「おや・・・何をそんなに驚いているのかね・・・」

 沢田はテーブルの上に置いてあったコーヒーを飲みながら言う。

 「・・・何で・・・」

 健二は口を開いた。

 「何でアンタがここにいるんだ!?」

 そう言うと健二は沢田の襟を掴もうとした。

 「まあ待て・・・」

 それを制止する沢田。

 「人の話は最後まで聞く事だな・・・」

 そして不敵な笑みを浮かべる。

 「クッ・・・」

 健二は歯を噛んだ。

 「ふっふっふっ、まあとりあえず、座りたまえよ・・・」


仮面ライダーコブラ

第16話
科学者の意地<プライド>


 「そういえば、自己紹介がまだだったな・・・」

 そう言うと沢田は、ポケットから一枚の紙を取り出した。

 「挨拶代わりだ、取って起きたまえ・・・」

 その紙には「ジーポート保険株式会社取締り役 沢田明」と書かれていた。

 「ジーポート? こんな会社は聞いた事無いぞ?」

 「当然だ、その会社は架空の企業なのだからな・・・」

 沢田が言う。

 「それに、今更何を言っても意味は無い・・・」

 「・・・何故だ?」

 「私はガルグド・メタルから解雇された身だからな・・・」

 「何?」

 健二は顔をしかめた。

 「君が逃亡してからというもの、不調が続いたからさ・・・」

 沢田は言葉を切る。が、

 「あの時貴様を逃しておかなければ、私は今も安定した地位に居座っていられただろう。あの時、貴様の改造実験が上手くいっていればなぁ!!」

 声を張り上げ、健二に指を指す沢田。

 「なっ!? ちょっと待て!」

 健二はテーブルを叩いた。

 「自分が組織から追われたからって、その責任をオレに全て押し付けるか!?」

 「無論、貴様だけではない。レミィ・デカルトや、貴様に手を貸した全ての人間に対してだ・・・」

 「デカルトさんを知っているのか?」

 「そうだ。我々にとっては厄介な反乱分子の一つだからな。向こうは我々を親の仇と考えているらしいがな・・・」

 「どういう事だ?」

 「彼女の父親、アヴァン・デカルト博士は、我々が殺した・・・」

 「何だと!?」

 「我々にとってアヴァン博士は少々厄介な存在だったからな。残念だが死んでもらった・・・」

 「くっ、貴様・・・!!」

 健二は再び沢田を殴ろうとする。が、

 「まあ待て。殺害を指示したのは私ではない」

 「何?」

 目を細める健二。

 「そんな出任せが通じるとでも思っているのか?」

 「信じるも信じないも貴様の勝手だ。だが、今はそんな事はどうでもいい・・・」

 「何?」

 「私は、貴様に復讐する為にここに来たのだからな・・・」

 「復讐だと? どうやってだ」

 「フッ、これだ・・・」

 そう言うと沢田は、テーブルの上にアタッシュケースを置いた。

 「これは・・・」

 「見ろ・・・」

 そう言うと沢田はアタッシュケースを開けた。すると、

 「これは・・・?」

 健二は驚いた。

 中には、健二の持つ機械とよく似た形の箱、折り畳まれた様な形状の武器の様な物が入っていた。

 「ガルグド・メタルが研究していた、戦闘用スーツの試作型だ」

 「戦闘用スーツだと?」

 「フッ、細かい事はどうでもいい。私の言いたい事が理解出来るな?」

 「・・・戦えという事か・・・」

 「そうだ。今日の午後3時、この場所で待っている」

 そう言うと沢田はテーブルに一枚の紙を置き、席を立った。

 「フッ、良い返事を期待しているぞ・・・」

 そう言うと沢田は歩き出した。

 「・・・」

 健二は無言でその紙を手に取る。そこへ、

 「お待たせしました、モーニングサンドセットです」

 店員が注文したメニューを運んで来た。

 「ごゆっくりどうぞ・・・」

 笑顔で去って行く店員。

 「・・・クソッ!」

