ストーリー


 西暦2126年。人類の科学は飛躍的に発展し、かつては夢物語でしかなかった超科学文明によるいっそうの繁栄を極めていた。だが一方で、文明自体の抱える問題はなくなることはなかった。増え続ける人口、凶悪な時間犯罪やハイテク犯罪の多発、そして、異星人との外交問題。2093年、人類は初めて異星人とのファーストコンタクトに成功、銀河通商連邦に加盟し、他星との貿易を開始した。それは地球に莫大な利益と発展をもたらしたが、新たな問題も生まれた。通商連邦の星々は国ごとではなく、一括した貿易体制の確立を地球に要求。国家を廃止し、ひとつの惑星国家としての貿易を要求した。地球人にとっても、もはやあらゆる問題はもはや国家という枠組みにとらわれていては解決できないほど肥大化していた。
そして、2123年。国連総会において重大な決定がなされた。世界各国がその主権を放棄し、地球全体を一つの政府の管理下に置く「地球連邦構想」。この計画は20年の時をかけて慎重にすすめられることが決定された。しかし、各国の愛国主義的過激派は「独立国家保全連合」、通商ICKOを結成。世界各地でテロを開始した。また、市民にとってもいまだに地球連邦政府の設立を現実のものとしてうけいれることは難しかった。ICKOと、その後地球連邦軍となる各国の治安維持部隊との戦いが激化する中、2124年、ICKOはテロ用の戦闘ロボット開発のためのデータ収集のため、ロシアにある生体メカ研究所を襲撃、遺伝子工学博士チャペック博士を殺害し、彼が日本の大学と共同研究を行っていた新型ロボットのデータを強奪した。その忌まわしい事件から2年後、そのデータをもとに作られた3体の恐るべき戦闘ロボットの開発は最終段階を迎えようとしていた・・・。

登場人物


ドランサー

 2124年にチャペック博士とアオヤマ博士によって開発されたバイオロボット第1号。猫型汎用ロボットを素体にクロヒョウの細胞組織を融合して作られた。もとが実験機であるため、武装は施されていない。しかし、最高時速400kmで走り、ジャンプ力も25mと、ヒョウの能力を受け継いだ高い敏捷性と運動性を持つ。2124年の生体メカ研究所襲撃事件の直前に日本に輸送され、強奪は免れた。その後、戦闘用バイオロボットによるテロを危惧したアオヤマ博士の手によって若干の武装改造が加えられている。犯罪組織クロウがバイオロボットとともに20世紀の日本へとタイムスリップしたあと、アオヤマ博士の意志を受けてタイムパトロールのカズヤとともにその追撃任務につく。高い運動能力と両腕から繰り出す衝撃波、そして背中のロケットパックを利用した高速の跳び蹴りを武器とする。


カズヤ

 TP極東支部の特殊部隊「TSWAT−J」のアルファ小隊長。27才と若いが、ずば抜けた射撃能力と判断力を備えているため、クロウ追撃任務に抜擢された。凶悪時間犯罪の捜査の矢面に立つTSWATにおいて冷静な指示を部下に下し、数々の重大事件の解決に貢献してきた。クロウは彼がTSWATに配属されて以来追い続けてきた捜査対象である。


ドラえもん

 ご存じ本編の主人公の一人。クロウによって占領された20世紀の東京でただ一人のび太を守っていた22世紀製の猫型子守ロボット。カズヤ達に協力し、四次元ポケットの中から出す数々の秘密道具で彼らを助ける。過去に20世紀の子供達とともに恐竜ハンター取り締まりや「ギガゾンビ事件」、「トモス島生物兵器密輸事件」等、数々の時間犯罪の解決に協力し、TPの捜査協力者リストにその名が登録されている。


野比のび太

 同じく本編の主人公の一人。20世紀の東京都練馬区すすきヶ原に住む小学5年生であり、22世紀の彼の孫の孫から派遣された世話役のドラえもんとともに暮らしている。彼のおかげでクロウのミニブラックホールに吸い込まれることを免れた。しかし彼の両親や友達はみな全東京都民とともに吸い込まれてしまったため、彼らを救い、世界の平和を守るためにドランサーとカズヤに同行する。勉強も運動もできず、グータラな性格だが友人を思いやる気持ちは強く、ここ一番では強い勇気と行動力を見せる。また射撃に関してはずばぬけた判断力と冷静な狙撃を見せる。


