アポカリプスは引き抜いた剣を健二に向けた。

 「やはり強敵に対して飛び道具ばかりを使うのは間違いだ・・・。私もこの剣、エクスカリバーで戦おう・・・」

 「・・・それはオレに対する一種の挑発か・・・?」

 「どう思っても構わん。しかし、戦いはこれからだよ・・・」

 再びアポカリプスは不敵に笑った。


仮面ライダーコブラ

第11話
姉を尋ねて遥々と


 「だったら、やってやる!!」

 健二はコンバットソードを構え、アポカリプスを睨みつけた。

 「フフフ・・・そうこなくてはな・・・」

 ガシャッ

 アポカリプスのバックパックが変形し、ブースターの様な形状になる。

 「第2ラウンド、開始だ!」

 バアンッ!!

 アポカリプスは背中のブースターを起動させた。

 「でえぇい!!」

 そして高速で健二に切りかかってきた。

 「チッ!!」

 ガキィッ!!

 振り下ろされたエクスカリバーを、健二はコンバットソードで受け止めた。

 「クッ、でえぇい!!」

 ガァンッ!!

 健二はエクスカリバーを振り払う。

 「何!?」

 「でえぇい!!」

 ズバァッ!!

 そして続け様にアポカリプスに斬激を加えた。

 「おのれ!!」

 アポカリプスは体勢を立て直す。

 「なめるなあぁぁっ!!」

 バアンッ!!

 再びアポカリプスはブースターを使って加速した。

 「なんの!!」

 シュタッ

 健二は攻撃をかわした。

 「でえぇぇい!!」

 そして再び斬りかかろうとするが、

 「甘いわッ!!」

 ズバアッ!!

 「うわっ!!」

 アポカリプスは振り返り様に、健二に斬激を加える。

 「うおぉぉっ!!」

 そして再び高速機動で迫ってきた。

 「でえぇぇい!!」

 ダダダッ!!

 健二は高速で走った。そして、

 ガキィッ!!

 再びコンバットソードとエクスカリバーがぶつかり合う。

 「グッ・・・」

 「チッ・・・」

 健二とアポカリプスは睨み合った。

 「だあっ!!」

 ガァンッ!!

 剣が振り払われた。

 「・・・」

 「・・・」

 再び健二とアポカリプスは睨み合い、動きを止めた。

 (チッ・・・やはり一筋縄ではいかないな・・・)

 (ブースターなんてとんでもない隠し玉だな・・・)

 互いに次の1手を打とうと静止していた。そして、

 ダダダッ!!

 健二は高速で走り出した。

 バァンッ!!

 アポカリプスもほぼ同じタイミングで加速した。

 「でえぇぇい!!」

 「うおぉぉっ!!」

 ガキィッ!!

 高速で移動しながら、再び2つの影が高速でぶつかる。

 「だあぁっ!!」

 ガキィン!!

 「なんのぉぉっ!!」

 ジャキィッ!!

 更にぶつかる2つの影。

 「クッ、君も執念深いな・・・」

 「あんたもな・・・!!」

 再び互いが睨み合う。

 「が、いつまでもやっていられないのだよ!!」

 バァンッ!!

 「何!?」

 アポカリプスは再び高速で迫ってきた。そして、

 「食らえ!!」

 ズバァッ!!

 「があっ・・・!!」

 エクスカリバーが健二を切った。

 「中々楽しかったぞ、仮面ライダー。しかし、これまでだ!!」

 バァンッ!!

 そう言うとアポカリプスは、ブースターで空中に飛んだ。

 「これでとどめをさしてやる!!」

 アポカリプスは健二にエクスカリバーを向けた。

 「グッ・・・」

 健二はアポカリプスが飛行したのを見て驚いた。

 「フフフ、ここまで良くやった、仮面ライダー。が、ここで消えてもらう!! 死ねぇい!!」

 バァンッ!!

