「自動合体の武器とは、凝った物を持ち出してきたな・・・」

 健二はグランドハンマーを見て歯を噛んだ。

 「とりあえず、第1印象でまず恐怖を与えておく、てな感じか?」

 「・・・フッ、見掛け倒しかどうかは、自分で確かめるんだな・・・」

 祐樹はほくそえむ。

 「とにかく、行くぞ!!」


仮面ライダーコブラ

第14話
魔獣覚醒


 「食らえ!!」

 祐樹はグランドハンマーを健二に振り下ろす。

 「くそっ!」

 ガキィッ!!

 健二はシールドで攻撃を防いだ。

 「ふっ、悪足掻きを・・・」

 「ぐぐぐ・・・」

 祐樹は更に力を加える。

 「無駄だ!」

 そう言うと祐樹はグランドハンマーを振り上げた。

 「何!?」

 「食らえ!!」

 祐樹はグランドハンマーを横に降ろした。そして、

 ドガァッ!!

 「ぐはぁ!!」

 グランドハンマーは肩に激突した。

 「チッ・・・」

 健二は吹っ飛ばされながらも、何とか姿勢を立て直す。が、

 「まだまだぁ!!」

 再び祐樹はグランドハンマーを振り下ろそうとする。

 「おわっ!?」

 健二は握っていたコンバットソードで防ごうとする。が、

 パァンッ!!

 「何!?」

 コンバットソードは一撃で弾かれ、宙を飛んだ。

 「そんな武器で防御出来ると思うなあぁっ!!」

 バキィッ!!

 「ぐはぁっ!!」

 グランドハンマーは健二を吹っ飛ばした。

 「フッ、ざまあねえな・・・」

 それを見た祐樹は一笑する。

 「ぐっ・・・」

 健二は体勢を立て直す。しかし、

 「もう一回吹っ飛べ!!」

 祐樹は更に斜め横から攻撃を仕掛ける。

 「ちっ、何度も同じ手を食うか!!」

 シュタッ

 健二は跳躍して攻撃をかわす。が、

 「ふっ、甘いな」

 祐樹はまたも笑う。

 「何だって?」

 「コレにはな、こういう使い方もあるんだよ!!」

 そう言うと祐樹はグランドハンマーを健二に向けた。その時

 ガキィッ!!

 グランドハンマーは自動的に分解した。

 「何!?」

 健二は再び驚いた。

 「当たれ!!」

 分解した部品は健二に向かって飛んで来た。

 ドガァッ!!

 「うわぁっ!!」

 背中に部品がぶつかる。

 ダンッ!!

 「ごはっ!!」

 続いて腹部に部品がぶつかる。

 ドガァッ!!

 「があっ!!」

 最後に顔面に部品がぶつかり、健二は吹っ飛んだ。

 「がっ・・・そんな使い方が・・・」

 健二はよろめきながらも体勢を立て直す。

 「どうだ、驚いたか?」

 グランドハンマーは再び合体した。




 「ほう・・・まさかハンマーヘッドが使いこなせなかったグランドハンマーの分離機能をあの様に利用するとはな・・・」

 送られてきた映像を見た沢田は目を細めた。

 「この戦い、どちらが勝っても厄介だな・・・」




 「フフフ、まだまだだ・・・」

 祐樹は再び不敵な笑みを浮かべた。

 「これがお前を処刑する鍵だ!」

 バァンッ!!

 再びグランドハンマーは分離し、飛行して来た。

 「クッ・・・2度も同じ手は食らわない!!」

 シュタッ

 健二は攻撃をかわす。が、

 ガキィッ!!

 「何!?」

 健二の背後でグランドハンマーの一部が再び合体した。

 「どういう事だ?」

 健二は顔をしかめた。が、そこへ余った部品が飛んでくる。

 「おわっ!?」

 健二は攻撃をかわそうとする。が、

 ガキィッ!!

