があった。しかもそれに吊るされたゴンドラには、謎かけ盗賊の姿があった。

 「逃がすものか!」

 空気砲を構えるドラえもん。その時、ゴンドラに乗っていた謎かけ盗賊が、何やら指揮棒のような物を取り出し、何かをつぶやきながら振った。

 「あれは…頭蓋骨をどかすのに使った棒!」

 アイパッチの魔力で視力が上がっているダッパが叫んだ。その時…

 「わっ、何かがこっちに来るよ!」

 のび太が叫ぶ。全員がそちらを向くと、確かに何か大きな物が6人目掛けて飛んできた。

 ダッパを除く5人には、その物体に見覚えがあった。絨毯ほどの大きさの厚い金属板の上に、操作パネルと思しき機械、街灯のような物体、燃料タンクと思しき物体2つ、3本のレバー、 それに座席のような物体が乗せられた物。それは…

 「タイムマシンだわ!」

 そう、それは5人がこの世界に来た際に、行方不明になったタイムマシンであった。それが、6人目掛けて突っ込んできたのだ。
(6人、回避判定…ドラえもん、ジャイアンは成功 残り4人は失敗)
 「「「「「「うわぁっ!」」」」」」

 突っ込んできたタイムマシンは、咄嗟に飛び退いたドラえもんとジャイアン以外の4人を弾き飛ばすと、今度は6人の方へと方向転換しながら上昇し始める。
(ダッパ、跳躍判定…失敗)
 「待てっ!」

 ダッパがタイムマシンに飛びつこうとしたが、失敗に終わった。
(スネ夫とジャイアン、跳躍判定…2人とも成功)
 「このっ!」

 「こいつっ!」

 だが続けて、スネ夫とジャイアンがタイムマシンに飛びつき、その上に乗ってしがみつく。

 2人にしがみつかれたタイムマシンは、フラフラしながらもダッパ目掛けて突っ込んできた。
(ダッパ、剛力判定…成功)
 「おとなしく…しろっ!」

 ダッパは突進してくるタイムマシンを、スーパー手袋の怪力を生かして正面から受け止め、そのまま押さえ込んだ。やがてタイムマシンは動かなくなった。

 何とかタイムマシンを止める事に成功した6人。だがその間に、謎かけ盗賊の気球は姿を消していた…


イメージBGM:ゲームオーバー
 「…ちくしょう! 逃げられたー!」

 ジャイアンの叫び声が響く。

 「あいつはぼくと一緒にキャンピングカプセルに止まった時に、あの球をぼくのポケットに忍ばせたんだな。きっとあの球は、ぼくのポケットから振り子を取る時に、 無生物指揮棒も一緒に持って行ったんだ! それでタイムマシンを操ったんだ!」

 「トカゲ兵に捕まってたのも、トカゲ兵の仲間が邪魔しに出てきたのも、僕達に信用させるための芝居だったんだ! まさか大うつぼ葛にやられたのも、 僕達が助ける事を見越しての芝居だったのか!?」

 悔しさを込めて叫ぶドラえもんとスネ夫。

 「ボク達は、謎かけ盗賊にいいように利用されてたって事?」

 「ワックスリーさんが、謎かけ盗賊だったなんて…私達を騙してたなんて…」

 その場にへたり込むのび太としずか。

 「せっかく苦労して、ここまで来たってのに…!? これは…」

 タイムマシンのそばでうつむいていたダッパは、タイムマシンに付いている3本のレバー(そのうちの1本は折れていたが)のうちの1本に、白い袋がくくり付けられているのを見つけた。 その袋には、運と偶然の神ロガーンの印が描かれている。

 ダッパは5人を呼び、袋を開ける。その中には1本の巻物と、黒い宝玉が入っていた。ダッパはその宝玉を見て、思わず息を飲んだ。

 「これは…”いざないの瞳”だ!」

 「何だって! これが、謎かけ盗賊の野郎が盗んだっていう、あの…!?」

 「で、でもさ、どうしてこれが、タイムマシンに…!?」

 驚くジャイアンとスネ夫。

 「ねぇ、この巻物は何かしら?」

 「何が書いてあるんだろう? 早く読んでみようよ!」

 「ちょっと待って、今広げるから…」

 のび太に促されながら、ドラえもんは巻物を広げた。それは、謎かけ盗賊からの手紙だった…


  ご機嫌よう子供達。君達がこの手紙を読んでいるという事は、君達のおかげで、私が”運命の振り子”を手に入れる事に成功した事を意味している。
  だが、せっかく君達が私の計画に協力してくれたのに、当の君達が何も知らないというのは、君達としても不愉快であろう。
  だから私は、協力してくれたお礼も兼ねて、君達に私の計画について説明する事にする。