 アポカリプスは高速で降下して来た。が、

 「終わりか・・・? いや、まだやれる!!」

 健二はアポカリプスを見据えた。そして、

 「だあぁぁっ!!」

 ダンッ!!

 「な、何!?」

 アポカリプスは驚いた。

 健二は脚に力を込めて跳躍した。

 「何をする気だ!?」

 「こうするんだ!!」

 健二は左手のコンバットソードを構えた。そして、

 ガキィッ!!

 再びコンバットソードとエクスカリバーがぶつかり合う。

 「クッ、それだけか!!」

 「いいや、まだだ!!」

 そう言うと健二は右手に力を込める。そして、

 「でえぇぇい!!」

 バチィッ!!

 「何ぃ!?」

 アポカリプスは再び驚く。

 もう一本のコンバットソードは、アポカリプスの右腕の間接に突き刺さったのだ。

 「ぐ、ぐあぁぁっ!!」

 アポカリプスは叫び声をあげた。そしてわずかに体勢が崩れた。

 「落ちろおぉっ!!」

 ドガアッ!!

 健二はアポカリプスの腹部に蹴りを加えた。

 「ぐわあぁっ!!」

 ドガァン!!

 アポカリプスは土煙をあげて地面に激突した。

 「おわあっ!?」

 バンッ!!

 そして健二もバランスを崩し、着地に失敗した。

 「ぐ・・・おのれ・・・」

 アポカリプスがよろめきながら立ち上がる。どうやら地面に激突した事が思わぬダメージになったらしい。腕から火花が飛んでいる。

 「ててて・・・思わぬ痛手になった様だな・・・」

 健二は立ち上がり、アポカリプスを見た。

 「これで戦局的に五分五分か?」

 健二はほくそ笑みながら言う。が、

 「どうやら、そろそろ頃合いの様だな・・・」

 アポカリプスは宙を見た。そこへ、

 ブルルルル・・・

 突然ローターの回転音が響いた。

 「!? まさか・・・」

 健二は驚いた。その先には、ジャイロソルジャーがいた。

 「ちっ、2対1か・・・」

 健二は舌打ちする。しかし、

 「残念だが、今回はここまでだ・・・」

 アポカリプスが言う。

 「何!?」

 「これ以上戦闘を続けるのはこちらにも不都合だ。残念だが、ここは一旦退かせてもらう・・・」

 シュタッ

 「何だと!?」

 アポカリプスは大きく跳躍した。

 ガシッ

 「ギギギギギ・・・」

 ジャイロソルジャーがアポカリプスを掴んだ。

 「楽しかったぞ、仮面ライダーよ。が、次はこうはいかないという事をよく覚えておけ!!」

 ジャイロソルジャーが飛んで行く。

 「クッ、待て!! チッ!」

 健二は変身を解除し、その場に立ち尽くした。

 「ち、ちっくしょぉぉぉぉ!!!!」

 理由の解らない悔しさで、健二は叫び声を挙げた。






 「お兄ちゃん!!」

 そこへ、真琴の声が飛んできた。

 「真琴・・・」

 「良かったぁ・・・無事で・・・」

 真琴は安堵した表情で健二に抱きついた。

 「お、おい、抱きつく程じゃ無いだろ・・・」

 「だって、心配してたんだもん・・・」

 健二は考えた。何も知らない人に見られたら、援助交際等と思われかねない。

 「わ、解ったから・・・って、オレは大学に行く途中だったんだ・・・。カギはちゃんと持ってるな?」

 「うん」

 「出かける時はちゃんと戸締りを忘れるなよ」

 「解ってるって」






 「クソッ!!何と言う事だ!!」

 沢田は激怒していた。

 本来なら勝率100%であった筈のジャイロソルジャー、ハンマーヘッドが続け様に倒され、アポカリプスも健二を仕留める事が出来ずに帰還したからである。

 「どうやらご立腹の様だな・・・」

 その様子を後ろで見ていたアポカリプスが言う。既に全身がコードで繋がれていた。

 「ええい、黙れ!!本来なら負ける筈の無いメタルソルジャーとバイオソルジャーが続け様に破壊されたのだぞ!! これで腹を立てずにいられるか!! 更に貴様はサンプルを仕留める事も出来ずに戻って来た!! 偉そうに言うな!!」