 「何!?」

 グランドハンマーは健二の腕を前後で押さえる様な形で合体した。

 「グッ・・・これは!?」

 「ディープ・ロザリオ、敵を十字架の様に束縛して自由を奪う技さ・・・」

 「何!?」

 確かに今のグランドハンマーの形は十字架の様だった。

 「これで邪魔は無くなった。思う存分戦える・・・」

 祐樹は拳を握り締めた。そして、

 バキィッ!!

 「がっ!!」

 祐樹は健二の顔面を殴った。

 バンッ!!

 「ぐはっ!!」

 続けて腹部に攻撃を加える。

 「ふっ、残念だが、抵抗はさせないぜ・・・」

 バキィッ!!

 「がはっ!!」

 バンッ!!

 「ぐあっ!!」

 祐樹は健二に攻撃をくりかえす。

 「グッ・・・何故だ・・・」

 「何がだ?」

 「何故こんな事をするのか聞いているんだ・・・」

 「何故かだと? 簡単だ、お前が目障りだからさ」

 「何・・・?」

 「お前の力の無いくせに他人の事に気を配る、それが目障りなんだ。現にお前は、以前オレがチンピラに絡まれた時、後先考えずに介入してきやがった。それが目障りなんだよ・・・。お前からすれば人助けだったのだろうが、オレには到底偽善にしか見えねえよ!」

 「待て、オレはそんなつもりじゃ・・・」

 「黙れ!!」

 バキィッ!!

 「がっ!!」

 祐樹は再び健二を殴った。

 「お前なんかが化け物と戦うなんて偽善行為にしか過ぎないんだよ・・・目障りなんだよ!!」

 バキィッ!!

 「がはっ!!」

 ガキィッ!!

 ディープ・ロザリオは分離し、健二は地面に投げ出された。

 「ぐっ、ちくしょう・・・」

 健二は再び立ち上がる。

 「フッ、無様だな・・・」

 祐樹が一笑する。

 「が、お前を倒した所で、それはオレの復讐の下地に過ぎない・・・」

 「何!?」

 「オレの目的はオレの左腕を改造した連中に対する復讐だ・・・。お前を倒すのはそいつ等にオレの力を見せ付ける為、つまり見せしめしって事だ・・・」

 「見せしめしだと?」

 「そうさ。お前を倒せば、奴等はオレに目を付け、何らかの手を打ってくるだろう。それがオレの狙いさ・・・」

 「一体何を考えているんだ!?」

 「言っただろ、復讐さ・・・。その為ならどんな手段を使ってもな・・・」

 祐樹は冷たい笑みを浮かべる。

 「クッ・・・君という奴は・・・!!」

 「ほう、まだ減らず口を叩ける気力が残っていたか・・・」

 祐樹は再びグランドハンマーを構えた。

 「だったら、もう2度立ち上がれない様にしてやる!!」

 そして健二に向かって走り出した。

 「くっ・・・」

 健二は拳を握り締めた。

 「一瞬の隙、これを狙え・・・」

 そして祐樹を見据える。

 「何を考えたか知らないが、これまでだ!!」

 祐樹は健二のすぐそばまで接近した。

 「フッ、くたばれ!! 青山!!」

 祐樹は大きくグランドハンマーを振り上げた。

 「まだだ・・・!」

 健二はその動きを凝視していた。

 「死ねえぇぇ!!」

 祐樹はグランドハンマーを振り下ろす。が、

 「今だ!」

 シュタッ

 健二はグランドハンマーが激突する寸前に攻撃をかわした。

 ドガァッ!!

 獲物を逃したグランドハンマーが地面に激突する。

 「何!?」

 攻撃を回避され驚く祐樹。が、

 「でえぇい!!」

 健二は後ろに回りこんでいた。そして、

 ダンッ!!

 「ぐっ!?」

 祐樹の背中にパンチを加える。

 「ちっ、しつこいんだよ!!」

 祐樹は応戦しようとする。が、

 「遅い!!」

 シュタッ

 健二はすぐさま祐樹の右横に飛び込んだ。

 「何!?」

 「おらあぁ!!」

 ドガァッ!!

