「ほう、都市伝説の戦士ですか・・・」

 男はスクリーンに映し出された映像を見ながら言う。

 「おそらく反乱分子の一派が送りこんだ物だろうが、その実力は見ての通りだ」

 マッドが言う。

 「奴を抹殺する事が今回の君の目的だ。アヴァン・ゴーグ隊長」

 「承知致しました。この戦士の戦闘能力がどの程度の物か、自分の目で確かめてみたかったものでしてね・・・」

 ゴーグという男は、不敵な笑みを浮かべた・・・。


仮面ライダーコブラ

第6話
敵将、来たる!!


 「ホントに、凄い性能ですね。このバイク」

 健二は感心した顔で銀咲と話していた。

 「おうよ!職人の作品だぜ、こいつはよ!!」

 銀咲は自慢げに言う。

 「しかし、何でデカルトさんがこのバイクに乗ってきたんですか?」

 「ああ、それはな」



 3時間前

 「怪物が出現しただと!?」

 電話で怪物の出現を聞かされた之村博士は驚いていた。

 「街中で暴れているみたいです。さっきお兄ちゃんが戦いに行きました!」

 電話の向こうで真琴が状況を説明した。

 「そうか・・・。解った。迂闊な行動はしないでくれ」

 「解りました」

 そう言うと真琴は電話を切った。

 「怪物が現れたんですか!?」

 レミィが言う。

 「その様だ」

 「至急現場に向かいます!!」



 「その途中、店長さんに呼びとめられて、これを現場に届けてやってくれっていう話」

 レミィが状況を説明した。

 「そうだったんですか・・・」

 「ところでお嬢さん」

 銀咲が言う。

 「アレの整備が終わったぜ」

 「ええ、ありがとうございます」

 「・・・アレって何ですか?」

 健二が聞く。

 「へへっ、コレの事さ」

 銀咲は店の中に有った布を被った物に近づいた。

 バサッ

 そして布を取り去る。すると、

 「これは・・・」

 健二は驚いた。

 そこに有ったのは、大阪でガルグド・メタルの研究所から自分を助け出したロボット、γゴーレムだった。

 「驚いた? ちょっとここで整備させてもらったの」

 「ええ・・・。でもどうしてバイクショップで?」

 「之村博士がここを紹介してくれたの。店長さんも快く引き受けてくれたわ」

 「まあ、バイクの整備がオレの役目なんだが、複雑な機械を見ると血が騒ぐのさ。中々に整備のし甲斐がある機体だったぜ」

 「ありがとうございます。父の造ったこの機体、そして博士や店長さんの手助け、決して無駄にしません」

 レミィが礼を言った。

 「おうよ! それでこそこの仕事のやり甲斐があるってもんだぜ!」

 銀咲は誇らしげに言った。

 この人は生粋の職人なんだろう。健二は銀咲を見てそんな事を考えていた。



 「よし、いい感じだ・・・」

 祐樹はパソコンに向かいながらライダースーツの解析を進めていた。

 先日持ちかえったコブラとキルマンティスの戦闘のデータを基に、彼は強奪したライダースーツの強化を試みていた。

 「見ていろよ・・・」

 祐樹は目の色を変えてパソコンに没頭していた。

 「この左腕の落とし前、つけさせてもらうぜ・・・」



 「先手を打ち、私の出陣はその後という事ですか?」

 ゴーグがマッドに言う。

 「そうだ。沢田博士にメタルソルジャー、バイオソルジャーを仕向ける様に指示した。まずは様子見だ」

 「もし、先手で敵が倒れた場合は・・・」

 「その方が我々にとって有りがたい結果だ」

 「私個人の意見では、やはり敵の実力を知る為にも一度拳を交えたい物です・・・」

 「ゴーグ隊長、貴公の考えは解らない訳でもない。しかし、反乱分子は無いほうが都合が良い」

 「フッ、その通りですな・・・」



 「グギャギャギャギャ・・・」

 街に流れている川から何かが浮上して来た。

 それは、背中に巨大な甲羅を背負い、手は逆三角形になっており、亀の様な姿だった。

 これが、ガルグド・メタルが仕向けた先手、バイオソルジャー、ガントータスであった。

 「ギギギギギ・・・」

 そこへ2機のファイターソルジャーが出現した。

 「グギャギャギャギャ・・・」

 ガントータスは陸地に向けて歩き出した。



 「チョコパフェ2つ、オレンジジュース2つ追加です」

 川沿いのカフェで、綾子は私服にエプロンという姿でウェイトレスのバイトをしていた。