  既に分かっているとは思うが、君達をこの世界に呼び寄せたのは、他でもないこの私だ。
  そしてこれも既に分かっているとは思うが、私は運と偶然の神ロガーンの使者であり、私は常にロガーンの名の下に動いている。
  そんな私の立てた計画とは、伝説の宝とされる”運命の振り子”を破壊する事にある。
  ”運命の振り子”には、善と悪とをコントロールする力が秘められている。その振り子を破壊すれば、
  振り子に秘められた大いなる魔力は全世界に発せられ、世界中の生きとし生ける者達の信じるものが、全て変わる事となるだろう。
  そうなれば、現在確立されている善と悪の秩序は混乱に陥る事となり、その混乱の中では、運と偶然が全てを支配する事となるだろう。
  世界には新しい善と悪の基準が設けられる事となるが、それを決めるのは、運と偶然の神のみという事になるのだ。
  世界は我が主であり、運と偶然の神であるロガーンの支配下に置かれるのだ。

  だが困った事に、”運命の振り子”が収められた神殿は、振り子を守るために神々の手で作られたものであり、魔法の力が備わっている。
  それ故に神殿の橋は、神の下僕である私を支えてはくれないし、神殿の扉は、神の下僕である私には開ける事ができないのだ。
  そのために私には、私の代わりに神殿に入って、振り子を取って来てくれる存在が必要だったのだ。
  私はこの世界で、それが可能な存在を探し求めた。だが、そのような存在は容易に見つかるものではないし、見つかったところで、私に従うとは限らない。

  そんな時、私は世界の壁を弱める魔力があるという、”いざないの瞳”なる宝石の存在を知った。
  私は考えた。私の計画を手伝ってくれる存在が、この世界では見つからなくても、別次元の世界になら存在するのではと。
  そして私はカラメールに赴き、”いざないの瞳”を手に入れた。そしてその力を研究した。
  ハメットは宝石の力を使う方法を見つけられなかったが、私はそれを発見できた。
  その結果、宝石の力を使う事で、別次元の世界を覗き見る事、次元の壁を破壊する事が可能な事が分かったのだ。
  そして私は、不思議な道具を操る君達の存在を知り、この世界に呼び寄せたという訳だ。

  私はついに”運命の振り子”を手にした。もう君達に用はないし、君達を誘う餌として借りた君達の機械にも、そして”いざないの瞳”にも用はない。
  よってこれらの道具は、ここで君達に返却する事にする。君達の機械を使えば、”いざないの瞳”の力を引き出し、次元の壁を破壊する事も可能であろう。
  君達はこれを用いて、自分達の世界に帰るが良い。

  最後に一言、君達にありがとうと言わせて欲しい。

                                                                       謎かけ盗賊
  

 「…ゼンとアクのチツジョだの、ウンとグウゼンが全てを支配するだの、何が何だが、ボクにはさっぱり分からないよ…」

 「…のび太君にも分かりやすく言えば、もし”運命の振り子”が破壊されたら、この世界は正義も悪も滅茶苦茶になるって事だよ…」

 「…謎かけ盗賊は、自分では神殿には入れないから、私達に後を追わせて、振り子を取りに行かせたのね…」

 「…よく分かんねえけど、俺達はあいつがこの世界を滅茶苦茶にするための手伝いをしてたって言うのかよ!」

 「…オイラは謎かけ盗賊をやっつけて、”いざないの瞳”を取り戻すためにここまで来たのに、謎かけ盗賊に、良いように使われてたなんて…これまでの旅は、一体何だったんだよ…」