 「ぐはっ!!」

 今度は肩に攻撃を加える。

 「くっ、この野郎!!」

 再び反撃しようとする祐樹。が、

 「なんの!」

 シュタッ

 今度は左肩に回り込む健二。

 「でえぇい!!」

 ドガァッ!!

 更に左肩にも攻撃を加える。

 「ぐ、調子に乗るなぁ!!」

 しかし、

 ダンッ!!

 「グッ!!」

 背中に衝撃が走る。

 ドガァッ!!

 「がっ!?」

 今度は左肩だ。

 ドガッ! バァンッ!!

 「があぁっ!!」

 更に右肩に続け様に衝撃が走る。

 「ぐ・・・何なんだコイツは!?」

 祐樹は健二の戦闘方法に驚いた。

 「そっちがパワーなら、こっちはスピードだ!」

 バンッ!!

 「ぐはっ!!」

 健二は尚も攻撃を加える。

 「とどめだ!!」

 シュタッ

 健二は祐樹の前面に移動する。

 「食らえ!!」

 健二は両手に力を込めた。

 「何!?」

 「でえぇぇい!!」

 ドガァッ!!

 「がっ・・・!?」

 左腕が腹部に炸裂した。

 「もう一発!!」

 バキィッ!!

 「がはぁっ!!」

 更に右腕アッパーが祐樹の顎に炸裂した。

 「ば、馬鹿な・・・」

 バタッ

 祐樹はそのまま吹っ飛ばされ、地面に落ちた。

 「ぐっ・・・この野郎・・・」

 祐樹は置き上がる。

 「・・・」

 すると健二は変身を解除した。

 「・・・!? 貴様・・・ナメるなぁ!!」

 祐樹は攻撃を加え様とする。が、

 「・・・もういいだろ!!」

 バキィッ!!

 「がっ・・・!?」

 健二のパンチが、祐樹の顔面に炸裂した。

 「な、何故だ・・・」

 バタッ

 祐樹は信じられないという顔で地面に倒れ、変身を解除した。

 「ハア、ハア・・・」

 健二は息切れを起こしている。

 「な、何でだ・・・」

 祐樹は再び立ち上がる。

 「何でだ!! 何で生身のお前に勝てないんだ!! パワーも戦略もオレの方が勝っている筈なのに、何でだ!?」

 祐樹は悔しさから大声で嘆いた。が、

 「・・・今のお前は、あいつ等と同じだ・・・」

 健二が言う。

 「何だと!?」

 「お前は復讐の為ならどんな手段でも使ってやると言った。そしてオレを殺そうとした。が、このまま行けば、お前は人を傷つけ、苦しめ、殺す事にすら抵抗を抱かなくなるだろう。そうなったらあいつ等と同じじゃないか」

 「く・・・貴様・・・」

 祐樹は歯を噛んだ。

 「人を苦しめ、傷つけるだけなら、お前は立派な悪人だ。そうなれば、オレはお前を倒さなきゃならない」

 「ええい、うるさい!!」

 祐樹が怒鳴る。

 「ちょっとオレを超えたからっていい気になりやがって! お前なんかにオレの気持ちが解ってたまるか! いいか、オレは負けてないぞ・・・次に戦うときがお前の命日だ!!」