 健二は腹立たしげにサンドイッチにかぶりついた。





 同じ頃、大阪

 そこを、1台の黒い車が走っていた。

 「そろそろかね?」

 その車の後部座席に座っていた男が言う。

 「ハイ、もう見えて来ました」

 運転手の男はそう言うと、一軒のビルの前に車を停めた。

 「到着しました。降りてください」

 自動でドアが開き、男は降りた。

 髪は乱れてぼさぼさしており、顔には不精髭を生やしている。真新しい白衣と、不潔そうな男とのギャップは激しかった。

 「フン、古ぼけた建物だな・・・」

 男は見下す様な口調でビルを見た。

 「とにかく、入るぞ・・・」

 そう言うと男はビルの中に入った。





 「社長、Dr.ヒメヤが大阪の研究所に到着した様です」

 秘書が説明する。

 「そうか・・・」

 マッドはデスクの上のパソコンのキーボードを叩きながら言う。

 「着任したからには、彼にはそれ相応の働きをしてもらわねばな・・・」

 マッドは笑う。

 「それと社長」

 話を続ける秘書。

 「Dr.ヒメヤが開発した新型メタルソルジャーですが・・・」

 「ああ、問題無い。日本に送ってくれ」

 「解りました・・・」

 そう言うと秘書は部屋を後にした。





 「ほう・・・」

 Dr.ヒメヤという男は内部のモニター室を見て驚いた。

 「まさか、こんなビルにこの様な機能が備わっているとはな・・・」

 そう言うとその場にあったイスに座った。

 彼は数年前、とある「財団」から来た技術者であり、アメリカにおいて、主にメタルソルジャーの開発を担当していた。日本側の研究員はバイオソルジャーを優先的に開発していたが、アメリカ側ではメタルソルジャーが優先的に開発されていた。現に沢田らが使っていたメタルソルジャーはアメリカで開発され、組み立ては日本で行われるという方法を取っている。

 Dr.ヒメヤはそのプロフェッショナルと言える人間であり、現在までに運用されているメタルソルジャーの殆どが彼が開発した物であった。

 「この部屋はこの施設の中核とも言える部屋です。情報収集等はここで行われています」

 黒服の男が説明する。

 「成る程な・・・では、研究室はどこだ?」

 「今案内します・・・」





 「ここが実験室兼研究室です・・・」

 「・・・随分殺風景だな・・・」

 部屋の内装は、中央に白い手術台が一台置かれ、モニターが一台設置され、照明は手術台の上に釣り下がっていた。予想以上にシンプルな構造である。

 「見た所、ここはバイオソルジャーの手術台の様だが・・・」

 「はい、ここで拉致した人間に改造を施し、バイオソルジャーへと改造します」

 「ふん、くだらん・・・」

 ヒメヤは鼻息をついた。

 「そんなちまちまとした手法を取り続けるなど、コスト面でも手間の面でも明かに無駄、ナンセンスだ。第一、所詮はか弱い生き物でしかない人間から理性を奪って狂暴化させて何が残るというのだ。バイオソルジャー等より我々が作り上げてきたメタルソルジャーの方が優秀に決まっている」

 腹立たしげに話すヒメヤ。

 「しかし、日本でのバイオソルジャーの開発が占めるシェアはメタルソルジャーに比べても多いです」

 「そんな事は解っている。だが、その計算も直に覆されるだろう・・・」

 そしてヒメヤは不敵な笑みを浮かべた。





 「ここが動力室です」

 そこは地下の一室だった。

 「やけに厳重な部屋だな・・・」

 「この施設のもう一つの核になっている部屋ですからね・・・」

 そう言うと黒服の男は部屋の鍵を開けた。

 「どうぞ・・・」

 ヒメヤは部屋の中に入った。





 「ん?」

 部屋の中央にいたアポカリプスは、中に見知らぬ人間が入ってきた事に気が付いた。

 (・・・あの男は誰だ?)