 「お待たせしました。チョコパフェ2つです」

 綾子はテーブルに注文されたメニューを運んだ。

 ふと彼女は周りを見た。すると、

 「・・・何だろう、あれは・・・」

 ふとこちらに何かが向かってきていた。徐々に姿がはっきりしてくる。しかし、その姿を見た綾子は驚愕した。

 「あれは・・・あの時の・・・・!!」

 そこにいた物は、以前公園で彼女を襲った機械だった。

 しかし、今度はその後ろにガントータスがいた。

 「ウワッ!! 何だアレは!?」

 店内にいた客は迫り来るガント-タスとメタルソルジャーに驚いていた。

 「グゲゲ!!」

 ダダダッ!!

 そしてメタルソルジャーは、手に持っていたライフルを発砲した。

 「うわあっ!!」

 「発砲してきたぞ!!」

 「何なんだアレは!?」

 「こ、殺される!!」

 客達は逃げ回った。

 「あ、あ・・・!!」

 綾子は逃げ出す。だが、

 「グギャァ!!」

 ガントータスは手足を甲羅の中に収納し、回転しながら体当たりを仕掛けて来た。

 ドガアン!!

 「キャアッ!!」

 綾子は間一髪で攻撃をかわす。だが、ガントータスの体当たりにより、店は半壊した。

 「に、逃げなきゃ・・・」

 綾子は必死にその場から走り出した。



 「アレは・・・どうしたんだ?」

 自転車で家に向かっていた健二は、ふと川沿いのカフェがざわついているのを見た。

 「何かの事件・・・まさか、また怪物か?」

 健二は考えた。

 「とにかく、行ってみよう・・・」

 健二はそう言うと、川沿いに向けて方向を変えた。



 「あれは・・・!!」

 偶然川沿いを通りかかった祐樹は、カフェが半壊している事に気付いた。

 「また怪物か・・・?」

 目の前の光景に驚く祐樹。だが、

 「アレ? 東山じゃないか」

 気の抜けた様な声が聞こえた。祐樹が振りかえると、

 「・・・お前は・・・」

 そこにいたのは、自転車に乗った健二だった。

 「何があったんだ?」

 「あそこのカフェが半壊している様だ」

 祐樹は半壊した店を指差す。

 「まさか・・・解った。ありがとう」

 そう言うと健二は自転車から降り、川沿いに向けて走り出した。

 「おい! お前!」

 祐樹は健二を呼び止めようとしたが、

 「はあ、はあ・・・」

 そこへ、カフェから逃げてきた綾子が現れる。

 「松木? 一体どうしたんだ?」

 健二は足を止めた。

 「解らない・・・。でも、以前見たことのある奴が、ここに現れたんです・・・」

 「以前の奴・・・。チッ、やはりあいつ等か・・・」

 健二は小さく舌打ちした。そして再び走り出した。

 「オ、オイ! ・・・アイツって何かの怪物か?」

 取り残された祐樹は、綾子に聞いた。

 「そうみたいなんですけど、よく解らないんです・・・」

 「チッ」

 祐樹は舌打ちした。



 「グギャギャギャギャ・・・」

 カフェを破壊したガントータスは、更に陸地へ進もうとした。が、

 「変身!!」

 健二は走りながらコブラスーツを装着し、ガントータスに向かって行った。

 「でぇえい!!」

 健二はガントータスにパンチを繰り出す。

 「グゲゲ!!」

 が、ガントータスは背を向けた。そして、

 ガンッ!!

 「何ッ!?」

 ガントータスは背中の甲羅をシールドにして健二のパンチを防いだ。

 「クッ、あの甲羅、かなりの強度だ・・・」

 健二は甲羅の固さに驚いた。だが、

 「ギギギギ!!」

 ガントータスの後ろにいたメタルソルジャーがライフルを撃ってきた。

 「おわっ!!」

 健二は弾丸を走りながらかわす。すると、

 「グゲゲ!!」

 ガント-タスは手足を甲羅に引っ込めた。

 「グギャア!!」

 そして高速で回転しながら体当たりを仕掛けて来た。

 「何ッ!?」

 健二が驚く。

 「グガァ!!」

 ガント-タスは高速で飛んでくる。そして、

 ドガアッ!!

 「うわあっ!!」

 健二は体当たりをまともに食らって吹っ飛んだ。

 「チッ、かなりの威力だな・・・」

 健二はそのまま体制を立て直す。

 「グガガ・・・」

 ガントータスは手足を出して着地した。

 「ギギギ!!」

 ダダダッ!!