カマギリス

 ICKOの秘密研究所で開発された戦闘用バイオロボット3号機。カマキリとキリギリスの能力を持ち、カマキリが2本足で直立したような姿をしている。スピードを重視して開発され、スピードを生かした一撃必殺、一撃離脱を得意とする。背中の羽を補助推力としてドランサー以上のスピードで走り回り、両手の折り畳み式の大鎌で戦車も切断する。背中の羽はこすりあわせることで35種類の特殊音波を発することができ、それを使って人間を操ったり苦しめたりできる。全身を覆う銀色の装甲は金属ではなく昆虫と同じ外骨格であるが、チタンよりも強度は強く、軽い。好戦的な性格で強い敵と正々堂々戦って倒すことを何よりも喜びとしている。反面、大きな目的のためには自らのポリシーも捨てるドライさも持っている。


イモグモング

 ICKOの秘密研究所で開発された戦闘用バイオロボット2号機。強力な毒を持つイモガイと、コウモリも捕らえるほどの強い糸を吐くコガネグモの能力を持つ。力と防御力は3体の中で最も強い。姿は3体のバイオロボットの中で最もグロテスクなものである。頭はクモそのもので、六角形の赤い複眼と昆虫のような口をもつ。全身を美しいピンク色の貝殻のような装甲で覆っているが、その継ぎ目部分からは黒いごわごわした毛の生えた地肌がのぞく。右手は人間と同じ5本指だが、左手には溶解液発射銃と大型の毒針が仕込まれている。溶解液は鋼鉄をも溶かしてしまい、必殺の毒は刺された相手の体を神経伝達速度よりも早く巡り、苦しむいとまも与えず死に至らしめる。口と右手の指先から発射される糸は高い粘着性と強度をほこり、とらえたものをはなさない。この糸をそこかしこに張って相手の動きを封じたり、ムチのように使って相手を追いつめ、毒針で刺す戦法を得意とする。性格は冷徹で、生物的な色合いの強い外見とは裏腹に、感情をあまり表さない機械的な雰囲気をもつ。使用されたクモの染色体がメスのものであったため、ボイスユニットには女性の声が使われているが、それ以外に女性らしさを感じるところは皆無である。


タコンバット

 ICKOの秘密研究所で開発された戦闘用バイオロボット1号機。カメレオン以上の体色変化ができるヒョウモンダコと、南米のチスイコウモリの能力をもつ。あらゆる環境に適応できる適応性を重視して作られたため、空を飛び、海にも潜れるという万能さを見せる。時速120kmで飛び回り、空の色に体色を同化させ相手が姿を見失っているところに高速の体当たりをくらわせる戦法を得意とする。また、強力な6本の腕を使って相手をしめあげ、無数の吸盤から吸血を行うこともある。バイオロボットに血液は必要ないが、あえて攻撃手段としてチスイコウモリの習性が残された。背中の巨大な翼の力は強く、自分の数十倍の重さをもつものも抱えて飛ぶことができる。目は小さいが、絶えず口から超音波を発し、その反響音を巨大な耳で受け取ることによって周囲の状況を的確に把握する。夜行性という習性はその任務上不都合なので、取り除かれている。


モリアーティー

 時間マフィア「クロウ」の首領。かつては一マフィアにすぎなかったクロウを、数々のマフィアを吸収した巨大犯罪組織に成長させた強者である。強固な組織構造を作り上げたため、その正体を知る者は少ない。時空間をまたにかけ、様々な時代で密かに製造した兵器や麻薬を売りさばき巨大な利益を得ている。さらなる利益拡大をねらって思い切った作戦を実行。その実現のためにICKOの開発したバイオロボットを強奪し、20世紀の日本へとタイムスリップする。


アオヤマ博士

 東京の城南大学の教授。専門はロボット工学。遺伝子工学の権威であったロシアのチャペック博士とともに2年前、ドランサーを製作した。戦闘用バイオロボットの開発をおそれ、それに対抗すべくドランサーに武装改造を施した。

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