 アポカリプスは不信な目を向けた。

 「これがMSA−01 アポカリプスかね?」

 アポカリプスに気付いたヒメヤが言う。が、

 「君は誰だ?」

 アポカリプスはヒメヤに尋ねた。

 「・・・驚いたな、自我を持っているのか?」

 ヒメヤは驚いた顔で言う。

 「はい、MSA−01はメタルソルジャーを操る為に自我が搭載されています」

 またも黒服の男が説明した。

 「ほう、日本産のメタルソルジャーはそんな事までしているのか・・・」

 ヒメヤはアポカリプスを見て言う。

 「そんな事より、君は誰だ?」

 アポカリプスは再び聞き返す。

 「私はDr.ヒメヤ。新たにここの研究所の主任となった・・・」

 「主任だと?」

 アポカリプスは不信そうな目をする。

 「ここの主任は沢田博士だった筈だが?」

 「その沢田という人間は解雇された。代わりに私がここの主任となった訳だよ・・・」

 「何・・・?」

 ヒメヤの口元がにやける。

 「その君が、私に何の用だ」

 「言葉を慎みたまえ。私は今日からここの主任となったのだ。以後、私の命令には従ってもらう」

 「・・・フン、偉そうな口を言ってくれるな・・・」

 アポカリプスは予想もしない台詞を言い返す。

 「何だと?」

 「私を開発した沢田博士ならともかく、君の様な赤の他人が偉そうな態度を取っていることが腹が立つのだ・・・」

 「・・・貴様、自分の立場を忘れたのではあるまいな?」

 ヒメヤは冷たい声で言う。

 「貴様等メタルソルジャーの支配権は全て我々が握っているのだ。その気になれば貴様から自我を奪う事もたやすい。そうなりたくなければ、素直に我々の
 命令に従う事だな・・・」

 「・・・解った・・・」

 フッ、それでいい。では、早速貴様にはやってもらわねばならない事がある」

 「・・・何だ?」

 「新型メタルソルジャーのテスト運用だ・・・」

 「テストだと?」

 「そうだ。社長の命令により、貴様は鳥取へ反乱分子の駆逐へ向かってもらう。新型メタルソルジャーのテスト運用も兼ねてな・・・」

 「反乱分子・・・仮面ライダーの事か・・・」

 「どう呼ばれているかは知らんが、それが貴様に与えられた任務だ・・・」

 「・・・面白い、今すぐ向かってやる・・・」

 アポカリプスは立ち上がろうとした。が、

 「待て」

 ヒメヤはそれを制止する。

 「まだそのメタルソルジャーの最終チェックは完了していない」

 「何?」

 「明日には全てが完了する。それまで待て・・・」

 「・・・呆れた話だな・・・」

 アポカリプスは呆れた口調で言う。

 「フッ、まあいい、戦うまでに準備を整える事も必要だ・・・」

 そう言うと彼はまた姿勢を戻す。

 (くっ、この愚か者めが・・・)