 祐樹はそう言うと健二に背を向けた。

 「おい、待てよ・・・」

 「黙れ! 覚悟しておくんだな、青山健二・・・」

 祐樹はバイクに乗って走り去った。

 「・・・っ、何て奴だ・・・」

 健二は悔しさから歯を噛んだ。




 「くそっ!! 調子に乗りやがって・・・!!」

 祐樹は怒りと不快感で腹を立てていた。

 「整備と調整にミスがあっただけだ・・・次は絶対に負けん・・・」




 「フン、結局はおあいこか・・・」

 沢田は腹立たしげにモニターを見た。

 「やはり、我々が片付けねばならない様だな・・・」

 そういうと沢田は席を立った。




 翌日

 「もう一人の仮面ライダーの出現だと?」

 健二から話を聞いた之村博士は顔をしかめた。

 「ええ、大学の東山という奴らしいんですが・・・」

 「君の友人か?」

 「いや、1度話した事があるだけで・・・それ以外は特に面識は無いです」

 健二が言う。

 「が、問題は何故その東山という学生が変身できたという事だが・・・」

 「よくは解らないんですが、彼はオレの左腕を改造した連中に復讐すると言っていました」

 「左腕を改造だと・・・?」

 「何か心当たりがあるんですか?」

 「君の場合は右腕にコブラの遺伝子が組み込まれている様だが、もしかするとその東山という学生は左腕に何かの遺伝子を組み込まれたのかもしれん・・・」

 「という事は・・・彼が復讐しようとしている組織は・・・」

 「ガルグド・メタル・・・」

 「という事は・・・彼が使っていた機械もガルグド・メタル製って事ですか・・・」

 「それは解らんが、その可能性も否定できんだろう・・・。いずれにせよ、今後は東山という学生にも注意した方がいいな・・・」

 「そうですね・・・」




 「一体何に没頭しているのかしら、お兄ちゃんは・・・」

 学校の廊下の窓から外を見ていた真琴が言う。

 昨日の夜に健二は何も言わずに出かけたのだが、それだけではなく、どうも最近健二の行動が何となく焦っている様な感じがしたからだ。

 「やっぱり、また変な怪物でも出たのかしら・・・」

 そこへ、

 「よっ、元気無いみたいだけど、どうかしたの?」

 恵美が背中から声をかける。

 「え? いや、ただ空を眺めてただけよ」

 「アンタも暇な人ねぇ・・・」

 「余計なお世話よ・・・。それより、何か用でも有るの?」

 「ええ、陸上部のミーティングがあるみたいだから、行った方がいいんじゃないの?」

 「! いけない! 忘れてた!」

 「ほらほら、早く行きなさいよ」

 「うん! ありがと!」

 そう言うと真琴は慌てて走り出した。

 ダッ

 そしてそのまま曲がり角まで高速で消えた。

 「さすが、陸上部次期キャプテン最有力候補」




 「うわっ!!」

 「きゃあっ!!」

 ドカァッ!!

 曲がり角を曲がった直後、真琴は誰かとぶつかった。

 「いったぁい・・・。あ」

 「ててて・・・。あ」

 ぶつかった相手はリュークだった。

 「あ、すいません!」

 リュークはすぐさま立ち上がり、真琴に手を差し出した。

 「あ、ありがとう・・・」

 手を握って立ち上がる真琴。

 「すいません・・・。ケガは無いですか?」

 「え、ええ。大丈夫・・・」

 「そうですか・・・。じゃ、僕はこれで」

 ヒュゥッ

 そう言うとリュークは走り去った。

 「・・・」

 それを見て呆然とする真琴。が、

 「あ、急がなくちゃ・・・」

 ダッ

 用件を思い出して再び走り出す。





 「ま、また怪物だ!!」

 「うわあぁっ!!」

 人々が逃げ回る。

 「グゲゲゲゲ・・・」

 そこに現れたのは、クモの様な姿をした怪物であった。

 バイオソルジャー、デスパイダーである。

 「グゲァ!!」

 ブシャッ!!

 デスパイダーは口から糸の様な物を吹き出した。

 「うわあぁっ!!」

 逃げようとした人が糸に絡まった。

 「グゲェ!!」

 そのまま大きく糸を振り上げる。

 「うわあぁっ!?」

 ドガァッ!!