 真相を知り、激しく落胆するのび太達。

 「…で、でもさ、悪いことばかりじゃなかったよね? これでタイムマシンも宝石も帰ってきたんだしさ。これで僕達、元の世界に帰れるんだよね?」

 「「「「「……」」」」」

 スネ夫が重苦しい空気を変えようとするも、みんなは黙りこんでいる。そして…

 「…ボクは謎かけ盗賊を追うよ。この世界を滅茶苦茶にされて、このまま元の世界には帰れない…」

 のび太が立ち上がって言った。

 「…ぼくがいなきゃ、話にならないだろ。謎かけ盗賊から、振り子を取り戻さなきゃ…」

 続いてドラえもんが立ち上がる。

 「…私も行くわ。こんな事になったのは、私達にも責任があるし…」

 「…俺もやるぜ。謎かけ盗賊の野郎、散々人をコケにしやがって。あいつをぶん殴らずに帰れるかよ!」

 しずかとジャイアンも立ち上がる。

 「…結局、いつもこうなるんだよね。僕も付き合うよ。僕もこのまま利用されるだけ利用されて、黙って帰るのも癪だったし」

 スネ夫も立ち上がった。

 「…みんな、この世界の人間じゃないのに、その気になれば、元の世界に帰れるのに、この世界を助けてくれるんだね。ありがとう。オイラの旅はまだ終わってないんだ。謎かけ盗賊を追いかけよう。 振り子を取り戻して、あいつの企みを潰すんだ!」

 最後にダッパも立ち上がった。

 こうして6人は決意を新たにした。謎かけ盗賊を追い、”運命の振り子”を取り戻す、と…


イメージBGM:古代フィールド
 ドラえもんはタイムマシンと”いざないの瞳”をポケットにしまった。

 「でもドラえもん、これからどうやって謎かけ盗賊を追うんだ? あいつの気球はもう見えなくなってるし…」
(ドラえもん、ひみつ道具判定…成功)
 「ダッパ君、忘れたのかい? ぼくが最初、ジャングルを進む道をどうやって決めるつもりだったかを…たずね人ステッキ!」

 ドラえもんはたずね人ステッキを出すと地面に立て、手を離した。ステッキはコツンと音を立てて倒れ、6人の右斜め前方を指した。

 「うん、こっちの方角だね。タケコプターで行こう」

 5人はタケコプターを装着し、ジャイアンがダッパを抱えながらステッキの倒れた方向へと飛んだ。

 6人がしばらく進むと、遠くに謎かけ盗賊の気球が見えてきた。しかも、それは大きな滝のそばで降下し始めている。

 「いた! ドラえもん、早くあれを撃ち落とそう!」

 のび太がショックガンを構える。

 「いや、この場所からだとショックガンじゃ届かないし、空気砲でも遠すぎる。もう少し近付いてからでないと」

 ドラえもんの言葉に従い、6人はもう少し接近する事にした。

 「ねえ、あの気球、いくら何でも速すぎないかしら? もうあんなに離れてるなんて…」

 「そう言えばそうだね。どうなってるんだろう?」

 首を傾げるしずかとのび太。するとダッパがその答えを出した。

 「もしかしたら、あの金色の球のせいかも知れないな。謎かけ盗賊が逃げる時に、気球の後ろにあの球が浮かんでたのが見えたんだ」

 「何だって? そんなの、俺には全然見えなかったぞ」

 「僕にも見え…あっ、ダッパはそのアイパッチがあるから見えたんだな。あの球が、魔法で気球を加速させてたって事か…」

 「うん。そう考えると、カラメールで、謎かけ盗賊がやけに早く気球で逃げられたのも説明がつくね。まるで、ぼくの道具のゴーゴーカザグルマみたいだ…」

 6人が話している間にも、気球との距離は、少しずつ縮まっていく。しかし…
(のび太、運試し判定…凶)
  プルプルプルプル…

 「あっ、あれっ、あわわわわ…」

 突然、のび太のタケコプターに異変が生じた。プロペラの回転が弱まり始め、それに伴って高度が下がり始めたのだ。

 「こんな時にタケコプターが持たなくなるなんて!」

 ドラえもんが悲痛な叫び声を上げる。

 「全く、いつものび太のタケコプターから電池切れするんだから…って、あっ、ぼ、僕も!?」

 スネ夫のタケコプターも回転が弱まり始める。やがて他の3人のタケコプターも弱まり始めた。

 止むなく6人は付近のジャングルに着陸した。

 「ちくしょう、せっかく気球を見つけたのによ!」

 「でもジャイアン、謎かけ盗賊の居場所が分かっただけでも大収穫だよ」

 怒るジャイアンをダッパがなだめる。

 「そうね。あの気球、着陸するみたいだったし。近くに滝があったわね」
(ドラえもん、ひみつ道具判定…大失敗)
 「よし、ここはまたハーランに頑張ってもらおう…かるがる持ち運び用紙!…ありゃ? ハーランがいない…うわっ!」

