仮面ライダー鬼神諸設定(2004年9月版)
決定版
 仮面ライダー鬼神完全超百科


鬼神(きしん)

 古来より陰陽寮に伝わる強い破壊性質を有する霊的エナジー。及び陰陽術の秘儀によってその力と融合を果たし、妖怪や悪霊と戦う力を得た戦士の総称であり称号。破壊のイメージを体現した赤い色の生態装甲で全身を覆い、緑色に燃える複眼と闇を映した様な黒髪、稲妻の様な猛り捻れた角が特徴。
 鬼神の力とは自然界に普遍的に存在する破壊的な作用の顕現であり、そのエネルギーは非常に莫大なものだが、融合素体となる人間の適合能力と呪術的手法による人体への組み込み、更に御鬼宝輪と呼ばれる制御装置により人為的な制御・操作を可能にしている。
 御鬼宝輪とは役小角が前鬼・後鬼と呼ばれる鬼を使役する為に造り出したと言われる御鬼輪を基礎に発展させた呪術的器具で、鬼神の力の流入量を制御する事で融合素体が取り込まれ暴走する事を防いでいる。
 鬼神となったものは通常時、人間の姿の時でも常人を大きく上回る身体能力と超越的な自己治癒能力と長寿、十二種類の強力な符術を有すが、力を解放し鬼神としての本来の姿である戦闘形態に移行すると、更にあらゆる能力が飛躍的に向上する。全身は物質とエーテルの中間に存在する物質によって構築された生態装甲で覆われ、筋肉・骨格・内臓などは戦闘へ適した形状へとドラスティックな変貌を遂げる。その際、筋力は常人の数十倍に上昇するといわれる。知覚能力も数百倍に拡大し非常に優れた霊的感応力も備わる。なお、この戦闘形態への移行は全身の形状が劇的に変化する事から「転化(てんげ)」或は「転化変身(てんげへんしん)」と呼称される。
 鬼神に成れる者は非常に限られており、融合素体には身体的な適性のみならず、鬼神のエネルギーがその性質上常に帯びる破壊的衝動を克服し、尚且つそれによって発生するストレスに打ち勝つだけの精神的な強靭さが求められる。過去に鬼神となったものの多くは女性であり、それは破壊衝動が性的衝動に酷似している為、男性ではその衝動に打ち勝つことが出来ず暴走させてしまうからである。
 鬼神となった者個々人の能力によって利用できるエネルギーの限界は在るものの、鬼神の力の本体部分は自然界に属しておりほぼ無限大に供給を行える為、適正を持つものさえいれば同時期に複数人の鬼神が誕生することもある。しかし、戦闘形態は個人の「力のイメージ」によって大きく変化し、巨人の様な形態、獣の様な形態など様々である。また、鬼神となったものが死んだ後も彼らの記憶は鬼神の力の中に蓄えられ、戦闘における特殊な技法や、特定の敵に対する有効な戦術、戦いの記録などは代々受け継がれ、決して失われることは無い。


仮面ライダー鬼神(かめんらいだーきしん)

 複数存在した鬼神の中でも神野江瞬が変身した姿を指してこう呼ぶ。命名者は城南大学付属病院に務める女医・二宮瑠美。与えられた任務や義務感からではなく、自らの思いを果たす為に戦うことを決意したとき、神野江瞬は二宮瑠美によって与えられた仮面ライダーの称号を掲げて戦うことを決意した。また、神野江瞬曰く、彼女と伊万里京二がお互いを支えあい受け止めあうことで、初めて彼女は「仮面ライダー鬼神」となるらしい。尚、彼女の戦闘形態が仮面ライダーに酷似していたのは、彼女が幼い頃、命の危機を「赤い仮面のライダー」に助けられたことに起因しており、深層心理に力のイメージが仮面ライダーの姿として定着しているためである。変身のプロセスは、左右に水平に伸ばした両腕を体の中心に向かって時計回りに旋回させつつ「転化変身」と叫ぶことで腹部に御鬼宝輪が出現し、内部に組み込まれた太陰大極盤が高速回転しながら赤く輝く粒子を放ち、その粒子が瞬の体に収束することでその姿を鬼神のものに変化させる。
 基本的な能力は他の鬼神と変わりないが。しかし決戦編において四人の祭司が放った奥義を受けた際、秘宝の指輪の一部を体内に取り込み、御鬼宝輪の機能が強化され、結果的に一時パワーアップしていたようだ。その戦法は丁寧な喋り口調の神野江瞬のイメージからは打って変わり、噛み付いたり、千切れた腕を敵に投げつけたり、壊れたバイクのエンジンで敵を乱打したり、バイクそのものを投擲兵器にして投げつけたりするなど、非常にラフでバイオレンスな手段を採ることが多い。周囲の環境を最大限に利用した戦闘方法である。