 「私は中々楽しかったが。それに君が妥協していた事も原因に有るのではないか?」

 「偉そうに言うな!! この役立たずが!!」

 「それより、私の左腕を直してもらえないだろうか。いつまでも放っておくのは気分が悪い」

 「五月蝿い!! 後で見てやるから少しは黙っていろ!! こちらは失敗続きでそれ所じゃないんだぞ!! 解っているのか貴様!!」

 「フッ、まあ頑張れ」

 アポカリプスはほくそえむ。

 「ふん、貴様に感情を与えた事に問題があったのかもしれんな!!」

 沢田は毒を吐くと、再びコンピューターに向かった。






 「ここだな。鳥取は・・・」

 鳥取のとあるバス停に停車した1台のバス。そこから、一枚の紙を手に一人の少年が降りた。

 顔立ちは外人の様だがやや幼く、やや灰色の混じった黒い髪を持ち、背中にはバッグを背負っていた。

 「とりあえず、之村という人に合わなくちゃな・・・」

 そう言うと少年は、市街地に向けて歩き出した。






 「やれやれ・・・ハトが豆鉄砲を食らった気分だ・・・」

 健二はため息をついた。

 空飛ぶ敵を倒したと思ったら、今度は戦闘狂みたいなロボットまで現れた。

 「しかし、空飛ぶ敵になんてどう対処すりゃいいんだか・・・」

 健二は頭を抱えた。

 実際、今回の戦いは上空からの攻撃を食らい続けたらまずかっただろう。

 「でも、対空戦力なんて無いぞ・・・」

 実際問題はそれだった。今後もあの様な飛行能力を持った敵が出現する事は十分考えられる。そうなった場合、かなりの脅威となるだろう。

 「一難去ってまた一難か・・・。ハア・・・」

 健二は再び深くため息をついた。






 「現在地はここで・・・うーん・・・」

 案内板と地図を見比べながら、少年は首をかしげていた。

 「弱ったなあ・・・」

 少年はあきらめた顔をして、その場から歩き去った。

 「どこにいるんだよ、お姉ちゃん・・・」







 「ん?」

 大学での講義を終えて家に向かっていた健二は、そこで暗い足取りで歩いている少年を見かけた。

 「今日も野宿っぽいな・・・」

 少年はぼやきながら空を見た。そこへ、

 「どうかしたのか?」

 「えっ?」

 誰かの声が聞こえ、振り返ると、そこに健二がいた。

 「君、どうかしたのか?」

 「え? い、いえ、ちょっと考えていただけですが・・・、あ、そうだ、ちょっとお尋ねしたい事があるんですが・・・」

 「尋ねたい事?」

 「え、ええ、之村博士という人を探しているのですが・・・ご存知ですか・・・?」

 「之村博士? オレの家の近所に住んでいるが・・・」

 「ゆ、之村博士を知っているんですか!?」

 「ああ、そうだが・・・。博士の知り合いか・・・?」

 「いえ・・・。ちょっと人探しをしていたので・・・」

 「そうか・・・そういえば君、行く所はあるのか?」

 「え? いや、ご心配無く・・・」

 「もし良かったら、オレの家に来ないか?」

 「え?よ、よろしいんですか?」

 「狭い家だけど、それで良いか?」

 「は、はい! 喜んで!」

 「じゃ、とりあえず家に向かうか・・・。そうだ、オレは青山健二、君は?」

 「リューク・デカルトです」





 「お帰り、お兄ちゃん」

 家に帰ると、真琴は居間のソファに座っていた。

 「ただいま。ちょっと客がいるんだが・・・」

 「お客さん? 誰?」

 「ああ、とりあえず紹介しておこうか・・・」

 健二が言う。そこへ、

 「お、おじゃまします・・・」

 リュークがそわそわしながら入ってきた。

 「お客さんって、その人?」

 真琴が言う。

 「ああ、リューク・デカルト君だ。リューク君、オレの妹の真琴だ」

 「え? あ、よろしくお願いします・・・」

 リュークは軽く頭を下げた。

 「え? あ、うん、こちらこそ、よろしく・・・」

 真琴は困惑しながらも挨拶を返した。

 (か、可愛い・・・)