 ポケットから、かるがる持ち運び用紙を出したはずのドラえもんだったが、出した紙にはハーランの姿がなかった。ドラえもんが驚いていると、そこへ突風が吹き、 紙がドラえもんの体に押し付けられた。すると…

  ポンッ

 「わっ、ドラえもんが増えた!」

 ダッパが叫ぶ。先ほどの紙から、もう1人のドラえもんが現れたのだ。ただし、全く動かない。

 「…間違えた。これは立体コピー紙だ。あっ、ダッパ君、この紙はね、乗せた物のコピーを作るんだ。つまり、この紙に物を乗せると、それがもう1つ出てくるって事。 ただし、形だけで本物じゃないけどね」

 周りのしらけた視線に、説明を終えたドラえもんは顔を赤くしながら立体コピー紙と自分のコピーをポケットにしまい、改めてポケットに手を入れ、ハーランの入った持ち運び用紙を探す。だが…

 「…あれっ、無い! ハーランがいない! ハーランの入ってるかるがる持ち運び用紙が無い!」

 「おいドラえもん、無いってどういう事だよ!」

 ジャイアンが怒鳴る。

 「他の道具とごちゃ混ぜになってるだけじゃないの? ドラえもんはポケットの整理をきちんとしないから…」

 「いや、違うよ。見つからないんじゃないんだよ。本当に無いんだ!」

 のび太の意見を否定するドラえもん。6人は思わぬ事態に激しく動揺する。

 「そんな、どうしてハーランがいないんだ!」

 ダッパは特に取り乱している。

 「ハーランちゃんは神殿に入る時、確かにドラちゃんがポケットに入れてたわよね。それから出した事なんて無かったのに…」

 「ね、ねえ…ま、まさかとは思うけど、あの金色の球にさらわれちゃったんじゃ…」

 スネ夫の言葉にハッとする面々。

 「…確かに、あの球はぼくのポケットから、振り子と一緒に無生物指揮棒も盗んでいった。あの時に一緒に盗んでいったとしても、おかしくない!」

 「あいつ、オイラ達の仲間までさらっていくなんて…!」

 「これで、私達が謎かけ盗賊を追う理由が増えたわね…」

 「何としても取り戻そう! 振り子もハーランも!」

 のび太が叫んだ。ジャイアンもそれに呼応する。

 「おう! 行くぞ、みんな!」

 「でもさ、これからどうやって進むの? あの気球のところまで、歩いて行くの?」
(ドラえもん、ひみつ道具判定2回…2回とも成功)
 「ちょっと待って、もう少し使えそうな物を探してみる…あった! これとこれを使おう!」

 スネ夫の質問に対し、ドラえもんが出したのは、電車ごっこロープと復元光線だった。

 「ドラえもん、電車ごっこロープは使えないんじゃなかったの?」

 「いや、これは無理に7人で使ったから痛んだだけで、復元光線で直せば使えるはずだ」

 ドラえもんはのび太の疑問に答えると、復元光線の光を当てて電車ごっこロープを直した。

 「みんな、また疲れる事になるけど、行くよ!」

 「もう疲れるだの、かっこ悪いだの言ってられないよ。急いでハーランを助けないと」

 のび太も含めて、今回ばかりは電車ごっこロープの使用に不平を言う者はいなかった。

 「振り子も取り戻さなくちゃね」

 「急ぎましょう」

 「謎かけ盗賊め、俺達を怒らせた事を後悔させてやる!」

 「ハーラン、待っててくれ…」


ギューン…!