十二符術(じゅうにふじゅつ)
鬼神となったもののみが扱うことが出来る強力な戦闘用陰陽術。通常時は他の符術と呼ばれる陰陽術と同様、印と咒が描かれ霊力の込められた札が媒介として必要になるが、転化変身後は意識を集中するだけで発動できる。また、発動形態は同じ術でも複数存在する。

・焔飛燕(ほむらひえん) 
 自動的に敵を追尾する炎の鳥を発射する。単発のみだが威力が高く追尾性能が高い「返し」と、命中精度と威力は落ちるものの大量に発射する「渡り」がある。
・剣飯綱(つるぎいづな) 
 真空の場を形成し、空気の断層で敵を切り裂く術。小型の真空を敵に向かって放つ「狐」と、巨大な断層を叩きつける「稲荷」がある。
・銀蜘蛛 (しろがねぐも) 
 呪力を縒り合わせて強靭な蜘蛛糸を生み出す術。鋭い切れ味を持った「女郎」と、強靭な剛性によって敵を捕縛する「後家」がある。
・天津弓(あまつゆみ)
 電光の弓を形成し、稲妻の矢を発射する術。最も標準的な威力と命中精度、射程距離をもった「弓」、一発の破壊力は低いが速射性に優れる「弩」、発射までに要する時間は長いが最大の破壊力を持つ「鎚」がある。
・二重霞(ふたえがすみ)
 空中に幻覚を投影し、二体の分身を発生させる術。ただ二体の分身を出すだけの「役者」と、本体の姿を一時的に消す「黒子」がある。
・焔花風(ほむらはなかぜ) 
 広範囲に炎を放射する術。敵を限定し広範囲を攻撃できるものの威力が落ちる「桜」と、範囲は狭いが威力は大きい「彼岸花」がある。
・鏡宵明(かがみよあかり)
 敵からの攻撃を遮断する防御壁を形成する術。広範囲に展開することが可能だが防御効果が分散する「満月」と、反射能力を有するが掌ほどのサイズしか形成できない「新月」がある。
・切人舞(きりひとのまい) 
 式神を呼び出し、これを操る術。サイズが小さく大量に生み出すことが出来る「雛人形」と、鬼神と同じ大きさだが同時に数体しか作れない「武者人形」、十数メートルの巨体を有する「大魔神像」がある。
・天津剣(あまつつるぎ) 
 発生させた電流を放射・収束させて剣を形成する術。大型の「野太刀」と、小振りの「小太刀」がある。
・大蛇崩(おろちなだれ) 
 地殻にエネルギーを加えることで変形させ、無数の岩槍を突き出させて攻撃する術。これには発動時のバリエーションは存在しないが、二連続で発動させた場合、地盤が過負荷に耐え切れず爆発的な崩壊を起こし、空中に飛礫を撒き散らすことから、この技を「大蛇崩クレイモア」と呼ぶ。
・黄泉誘(よみがさそい) 
 死を齎す究極の術。本来は死へ向かうものや、迷いや恨みにより現世に留まる悪霊を心安らかに黄泉へと誘う術。無数の手が現れその後対象の親しい故人が現れる「導き手」、巨大な剣を持つ腕が現れ対象を貫きそのまま引きずり込む「八柄(やつか)」、対象のドッペルゲンガーが現れ引きずり込む「自焉途(じえんど)」がある。
・陰陽極(おんみょうのきわみ) 
 全攻撃能力を一時的に数倍に高める術。一秒から三十秒の間、夜猟襲が続いていると考えればよい。発動すると生態装甲が発光を始め、髪の毛は赤い稲妻の束に変化する。しかし、効果が切れると強制的に御鬼宝輪の安全装置が作動し強制的に変身が解除される。その後、3時間は再変身できない。この術のみ、戦闘形態以外での使用は不可能。