 絡まった人はそのまま地面に叩き付けられ絶命した。

 「グゲゲゲゲ・・・」




 「また来たのか・・・」

 ブラストバイパーで現場に駆け付けた健二が言う。

 「昨日はライダー今日は怪人、全く、物騒だ・・・」

 「グゲゲゲゲ・・・」

 そんな健二の嘆きを無視して、デスパイダーは戦闘態勢に入る。

 「だが、戦わない訳にはいかないからな」

 そしてバッグから2つの機械を取り出した。

 「行くぜ、変身!」

 健二はライダースーツを装着した。

 「一気にケリを付けてやる!」

 ガキィッ

 そう言うと健二はブラストバイパーからコンバットソードを取り外し、戦闘態勢を取った。

 「グゲゲゲゲ・・・」

 ブシャァッ!!

 デスパイダーは口から糸を吐いた。

 「ちっ」

 健二は攻撃をかわす。

 「そんなこけ脅しに引っかかるかぁ!!」

 そしてそのまま高速で走り出す。

 「食らえ!!」

 健二はデスパイダーに斬りかかろうとした。が、

 「ショォォッ!!」

 「な、何!?」

 突然何かの声が響いた。が、

 バサァッ!!

 「うわっ!?」

 次の瞬間、突然健二の体は中に浮かんだ。

 「な、何だこれは!?」

 健二は目を見張った。

 「どういう事だ!?」

 健二は背中に目をやった。すると、

 「ショォォッ!!」

 そこには、全身黒の、カラスの姿をした怪物がいた。

 バイオソルジャー、ウイングクロウである。

 「か、カラスだって!?」

 健二は驚いた。が、

 「グギャァ!!」

 ブシャァッ!!

 それを見たデスパイダーが糸を吐いた。

 「何!?」

 その糸は健二の足に絡みついた。

 「ショォォッ!!」

 バッ

 「えっ!?」

 ウイングクロウは健二を掴んでいた足を離した。

 「グギャァ!!」

 ブンッ!!

 「おわっ!?」

 デスパイダーは糸を思いきり引っ張った。

 ドガァッ!!

 「がっ!?」

 健二は地面に叩き付けられた。

 「ぐ・・・この野郎」

 健二は立ち上がる。が、

 「グギャァ!!」

 ズバッ!!

 「がっ!?」

 今度は何かが健二に斬りかかった。

 「が、お前は・・・」

 そこにいたのは、青いカマキリの怪物、ブルーキルマンティスだった。

 「グゲゲゲゲ・・・」

 「ちっ、3体1かよ・・・」

 健二は焦りを感じた。

 「何体だろうが、やるしかないな・・・」

 そしてコンバットソードを構える。が、

 「グゲァ!!」

 ヒュッ

 「何!?」

 突然コンバットソードが宙を舞った。

 「ど、どうなってんだ!?」

 健二は目を見張った。が、

 バシッ!!

 「うわっ!?」

 突然健二に鞭の様な衝撃が走った。

 「まだ何かいるのか!?」

 健二は辺りを見た。すると、

 「グゲゲゲゲ・・・」

 ブシャァァッ

 「何!?」

 突然、何も無い空間から、カメレオンの様な姿の怪物が出現した。

 バイオソルジャー、スケルターカメレオである。

 「ちっ、4対1かよ・・・」

 健二は歯を噛んだ。




 「ねえ、リューク君・・・」

 学校からの帰り際、真琴はリュークに話しかけた。

 「え!? な、なんですか?」

 リュークは慌てて反応した。

 「よかったら、一緒に帰らない?」

 「・・・えっ!?」

 「そんなに驚かないでよ。友達の恵美が部活で、私は部活が無いってだけの話なんだから。駄目?」

 「え? あ、勿論いいですよ・・・」

 「ありがとう。じゃあ行こう」

 「は、ハイ!」




 「ちょっと厄介な事になったな・・・」

 辺りを見回しながら健二が言う。

 「まずは、あのカマキリから片付けた方が良さそうだな・・・」

 そしてブルーキルマンティスを見据える。

 「グゲゲゲゲ・・・」

 「とにかく、行くぞ!」

 健二は走り出す。が、

 「グギャァァ!!」

 ヒュゥッ!!