 「うわっ!!」

 それでもメタルソルジャーの攻撃は飛んでくる。

 「グゲゲ・・・」

 ガントータスは再び体当たりの姿勢に入ろうとした。

 「確かに体当たりの威力は高い。だが、」

 健二は拳を握り、ほくそえんだ。

 「グガァ!!」

 ガントータスは再び体当たりを仕掛けて来た。が、

 「決して、食いとめられない物では無いはずだ!!」

 そう言うと健二は高速で走り出す。そして、

 ドガアッ!!

 ガントータスが健二に激突しようとした。だが、

 「グゲゲゲ!?」

 健二は紙一重の所でガントータスの下に滑り込み、腹部にパンチを叩きこんだ。

 「一気に行くぜ!!」

 健二は再び高速で走り出した。

 「グゲゲゲゲ!?」

 ガントータスは脱出できずに驚くばかりであった。そして、

 「でぇえい!!」

 ドガアン!!

 健二はそのままガントータスをアスファルトに叩きつけた。拳はガントータスの腹部を貫通した。

 「グゲエエェ!!」

 ドガァアン!!

 ガントータスは炎をあげて大爆発を起こした。

 「ギギギ・・・!?」

 メタルソルジャーはまさかの結末に驚いた。

 「後は、お前等だけだな・・・」

 健二はメタルソルジャーに目を向ける。

 「ギギギギギ!!」

 メタルソルジャーは健二に向けて発砲した。が、

 「遅い!」

 健二は既にメタルソルジャーの懐に飛び込んでいた。

 「グゲゲ!?」

 バァン!!

 メタルソルジャーの首が吹っ飛んだ。

 「ふう・・・」

 健二はコブラスーツを解除した。が、

 突然拍手が聞こえてきた。

 「・・・誰だ?」

 健二は顔をしかめた。すると、

 「まさかメタルソルジャーとバイオソルジャーを破壊するとは・・・。流石だな」

 そこに現れたのは、ロシア系の大柄な男だった。しかし、健二は妙な威圧感を感じた。

 「あなたは、一体」

 「おっと、申し送れた。オレの名はアヴァン・ゴーグ。初対面だな。仮面ライダー」

 「あなたは、敵なんですか?」

 「フッ、まあ、そういう事になるな・・・」

 ゴーグは淡々と言う。

 「先程の連中も、小手調べも兼ねて送った物だ・・・」

 「! 小手調べ・・・。あなたがあれの指揮をしていたんですか・・・?」

 「フッ、勘がいいようだな。若僧。ここまで来たら、オレの目的も解るだろうな?」

 「・・・オレと、戦うことですか・・・?」

 「その通りだ。では、勝負だ!!仮面ライダー!!」

 そう言うとゴーグの全身は赤い装甲に覆われ、手には巨大なハサミが現れた。

 「・・・!」

 健二は驚いた。ゴーグはサソリの様な怪人に変化したのだ。

 「オレの名は、上級バイオソルジャー、メガゴルポスだ!!」

 「上級、バイオソルジャー・・・だと?」

 「若僧。早く変身しろ。ライダーの実力を確かめてやる」

 メガゴルポスが言う。

 「クッ、変身!!」

 健二は再びコブラスーツを装着した。

 「行くぞ!!」

 健二は高速で走り出した。

 「でぇえい!!」

 そしてメガゴルポスの懐に飛びこもうとした。だが、

 「甘い!!」

 ドガッ!!

 「うわあっ!!」

 メガゴルポスは接近して来た健二を、腕で振り払った。

 「グッ・・・」

 「どうした?こんな物か?貴様の力は。スピードは中々だが、それだけでオレは倒せんぞ!!」

 メガゴルポスが挑戦的な態度で言う。

 「クッ、まだまだぁ!!」

 健二は再びメガゴルポスに向かって行く。

 新たに出現した強敵に、健二は成す術はあるのだろうか!?


次回予告

 メガゴルポスに敗北した健二は、自分の不甲斐なさを思い知らされる。それを負い目に感じた健二は、偶然勧誘された総合格闘技同好会を訪れる。そんな中、祐樹はライダーベルトをカスタマイズし、自分専用のスーツを完成させる。しかし、バイオソルジャー、レッドアントとなり、復讐に燃える武山が、祐樹の目の前に立ちふさがる。

仮面ライダーコブラ 第7話 海王、目覚めし

 魂の叫びが、聞こえるか?


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