夜猟襲(やりょうしゅう)
 60年前に就任した十二代目鬼神・神崎紅葉が編み出した特殊な戦闘技法。また、この技法を発動した状態で繰り出される技の総称。
 極論すれば暴走の危険性を伴わず鬼神のエネルギーを解放する技術である。それまでの使用されていたエネルギー解放は強大な暴力的エネルギーを得られた反面、制御装置である御鬼宝輪に多大な負荷を与え常に暴走の危険性を伴っていた。だが、この夜猟襲と呼ばれる技法では使用するエネルギーを必殺の一撃に使用する量のみに絞っているため暴走の危険性は殆ど存在せず、またエネルギーを体内で圧縮・増幅しているため瞬間的に得られる破壊力は以前のエネルギー解放攻撃に比べても高い。しかし、鬼神の破壊的エネルギーを一時的に体内にとどめる必要が在る為、精神のみならず肉体にも大きなダメージを与え、回復を待たずに連続して使用すると激しい頭痛や筋肉痛、疲労感等の諸症状が現れ自己修復能力にも悪影響が現れる。


夜猟襲キック(やりょうしゅうきっく)
 最もオーソドックスな技。敵直上数十メートルまで上昇した後、超高速で降下しながら敵を踏みつける攻撃。落下の際、広報にエネルギーを放射する事で重力が齎す加速以上の速度で敵に迫り粉砕する。破壊力は45トン。巨大な怪魚となって襲い掛かった白井を両断した。

夜猟襲アーククラッシャー(やりょうしゅうあーくくらっしゃー)
 バイクを使用した技。アークチェイサーを高速走行させた後にジャンプさせ後輪を敵に叩き込む攻撃。アークチェイサーの質量と速度、後輪の回転の相乗効果が敵を完全に破壊する。破壊力は55トン。ネクロドラグーンとの最初の戦いにおいて戦闘用バイク・ガルムを粉砕した。

夜猟襲ブリーカー(やりょうしゅうぶりーかー)
 いわゆるアルゼンチンバックブリーカー。敵を背に負って数十メートルの高さまで飛翔した後、超高速で降下し着地の際の衝撃で対象を真っ二つに圧し折る鬼神単独での最強の技の一つ。敵の腰部には85トンの破壊力が加えられる。ネクロドラグーン幼生体の強靭な一次装甲を折り砕いた。

夜猟襲フィンガー(やりょうしゅうふぃんがー)
 掌に力を込めて繰り出す技。より正確に敵を攻撃する場合に使用する。夜猟襲発動状態の鬼神の指は凄まじい握力を誇り、チタン製の板も毟り取る事が出来る反面、他の技に比べて爆発的な威力は期待できない。指一本につき5トン=合計25トンの破壊力。ネクロドラグーンに対して放ったが、命中する前に破られた。

夜猟襲クラッシャーストーム(やりょうしゅうくらっしゃーすとーむ)
 アークチェイサーを敵に向かって投げつける恐怖の大技。夜猟襲のパワーを蓄積したアークチェイサーは恐るべき破壊力を持った凶器と化して宙を舞い、激突した相手を高速で回転するホイールで抉りながら確実に粉砕する。破壊力は70トン。この技について神野江瞬はとある機械愛護保全団体から訴えられている。ネクロドラグーンとの二度目の戦いにおいて、その後の攻撃を確実に命中させるための目晦ましとして使用された。