 ヒメヤは憎たらしい目でアポカリプスを睨んだ。






 「で、話したい事とは何だ」

 之村博士が言う。

 健二は之村博士の家を尋ねていた。

 「ええ、実は・・・」

 言葉を切る。

 「オレを改造した人間が現れたんです」

 「・・・何だと?」

 之村博士は驚く。

 「君を改造した人間・・・ガルグド・メタルの人間か?」

 「ええ、そしてこんな名刺を置いて行きました・・・」

 そう言うと健二はポケットから一枚の名刺を取り出した。

 「ちょっと見せてくれ・・・」

 之村博士はその名刺を手に取った。

 「ジーポート保険株式会社取り締まり役員・・・! そんな・・・!」

 博士は再び驚いた。

 「くっ、何という事だ・・・」

 「・・・博士、どうしたんですか?」

 健二が言う。

 「その、沢田という男について何か知っているんですか?」

 続け様に尋ねる健二。が、

 「・・・沢田は、私の同僚だった・・・」

 「・・・えっ!?」

 健二は目を見開いた。

 「ど、同僚って事は・・・博士はガルグド・メタルの人間だったんですか!?」

 「・・・そうだ・・・」

 「そんな・・・」

 「いや、もう昔の話だ・・・」

 「と、言うと・・・」

 「とりあえず、一度ちゃんと話しておこう・・・」

 「は、はい・・・」





 市内の一角にある、古ぼけた大型ビル。

 数年前まではホテルとして機能していたが、営業不振により倒産。しかし、解体には莫大な費用がかかる等の理由で、今も手付かずになっていた。

 「ここだな・・・」

 そのビルの前に、健二は立っていた。

 沢田が置いて行った紙に書いてあった場所はこのビルの屋上だった。

 「しかし、なんでこんな古ぼけたビルに呼んだんだ?」

 健二は不信を持ちつつもビル内に入った。





 「ふっ、来たか・・・」

 屋上に到着した健二を、沢田が待ち受けていた。

 「約束通りに来てやったぜ」

 健二は沢田を睨んだ。

 「しかし、わざわざ廃ビルの屋上を指定するなんて、逃げられない様にとでも思ったのか?」

 健二が言う。

 「ふっ、当たらずとも遠からずだな。が、」

 沢田は言葉を切る。

 「このビルを見て見ろ。以前はちゃんとホテルとして機能していたが、今ではその面影も無くこの有様だ・・・」

 「・・・何が言いたいんだ?」

 「かってはどれ程栄えた物でも、やがては衰え、遂には滅びる。このビルはそう言ってる様に思えないかね・・・」

 「それが今のアンタの境遇か?」

 「ふっ、どうでもいいさ。が、」

 沢田は手に持ったトランクを開き、中から箱の様な機械と折り畳まれた武器の様な物を取り出した。

 「このビルは、貴様の墓標となるのさ」

 沢田は機械を腰に装着した。

 「それがあんたの処刑道具か」

 「そうだ。ガルグド・メタルが試験的に開発した物だがな」

 そして次の瞬間、ベルトからゲル状の物質が現れ、そのまま沢田の全身を覆った。

 「強化スーツか・・・」

 目の前の光景を見た健二が言う。

 今の沢田の姿はライダースーツの様に全身を覆われているが、その姿は健二の物とは大きく異なっていた。強いて言うなら、健二のライダースーツから有機的な意匠を廃し、そこに兵器的な意匠を取り入れている様な姿であり、力強さを感じさせた。