 「何!?」

 健二の足にスケルターカメレオの舌が巻きついた。

 「グゲァ!!」

 そして健二を大きく振り上げた。

 「うわあ!?」

 そのまま健二は上空に投げ出された。が、

 「ショォォッ!!」

 ガシッ

 そのままウイングクロウが飛来し、健二を押さえた。

 「何!?」

 「グギャァ!!」

 ブシャァァッ!!

 そしてデスパイダーが糸を吐く。

 「うわっ!!」

 健二の足に糸が巻きついた。

 「ショォォッ!!」

 バッ

 ウイングクロウは足を離す。

 「うわあぁっ!!」

 再び健二は宙に投げ出された。

 「グゲァ!!」

 ブンッ

 そしてデスパイダーは糸を引っ張る

 「グギャァ!!」

 タイミングを合わせる様に、ブルーキルマンティスが跳躍した。

 「何!?」」

 「グギャァ!!」

 ズバッ!!

 「がっ!?」

 ブルーキルマンティスは健二に斬激を加える。

 ドガァッ!!

 「ぐはっ!!」

 そのまま健二は地面に叩き付けられた。

 「くそっ・・・」

 健二は再び起き上がる。が、

 「グギャァ!!」

 バシッ!

 「うわっ!?」

 再び突然の衝撃が健二を襲う。

 「グゲゲゲゲ・・・」

 そして何も無い空間からスケルターカメレオが出現した。

 「ちっ、なんて奴等だ・・・」

 健二は歯を噛んだ。

 「ショォォッ!!」

 そこへウイングクロウが高速で飛来してくる。

 ドガァッ!!

 「うわっ!?」

 そしてそのままウイングクロウは体当たりを仕掛けた。

 「くっ、このままじゃらちがあかない・・・」

 健二は焦った。

 「ショォォッ!!」

 しかし、ウイングクロウは再び高速で接近して来た。

 「ちっ、どうすれば・・・」

 しかし、

 ドガァッ!!

 「ショォォッ!?」

 突然ウイングクロウは何かにぶつかられたかの様にバランスを崩した。

 「何だ!?」

 健二は再び驚く。すると、

 ウィィィン

 「あれは・・・」

 突然、βファルコンが出現した。

 「あれは確か、リューク君のロボットだったか?」

 驚く健二。そこへ、

 「大丈夫ですか!健二さん!」

 リュークだった。

 「リューク君、それに真琴・・・」

 リュークの後ろには、しっかり真琴が隠れていた。

 「とにかく、空中のアイツはこちらに任せてください!」

 「そ、そうか、じゃ、頼んだ!」

 「真琴さん、ちょっと下がっててください」

 「え? あ、解ったわ・・・」

 「よし、行け! βファルコン!」




 「これで空中の問題は何とかなった・・・」

 健二は辺りを見た。

 「グゲゲゲゲ・・・」

 ブシャァァッ!!

 デスパイダーが糸を吐く。が、

 「そうそう何度も同じ手に乗るか!」

 シュタッ

 健二は攻撃を難なくかわす。

 「でえぇい!」

 ガシッ

 そしてそのまま叩き付けられた時に落としたコンバットソードを拾う。

 「お前から片付けてやる!」

 健二はデスパイダーを睨みつけると、そのまま高速で走り出した。

 「グゲゲゲゲ!?」

 ブシャァァッ!

 デスパイダーは再び糸を吐く。

 「グゲァ!!」

 後ろでスケルターカメレオは舌を伸ばして攻撃しようとした。が、

 「その手にも乗るかよ!」

 ヒュッ

 そのまま健二は跳躍した。

 そして、

 「グゲゲゲゲ!?」

 「グゲァ!?」

 デスパイダーの吐いた糸はスケルターカメレオの舌に巻きついた。

 シュタッ

 「これで動きは封じた・・・」

 地面に着地した健二は、再び高速で走り出した。

 「グゲゲゲゲ!?」

 デスパイダーは回避しようとする。が、

 「でええぇぇい!!」

 ズバッ!!