夜猟襲ジャイロキック(やりょうしゅうじゃいろきっく)
 超高速で回転しながら繰り出す夜猟襲キックの応用技。高速回転は破壊力を高めるためというよりは、むしろジャイロ効果によって飛翔軌道を安定させると同時に加速を生み、敵を正確に攻撃する為のものである。破壊力は45トン。ネクロドラグーンの身体を上下に引き千切った。

夜猟襲オーロラプラズマ返し(やりょうしゅうおーろらぷらずまがえし)
 熱エネルギーを収束し、プラズマ原理によって打ち出す技。熱エネルギーは超高温超高密度超高速のプラズマ球となって投射され、あらゆる物理的・霊的障壁を貫通しながら熱量の全てを失うまで侵攻を続ける。プラズマの温度は8万度、破壊力は70トンに相当。三木咲の放った奥義・大文字斬りの熱を逆利用して放ち、三木咲の腹部に風穴を穿った。

夜猟襲ライダーキック(やりょうしゅうらいだーきっく)
 瞬と京二の愛のパワーが燃え上がった時に発動する最終最後の必殺キック。愛の力はあらゆる物理的な障害を突破して立ちはだかる全てを薙ぎ倒す事が出来る。(正確には合体技であり、鬼神が繰り出したキックのエネルギーを竜王がその特殊能力によってフェイズシフトさせ、根源たるものの心臓のみを攻撃した)。破壊力は不明。“根源たるもの”を見事打ち砕いた。


その他の技
斬首拳(ざんしゅけん)
 気を掌に集めて放つチョップ。五センチの鉄板も両断するが、エネルギーを帯びた攻撃などには弾かれ易い。破壊力は10トン。

反転キック
 張り巡らせた銀蜘蛛を足場に、三角蹴りの要領で繰り出すキック。空中で突然反転し、襲い掛かるので、敵の死角や不意を突くことが出来る。破壊力は20トン。

陰陽寮式遁甲術・天星剣(おんみょうりょうしきとんこうじゅつ・てんせいけん)
 攻撃パターンのサンプリングと簡易占星術による攻撃予想技術。姿を消し、気配を完全に絶って襲い掛かる敵や、未知の敵と初めて戦う際に用いられる。未来を予測しながら戦うことが出来る術だが、敵対者も同質の術を使用すると、その効果が失われてしまう。


☆内部図解(仮面ライダー鬼神秘密大図解を参照)

角(頭部) 
 強化された身体機能及び生態エネルギーの制御を補助する為の器官。柔軟性に優れた軟骨膜と全身で最も高い硬度を持つ生体装甲の二重構造の内部に神経組織が高密度に凝集している。鬼神の最大の弱点と言える箇所。

 
 複眼状構造を成す緑色の眼球体。卵形でやや吊り上っている。広範囲の立体視野と高い解像能力を有し、人間の目では捉える事の出来ない波長の光を見ることが出来る。更に優れた霊的視野を有し、潜んでいる悪霊の類や呪術的な隠蔽処理を見抜くことが可能。また、涙を流すことも出来る。

シグナル 
 半径数キロメートル内に存在する怪人を感知する第三の目。霊的・電子的なレーダーを常に展開しており、更に他の感覚器官と連動することでそれらの機能を強化・補助している。他のライダーと異なり角が知覚器官の働きを持たない為、超知覚はこの器官が担う。


 顔面を覆う生態装甲に隠れ外部から見ることは出来ないが人間の数万倍の嗅覚を有する。また、強靭な細胞強度と再生能力を持ち、悪臭や刺激臭などでダメージを受ける事無く大気成分の高精度解析が可能。


 鼻同様、生態装甲に覆われ外部からは見ることが出来ない。しかし、優れた聴力と広い認識帯域を有し、更に呪術的翻訳機構を備えるため、正気を失った霊の声や、動植物に宿る霊の声を聞き取ることが出来る。