 「行くぞ・・・」

 沢田は武器の様な物を手に取った。

 そしてそれは、一瞬で折り畳まれていた本体が変形し、マシンガンの様な形状になった。

 「食らえ!!」

 沢田は健二に銃口を向けた。

 そして次の瞬間、健二に機銃掃射を仕掛けた。

 「ちっ」

 健二はそれをかわす。

 「そうそう簡単に殺されてたまるか!」

 健二は素早くバッグから機械を取り出した。

 「行くぞ、変身!」

 そして健二はライダースーツを装着、仮面ライダーとなった。

 「ふっ、そう来なくてはな・・・」

 沢田は再び銃を構える。

 ライダーもバッグからコンバットソードを取り出し、構えた。

 「接近戦で戦うつもりか?」

 「生憎、こっちには飛び道具が無くてね・・・」

 「ふっ、ならばその事を後悔させてやる!」

 再び機銃掃射を仕掛ける沢田。

 「そう来るか」

 ライダーは素早く攻撃をかわす。

 「あのロボットと同じ戦い方だな・・・」

 ライダーは以前戦った銀色のロボットを思い出した。そいつもマシンガンを使っていた。

 「だったら、懐を狙えば・・・!」

 ライダーは沢田を見据えると、そのまま高速移動を仕掛けた。

 「ふん、自ら突っ込んでくるか・・・」

 沢田は再び機銃掃射を仕掛けた。が、

 「なんの!」

 ライダーは攻撃をかわしながら沢田に向かって行く。

 「ちっ!」

 ある程度予想はしていたが、沢田はライダーのスピードに驚いた。

 「でえぇぇい!!」

 そのまま沢田の懐に飛び込み、斬撃を加えようとするライダー。が、

 「甘い!」

 「何!?」

 ライダーが接近した瞬間、沢田の武器が変形し、剣の様な形になった。

 「おわっ!?」

 コンバットソードと沢田の武器が激突する。

 「馬鹿が!」

 そのまま一方の剣が弾き飛ばされた。

 「しまった!」

 弾き飛ばされた剣を追おうとするライダー。が、

 「死ね!!」

 沢田は再び武器をマシンガンに変形させ、攻撃して来た。

 「くっ!」

 ライダーは後方に大きく跳躍してかわす。が、

 「! しまった!」

 跳躍して気付いたが、ライダーが跳躍した先は屋上のフェンスのギリギリだった。平地での戦いが多かった為、反射的に後方へ跳躍して回避した為であった。が、

 「ふっ、残念だったな・・・」

 沢田は空中に投げ出されたライダーに銃口を向けた。

 「流石に空中では、体の制御が利かないだろう!!」

 そして弾丸が走る。

 「うわあぁぁっ!!」

 その弾丸は確実にライダーに命中した。

 「ぐ・・しまった・・・」

 そのままライダーはフェンスのわずか外に投げ出された。

 「フハハハハ、そのまま地獄へと転落するがいい!!」

 沢田は勝利を確信した。が、

 「ちっ! まだ落ちるのは早過ぎるぜ!」

 健二はそのまま手を伸ばし、何とかフェンスを掴み、転落を免れた。

 このビルは10階建てであり、ライダースーツの強度なら大丈夫であるが、それでもここで転落するのは少々戦局的に辛い。

 「ほう・・・まだそんな力が残っていたか・・・だが・・・」

 沢田は軽く驚いた。が、

 「これで地獄に送ってやる!!」

 再び機銃掃射を仕掛ける。

 「ちくしょう!」

 何とかフェンスを超えて体勢を立て直すライダー。

 「しつこい奴!」

 ライダーは横に跳躍し、攻撃をかわした。

 「ととと・・・」

 そのまま弾かれたコンバットソードを拾い上げる。

 「くそっ! 悪運の強い奴・・・だが、これで終わりだ!!」

 尚も機銃掃射を仕掛けてくる沢田。

 「うおぉぉっ!!」

 ライダーは攻撃をかわしながら、沢田に向かって行く。

 「ちっ、どういうつもりだ・・・」

 沢田は、再び接近戦を仕掛けるのだろうと判断した。

 「どうやら接近戦を仕掛けるつもりのようだが、無駄だ!」

 沢田は再び武器を変形させようとした。が、

 「これならどうだ!!」

 それを見たライダーは次の瞬間、コンバットソードを投げつけた。

 「何!?」

 予想外の行動に驚く沢田。が、

 「ぐあっ!?」

 コンバットソードは手に持った武器を弾き飛ばした。

 「しまったっ!?」

 そして、隙が生じた。

 「行くぜ!!」

 そのまま沢田に向かって行くライダー。

 「くっ!?」

 かわそうとする沢田。が、

 「でえぇぇい!」

 「!? ぐはっ!?」

 ライダーの右ブローが、沢田の頬に激突した。

 「くそっ・・・」

 体勢を立て直そうとする沢田。が、

 「・・・ぐっ・・・」

 彼の首元にはコンバットソードが突きつけられていた。

 「・・・おのれ・・・」

 沢田は変身を解除した。

 「ゲームセットだな」

 沢田を見下ろしながら、健二が言う。

 「・・・私の負けだ・・・」

 ガックリ膝を付く沢田。

 「殺すなりなんなり、好きにしろ・・・」

 その声には生気が感じられなかった。が、

 「・・・残念だが、アンタを殺す訳にはいかない・・・」

 「何!?」

 沢田は驚いた。

 「アンタには色々聞きたい事がある。それに、」

 ライダーは変身を解除した。

 「オレ、生身の人間を斬る事、出来ないから」

 笑顔を浮かべる健二。その顔は、一滴の悪意も含んでいない、健二の本来の顔だった。


次回予告

 健二は沢田と之村博士の会話から、ガルグド・メタルの実態を垣間見る。一方Dr.ヒメヤは、新型メタルソルジャーを送りこむが、それはとんでもない敵だった。しかし、之村博士が持つ設計図と、デカルト兄弟が持つ2体のロボット。全てのピースが揃った時、アヴァン・デカルト博士の遺産が蘇る・・・。

 仮面ライダーコブラ 第17話 アヴァン博士の遺産


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