 真琴の顔を見たリュークは顔を赤らめた。

 「ん? 私の顔に何かついてる?」

 「え? いや、何でも無いです・・・」






 「そういう訳で、よろしくお願いします」

 健二は之村博士に連絡を入れていた。

 「今日は都合が悪いから、明日まで待ってくれとの事だ。とりあえず今日は家に泊まっていってくれ」

 健二が説明する。

 「はい、重ね重ねありがとうございます」

 リュークは頭を下げた。

 「で、リューク君はどこで寝る訳?」

 真琴が口を挟む。

 「そうだなあ・・・お前の部屋じゃ駄目か?」

 「! 何言ってんのよ! 一途な乙女と男を同居させる気!?」

 「冗談だよ、そこまで怒るなって・・・」

 (・・・僕はそんなに嫌われているのか・・・?)

 「2階に空部屋が一つあったから、そこで寝てもらえるか?」

 「いや、自分はどこでも良いですが・・・」

 「よし、じゃあ決まりだな」







 翌日、健二とリュークはバイクショップ銀咲に向かった。

 「ここに之村博士がいるんですか?」

 「ああ、ここで落ち合う予定になっているからな」

 そう言うと健二とリュークは店内に入った。

 「よう、お客か?」

 銀咲がきさくな口調で出迎えた。

 「之村博士に話があったんですが・・・」

 「之村? アイツならまだ来ていないが・・・。用があるのはその子か?」

 銀咲は健二の横にいたリュークを見た。

 「はじめまして、リューク・デカルトと申します。之村博士にお尋ねしたい事があって来たのですが・・・博士はいないんですか・・・?」

 「ん? ああ、スマン。まだ来ていないんだ・・・。もう少し待っていてくれ・・・」

 「そうですか・・・」

 そこへ、

 「銀咲さん、何かありましたか?」

 2階からレミィが降りてきた。しかし、

 「・・・お姉ちゃん・・・?」

 「・・・! リューク・・・」

 互いを見たレミィとリュークは立ち尽くした。

 「ほ、ホントにお姉ちゃん!?」

 「な、何で日本にアンタが・・・!?」

 お互い驚愕した顔になる。

 そこへ、

 「やあ、遅れてすまなかった」

 之村博士が呑気な声で店内に入ってきた。

 「おや? どうかしたかね?」

 博士はレミィとリュークを見て言った。

 「は、博士・・・デカルトさんが言っていた弟って・・・」

 「ん? もしかして、君がレミィさんの弟さんなのかね・・・?」

 博士はリュークに聞いた。

 「ええ、そうですが・・・」

 「皆さん、少し席を外してもらっていいでしょうか?少しこの子と話したいことがあるので・・・」

 「あ、ああ、解った。とりあえず、奥の部屋で話してくれるか?」

 「解りました。行くわよ、リューク」

 「う、うん・・・」

 そう言うとレミィとリュークは奥の部屋に入った。

 「我々は外で話すか・・・。健二君、詳しい話を聞かせてくれるか・・・?」

 「あ・・・ハイ・・・」」

 健二達は店の外に出た。

 突然現れた少年、リューク・デカルト。彼は一体何者なのか・・・?


次回予告

 突然来日して来たレミィ弟、リューク。突然の来訪に驚くレミィ。一方、健二は空中用の敵に対する戦略を考える。しかし、それもままならぬ間に、再びジャイロソルジャーが迫る。しかし

 仮面ライダーコブラ 第12話 飛行戦力を叩け

 魂の叫びが、聞こえるか?


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