 上下に三本ずつ、刃状の牙が並ぶ口。極めて強力な咀嚼能力を有し業物の日本刀さえ難なく噛み砕くことが出来るが、妖人の血肉は毒や酸、強力な病原体や呪いを帯びていることも少なくは無く、噛み付くことは稀。また、舌は僅か数ミクロンの化学物質の差を看破することが可能な繊細さを有する。更に声帯は耳と同様に呪術的翻訳機構を備えるため、人間以外のものと意思疎通が可能。


 人体において大きな弱点の一つである首筋を保護する為の特殊な生態装甲。特殊な形状の骨と筋肉から形成されており半自動的に硬化することで、首を狙った攻撃をシャットアウトしている。

心臓
 過酷な環境下でも活動できる様に強化された強力な心臓。深海5000メートルでも鬼神の生態活動を維持することが可能。また、単に血液循環を司っているだけでなく、鬼神の霊的中枢(チャクラ)の要でもある。恥かしい事があると急激に心拍数が上昇する。


 膨大な容量と、強靭な横隔膜が生み出す優れた肺活量を有する。内部に蓄積された空気を一度に解き放つ事で自然石を粉砕する破壊力を生み出す。また、エラのように水中でもガス交換を行い呼吸することが可能。


 残念ながらミサイルもビームも出ない。内部密度が上昇している為、生態装甲に覆われているにも拘らず、バストサイズに変化は無い。心臓・肺・横隔膜・脊髄などの弱点を防御する為に他の部位よりも強固な構造になっている。

肩鎧
 鬼衝角とも呼ばれる取り外しを可能とする特殊な生態装甲。盾として用いるだけでなく、携行用の打突武器として用いることも出来る。内側は弾力性の高い筋肉で覆われており、外部からの衝撃を吸収する構造になっている。

御鬼宝輪
 鬼瓦の様な形状のバックルを帯びたベルト。鬼神のエネルギーを制御する呪術的宝具だが、詳しくは鬼神の説明を参照。内部には太陰大極を象った円盤が内蔵されており、戦闘形態に移行する際や、エネルギーを解放する際、鬼の面が割れて外部に露出し回転を始める。鬼神のチャクラと結合しており、ほぼ完全に鬼神の体の一部になっている。陰陽寮には複数本存在するらしい。

骨盤
 安産型。人体工学的には非常に激しい負担が生じるアクロバティックな脚部の運動を支えるため、頑強且つ柔軟に構成されている。

筋肉
 持久力と瞬発力の両方に優れた、桃色の筋肉。組成物質そのものが人間のものと異なり非常に高い耐久性能を持つ。また、内臓器官や骨格を保護する装甲としての働きを持っている。

アキレス腱
 スプリング状の特殊な構造を持ち、50メートルからの着地や凄まじいステップアンドターンをいった際に骨格に掛かる負荷を削減している。


 ハイヒール状構造を持つ踵。夜猟襲キックの際、運動エネルギーの大部分がこの狭い一点に集束する為、並みの重火器を上回る危険性を有する。

骨格
 チタン合金に匹敵する強度を有する骨格。基本成分はカルシウムだが結合構造が特殊な呪文形象をなしており、重量は人間のときと殆ど代わらないが外部からの衝撃に対する耐久性能が格段に上昇している。また軟骨部分も非常に高い衝撃吸収・分散能力を持つため骨同士が衝突により欠損が起こることを防いでいる。

生態装甲
 鬼神の表面を覆う赤い生態装甲。物質とエーテルの中間物質で構成されており、物理的な衝撃は殆ど無効化し内部にダメージが及ぶ事を防ぐ。

皮膚
 黒い角質層に覆われた柔軟性に富む皮膚。生態装甲ほどではないものの優れた強度を有し、アサルトライフル程度の銃弾ならば至近距離から撃ち込まれてもめり込むことも無く弾いてしまう。こそぐられると弱い敏感肌。