 ハーランを救うという、新たに追加された目的を胸に、6人は電車ごっこロープを持ち、先を急いだ…



 先を急ぐ6人は、足を進めるうちに、周囲のジャングルに異変が起こっている事に気付いた。先へ進めば進むほど、植物の色がおかしくなっていくのである。

 すぐに周辺は緑と茶色のジャングルではなく、赤、青、黄、橙、紫がふんだんに散りばめられた色の洪水となった。さらに、植物の形も変わってきた。見慣れた低木や木々が、 見る影も無いほど歪み、ねじれている。

 「お、おい…な、何なんだよこのジャングルは…!」

 「常識的に考えても、こんな無茶苦茶なジャングルが自然にできるわけないよ…!」

 「オイラも、こんな無茶苦茶な育ち方をした植物なんて、見た事が無いよ…!」

 ジャイアン、スネ夫、ダッパが口々に驚きの声を上げる。

 「ま、まさか、偶然こんな色や形になった、なんて事は無いよね…?」

 「そんな。全部が全部、偶然でこんな事になるなんて、考えられないわ…」

 「いや、のび太君の言う通りかも知れないよ。謎かけ盗賊の隠れ家がこの近くにあるとしたら、有り得ないなんて言えないよ。相手は運と偶然の神の使いなんだ。 ここは偶然が全てを支配する世界なのかも知れない…」

 そう、そこはまさに無秩序の世界。そこでは偶然こそが世界を支配する法則となっているのである…


 原作「謎かけ盗賊」との設定の相違

 ・テキオー灯の無い原作では、神殿内では内部に滴る消化液により、1分毎に体力が減っていく。

 ・原作では、血の急流を渡るには、前話に登場した球ムカデの割れた繭をボート替わりにして乗っていくしかない。そのため、今回のプレイでは神殿攻略の必須条件ではない球ムカデとの戦闘が、 原作では必須条件となっている。

 ・原作の善の偶像は、特殊能力こそ持たないものの、単純な接近戦のみならキメラ並みの戦闘力を持っている。だがこのプレイでは、 偶然にもジャイアンのクリティカルと、敵の攻撃の大失敗が同時に発動してしまったため、あっさりと勝負がついてしまっている。ちなみに最初に悪(黒)の偶像に味方した場合、 善の偶像が砕け散り、その後は善の偶像の時とほぼ同様の展開が待っている(ただし、偶像の台詞の「善」と「悪」が入れ替わっている)。

 ・原作の黄金の球は「見張り玉」という名前が付いており、主人公達が神殿に入る際にワックスリーが忍ばせており、しかもそのまま隠れたりはせずに、胃の部屋に入った時点で宙に浮かびながら 堂々と主人公の後をつけてくる。高速で動くので、捕らえる事も攻撃する事も不可能。謎かけ盗賊はこれを通して神殿内部を探検する主人公達の様子を見る事ができる。 また、黄金の球から手が生えてきたりはしないし、主人公達から奪う物も振り子のみであり、目くらましも使わない (謎かけ盗賊は主人公達の前で堂々と、空飛ぶ黄金の球に掴まって飛ぶ事で、気球に乗り込んで逃げる。主人公達には銃のような高性能な飛び道具は無いので、撃墜は不可能)。

 ・原作の謎かけ盗賊は、運命の振り子を奪って去った後に手紙を残さないし、自分が振り子を使って何をしようとしているかは教えない。

 ・原作では、「善悪をコントロールする力を持つ運命の振り子を破壊すると、善悪の秩序が混乱する」という意味の説明はあるが、 「振り子を破壊すると秘められた魔力が全世界に発せられる」という設定は無い。

 ・原作では、謎かけ盗賊が橋を渡れないという設定は存在するが、扉を開けられないという設定は無い。橋が使えないので、気球で神殿に行こうとした事があったが、 聖護鳥(神殿の入口付近に置かれている、猛禽の石像。実はこれは、橋を通らずに神殿に入ろうとする者を追い払う、動く番兵である)に邪魔されたという設定になっている。 また、前話での見張りを買って出る理由は、原作では「疲れて動けないから」となっている。ちなみに大うつぼ葛に襲われた事が、彼の計算のうちだったのかどうかは不明。 なお原作のワックスリーには、千里眼の術(相手の基本的な心の動きを知る魔法。主に嘘を見破るのに有効)が通じないという設定があるため、このプレイでは使用されなかった、 心を読むひみつ道具の類も通用しないと思われる。

 ・原作では、主人公達が謎かけ盗賊の気球を見失う事は無い。そのため、歩いても気球の後を追える。


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