 「グゲェ!」

 回避する前に、健二が斬激を加えた。

 「まだまだ!」

 ズバッ!

 「グギャァ!」

 ズバッ! バンッ! グサッ!

 健二は続け様に斬りかかる。

 「グゲゲゲゲ!?」

 「これでとどめだ!」

 健二はコンバットソードを構えた。

 「でええぇい!!」

 ズバッ!!

 ブシャァァッ!!

 血を吹き上げ、デスパイダーの胴体と頭部が分離した。そして、

 ドガァン!!

 デスパイダーは大爆発を起こした。

 「グゲゲゲゲ・・・!?」

 それを見たスケルターカメレオは1歩退いた。が、

 「グゲゲゲゲ・・・」

 ブルーキルマンティスは健二を睨みつけた。

 「はっ」

 それを見た真琴は、急に胸騒ぎを感じた。

 「お兄ちゃん!」

 「ま、真琴さん!?」

 真琴はそのままリュークの背中から走り出した。

 「グゲァ!!」

 キルマンティスは健二に斬りかかろうとした。

 「何!?」

 健二はそれに気付き、かわそうとした。が、

 「お兄ちゃん! 危ない!」

 そこへ真琴が走って来た。

 「な、真琴!?」

 健二は驚いた。しかし、

 「グゲァ!!」

 ブルーキルマンティスが鎌を振り下ろす。そして、

 ズバァッ!!

 それは一瞬だった。

 血が辺りに飛んだ

 「・・・あ・・・」

 バタッ

 真琴の身体は地面に落ちた。

 ブルーキルマンティスの鎌は、健二をかばった真琴の左腕を切り裂いた。

 「・・・え・・・?」

 健二は呆然と立ち尽くした。

 「ま、真琴さん!」

 リュークは目を見張った。そしてその場へ駆け寄った。

 「真琴さん! しっかりしてください! 真琴さん!」

 リュークは真琴を揺さぶった。

 「痛い・・肩が、痛い、痛い、よぉ・・・」

 真琴の両目からは大粒の涙がこぼれていた。

 「・・・」

 健二の頭は真っ白になっていた。しかし、その中で、確かに存在する感情があった。

 悲しみ、怒り、その2つだった。

 「うおぉぉっ!!」

 健二は大声で叫んだ。

 そして、そのまま彼の意識は途絶えた。





 「グゲゲゲゲ・・・!?」

 ブルーキルマンティスは目を見張った。

 突然、目の前の光景が変化した。

 いや、性格には目の前の敵の姿が変化した、と言うべきか。

 突如健二の全身を覆っていたライダースーツがゲル状の姿に戻ったかと思うと、そのままライダースーツは形を変えた。

 そして現れた姿は、黒地の上に緑色の装甲、腕からは刃物の様な物が生えており、そして、巨大な複眼と蛇の様な形をした頭部、あきらかにこれまでの姿とは違っていた。

 「け、健二さん・・・?」

 それを見たリュークも驚いた。

 「グゲゲゲゲ・・・」

 ブルーキルマンティスは戦闘体勢に入る。が、

 「・・・」

 ヒュゥッ

 「グゲ?」

 健二は一瞬でブルーキルマンティスの後方に移動した。が、

 ポロッ

 「ゲ?」

 ブルーキルマンティスの鎌は、突然折れた。が、

 「グ、グギャァァ!?」

 ブシャァァッ!!

 ブルーキルマンティスが断末魔の叫びをあげた次の瞬間、血を吹き上げながら、胸部が斜めに切れた。そして、

 ドガァン!!

 そのまま大爆発を起こした。

 「グゲゲゲゲ・・・!?」

 スケルターカメレオは一瞬の事に呆然とした。

 「つ、強い・・・」

 リュークも同じだった。が、

 「ショォォッ!!」

 ドガッ

 ウイングクロウはβファルコンの制止を振り払い、攻撃体勢を取った。しかし、

 「・・・」

 ダッ!