 体の中でも最も霊媒効果の高い部位。夜猟襲の際に赤く発光するのはラジエーターとして体内の余剰エネルギーを放出しているためではなく、優れた霊媒効果を利用してコンデンサーのようにエネルギーを蓄積している為で、その際に赤く輝くのは髪の組成が一時的に変化し赤スペクトルの光を放つためである。余りに長いため、近接戦闘では不利になることも少なくない。



アークチェイサー(あーくちぇいさー)
 鬼神・神野江瞬が装備する戦闘用自動二輪車。警視庁科警研が開発した超高性能白バイ・チェイサーシリーズの流れを汲みSUDUKIが製作したオンロードレーシングタイプのバイク。アレグロ・ブレストを更に発展させる形で開発された無公害高出力の機関・フォルテシモを内蔵し、馬力は2800馬力、最高時速は410q/hをマークする。このマシンの最大の特徴である設計コンセプトは、未確認生命体第四号が使用したトライチェイサー・ビートチェイサーと自律式強化装甲ゴウラムの関係性をモデルにしてあり、三種類の機能拡張ユニットを接続する事で機能を特化させることで、あらゆる局面に対応出来る優れた万能性が与えられている。また、これらの拡張ユニットを搭載した上で、出力を最大限に生かすため、エンジン周りの機器は非常にコンパクトに纏められており、シート下のトランクはこれまでのチェイサーシリーズに比べ三倍近い大容量を誇る。また、アストラルデバイスと呼ばれる呪術機構を内蔵し、鬼神の力をシステムにフィートバックさせ、加速能力や耐久性能の底上げが可能になっており、夜猟襲アーククラッシャーや夜猟襲クラッシャーストーム等の必殺技はこの機能を応用したものである。他のチェイサーシリーズ同様、ハンドルそのものが主起動キーであり、取り外した状態で電磁切断ダガー「コダチ・アクセラー」として運用することが可能。全体的な特徴として、至る所に開閉式の接続用プラグが付いており、拡張ユニットとの接続の際に使用される。
 本来は2007年を予定に正式投入される未確認生命体対策班の次期主力強化外骨格・G7システム用補助装備の候補として開発された戦闘用バイクだったが、運用やメンテナンスの面で手間を要しコストパフォーマンスも悪く、扱いやすい“汎用性”で売るHOMDA製のソードチェイサーに破れ、正式採用は見送られた。しかし基本性能自体は非常に優秀であった為、試作された二台がある組織を通じて警視庁から宮内庁に譲渡され改良を施された後、鬼神の乗機となった。また、その譲渡の背景には警視庁内に存在する、強化装甲服を装備し救急救命・警邏防衛活動を行う特設セクション、特別救急警察隊本部長の配慮があったといわれている。


外部機能拡張ユニット(がいぶきのうかくちょうゆにっと)
 アークチェイサーの汎用性を高める為に開発されたオプションユニット。アームドオプションとも呼ばれる。アークチェイサーと接続することで戦闘用バイクとしての機能を特化させ、あらゆる局面に対応が可能となる。また、アークチェイサー本体同様アストラルデバイスが組み込まれており、鬼神の力のフィートバックにより稼動する事が出来る為、アークチェイサーに接続させずに鬼神の携行用兵装として用いる事も可能。通常は予め装備した状態で出撃するが、緊急時には片道のみの燃料を積んだ小型ロケットつき使い捨てステルスグライダーによって運搬される。防御力強化型の「雪」、起動性能強化型の「月」、攻撃力強化型の「花」の三種類が存在する。


雪(ゆき)
 スノウホワイトとも言う。主に防御能力を拡張する為のアームドオプション。六面体を中心に構成された内部メカニックが透けて見えるクリスタル状のユニットで、フロントカウルを覆う様に接続する。クリスタル状の材質は最新技術によって造られたファイバーセラミックと呼ばれる超硬質超弾性を有する結晶素材で、前面からの攻撃を遮断するだけでなく突進攻撃の際にあらゆるものを粉砕するハンマーヘッドとなる。また、内部にはバリアーフィールドを展開するユニットが組み込まれており、燃料満タンの状態ならば20分間連続使用可能。


月(つき)
 ナヨタケノカグヤ、或は単にカグヤとも呼ばれる。主に機動力・運動性能を上昇させる為のアームドオプション。上から見たら三日月のように見える空力制御用の制動翼とメインジェットブースター、フレキシブルに方向変換可能なロケットスラスターからなり、本体左右側面に接続される。接続すると最高速度は1050q/hまで上昇するが、ロケットスラスターによって運動性能や旋回性能が損なわれる事は無い。またウィング部分は近接格闘用のブレードになっており、突撃攻撃の際強力な武器となる。


花(はな)
 シンブリナとも呼称される。重火力を付与するためのアームドオプション。主要内蔵火器は六連装マイクロミサイルランチャー二基、30mmチェーンガン二門、対戦車地雷ディスペンサー一基、90mmカノン一門、50mm徹甲散弾砲一門、ロケットアンカー一基。更にこれらの火器を管制・運用する為のコンピューターからなる。タンデムシートから後部車輪を覆う様に接続される非常に大型のオプションであるため、旋回性能や最高速度が低下するものの、その攻撃力は主力戦車を単独で撃破できる。


雪月花(せつげつか)
 トライミスティックとも呼ぶ。三種類のアームドオプションを同時に装備した形態。元の形状が判別出来ないほど変形している。“装備変更による汎用性”というコンセプトに反する為、元来同時に運用する機能は持たされていなかったが、陰陽寮の技術部の改造によって可能となった。三種の機能を同時に使用可能なため、戦闘用バイクとしては史上最高クラスの戦闘能力を有するものの、エンジン出力に大きな負担が掛かるため3分程度しか稼動する事は出来ない。実戦投入前にアークチェイサーが全損したため、日の目を見る機会は無かった。





陰陽寮(おんみょうりょう)
 宮内庁に属する非公開特務機関。歴史上、皇室付の呪術機関は明治政府の成立と共に解散されたことに成っているが、あくまでそれは表向きで、実際には極秘裏に再組織化され近代的に整備されている。管理運営者は先代鬼神、神崎紅葉局長。陰陽寮は皇室と内閣の勅命を受けており、機関の活動は日本国内において全ての法規に対する優先権を持つ。その主な活動内容はオカルト技術の研究・編纂、及び管理であり、それらの悪用を防ぐ為に幾つかの実行戦力を持つ。その内訳は平時に於いてオカルト技術の研究に従事する研究者集団「陰陽連」。大型の機動兵器を有し、大規模なオカルト攻撃を仕掛けてくる外部からの敵に対抗する「戦隊」。そして三つ目は陰陽寮の切り札である改造人間「鬼神」の三種類からなる。その構成員の多くは、事故や事件で身寄りを失った子供たちを集める政府運営の保護養育施設出身者である。更にオカルト技術の保全だけがその任務ではなく、陰陽術を活用した他の平和防衛組織へのサポートも行っている。悪の組織との戦いの終盤に見られる確率論を無視した極めて奇跡的な事象の数々は、ご都合主義や単に運が良かっただけでなく、彼らの尽力が多分に影響を与えているらしい。
 また、歴史の表裏で幾度か暗躍し、世界の存亡に関わってきたと言われている。主な活動内容を挙げれば、700年ごろには前身となった組織が聖徳太子の指揮の下、宇宙から飛来したエネルギー物体の防衛装置として巨大な武神像を建造。1000年ごろには精霊の加護を受けて“鬼”と戦う百獣の戦士を輩出。戦国時代、戦乱に乗じて朝廷の復権を図るため暗躍するものの徳川に付いた落天宗の攻撃により半壊する。だが明治維新の際は、肉体改造により変身能力を備えた忍者天山(本来は幕府側だったが抜け忍となって維新側についた)と協力し、同じく変身能力を備えた忍者神風を味方につけ維新を頓挫させようとする落天宗を撃破した。そして太平洋戦争終結間近の頃には、日本軍の秘密研究機関が極秘裏に開発した超重力エネルギーで稼動する人型兵器を巡って落天宗と戦い、この人型兵器の封印に携わった・・・などである。
ローマ・カトリックの総本山とは現在協力関係にある。