 健二は大きく跳躍した。

 「ショッ!?」

 ウイングクロウは目を見張った。突然目の前の高さまで健二は跳躍して来たのだ。

 「ショォォッ!!」

 ウイングクロウは攻撃を仕掛けようとした。が、

 ヒュッ

 そのまま健二はウイングクロウの頭部に着地した。

 「ショッ!?」

 またも驚くウイングクロウ。しかし、

 ガシッ!

 健二はウイングクロウの翼を掴んだ。そして、

 ブチィッ!!

 「ショォォッ!?」

 健二は軽くウイングクロウの翼を引き千切った。そして、

 ドガァッ!!

 そのまま蹴り飛ばした。

 「ショォッ!?」

 そのまま墜落して行くウイングクロウ。

 ドガァン!!

 そして地面に激突する。が、

 「・・・」

 健二は右腕の刃物を前方に向けた。そして、

 グサァッ!!

 「ショォォッ!?」

 そのまま刃物を墜落したウイングクロウに突き刺した。

 ドガァン!!

 ウイングクロウは大爆発を起こす。

 「・・・」

 健二は辺りを見回す。が、

 「グゲァ!!」

 シュル

 腕に何かが巻きつく。

 「グゲゲゲゲ・・・」

 消えていたスケルターカメレオが姿を現し、健二の腕に舌を巻きつけた。が、

 「・・・」

 ブチィッ!!

 「グゲェ!?」

 健二は軽く腕を引っ張っただけで舌をもぎ取った。

 「グゲゲ・・・!?」

 スケルターカメレオは恐れをなして逃げようとする。が、

 「・・・」

 ダッ

 健二は無言で高速で走り出した。

 「グゲ!?」

 そしてスケルターカメレオの前に立った。

 「・・・」

 バキィッ!!

 「グゲァ!?」

 健二はスケルターカメレオの頭部を殴った。

 「グゲ・・・」

 スケルターカメレオはよろめいた。が、

 バキィッ!!

 「グゲェ!?」

 健二は更に攻撃を加える。

 バキィッ! べキッ! ドガァッ!!

 健二の攻撃は容赦なく続く。

 「グゲゲゲゲ? ・・!?」

 スケルターカメレオには反撃の隙は無かった。

 ガシッ

 そして健二は左腕でスケルターカメレオの頭部を掴み、右腕の刃物を前方に展開した。

 「グゲゲゲゲ・・・!?」

 スケルターカメレオは逃げようとしたが逃れる事が出来ない。そして、

 「・・・ウォォォッ!!」

 健二は唸り声をあげた、次の瞬間、

 ブシャァァッ!!

 「グギャァァ!!」

 健二はスケルターカメレオの頭部に刃物を突き刺した。

 バタッ

 健二が手を放すと、スケルターカメレオは地面に落ちた。そして、

 ドガァン!!

 スケルターカメレオは大爆発を起こした。

 「す、凄い・・・」

 リュークは目の前の光景に圧倒された。3体のバイオソルジャーを、健二はいとも簡単に葬り去った。

 「・・・」

 健二はそのまま立ち尽くした。そして、変身が解除された。

 「け、健二さん・・・」

 健二の目はうつろを向いていた。

 「オレは、一体・・・」

 そして何かに取り付かれたかの様に力の無い声で言う。

 「お、お兄ちゃん・・・」

 真琴はわずかに目を開け、健二を見た。

 突如出現した新たなる姿。健二に一体何があったのか・・・?


次回予告

 突然新たなる力を解放させた健二。しかし、その力が一体何なのか、それは明らかにされなかった。一方、度重なる失敗により、沢田はガルグド・メタルを追放される。そして、自分の名誉をかけ、健二に戦いを挑む。

 仮面ライダーコブラ 第15話 科学者の意地<プライド>

 魂の叫びが、聞こえるか?


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