陰陽連(おんみょうれん)
 陰陽寮に属する陰陽師集団。オカルト技術の研究管理に従事するほか、非常時には技術漏洩・悪用を防ぐ為の実行戦力となる。政府運営の保護養育施設出身者の中から霊的素養が特に高いものを選抜し更に厳しい訓練を課している為、個々が優れた陰陽師としての能力を持つ。また対異種生物(主に妖人)戦闘用として、特殊強化装甲服G5システムに独自の改良を施した高機動型G5システムを装備する。


高機動型G5システム(こうきどうがたじーふぁいぶしすてむ)
 量産型特殊強化装甲服G5システムを基礎に陰陽寮独自の技術を投入して製作した対異種生物戦闘用装備。内部に陰陽師の術能力を機械的なシステムにフィートバックさせる装置「アストラルデバイス」が組み込まれており、装甲を霊的に強化する事で防御力を向上しつつも大幅な軽量化に成功し、更に動力補助も行っているため、その活動時間と機動性能は通常のG5システムの3倍に達する。通常のG5がダークブルーに金のアクセントであるのに対し、高機動型はブラッディレッドに黒のアクセントを施してある。主な装備火器は自動小銃SGM−01(スーパースコーピオン)、超高周波振動ブレードGS−09(クラウソラス)、二連装ロングバレルガトリングカノンGX−08(ヘキサヘッド)など。何れの火器にも反呪詛措置が施された弾丸が込められている。


戦隊(せんたい)
 陰陽寮に所属する、大規模機動部隊。その詳細は謎に包まれているが、その中核は5名の実戦要員と大型の機動兵器からなり、オカルト技術を行使する外宇宙勢力に対して戦闘能力を行使していると言われている。


反呪詛措置(はんじゅそそち)
 超自然的作用に対抗する手段の一つ。アンティマジック、ディスペルとも呼ばれる。魔力、神霊力、呪力、妖力、超能力、霊力など超自然的な力は様々であるが、プロセスが異なるだけでいずれも上位位相の次元から現実世界に干渉する力であることには変わりない。この反呪詛は上位次元と現実世界の次元連結にジャミングを行うことで力の干渉連絡を阻害し、超自然的な力の行使を不可能にする。しかし、その作用範囲内にいれば敵味方区別無くその作用を発揮する。


対呪詛(たいじゅそ)
 反呪詛同様超自然的な力に対する防御手段の一つ。カウンターマジック、リフレクトとも呼ばれる。上位次元と現実世界の次元連結を湾曲させることで、超自然的エネルギーの干渉を反射することが可能だが、効果の発現には常に一定量のエネルギーを必要とする。


抗呪詛(こうじゅそ)
 超自然的攻撃に対する防御手段の一つ。レジストマジック、エンチャントとも呼ばれる。超自然エネルギーには対効果や反射効果を有する関係性を持つエネルギー波長が存在し、対象物に予めエネルギー波長を帯びさせることで一定の超自然エネルギー攻撃を無力化する。劇中には登場しなかった裏設定。


反呪詛弾(はんじゅそだん)
 反呪詛措置を施した特殊弾頭。対落天宗戦闘用に開発され、これの存在が明治維新における陰陽寮の勝利を決定付けた。撃ち込まれると弾丸内部に込められていた反呪詛作用が敵の体内で展開し、超自然的なエネルギーで構成されている妖人や護法妖怪の体構造を破壊する。また、呪術の使用を阻害する効果もある。「黄泉孵り作戦」において鬼神にも有効であることが実証された。効果は落天宗のものが優れている。





超考古学(ちょうこうこがく)
 近年注目される様になって来た考古学の新しい分野。先史時代に存在していた超古代文明の研究や、現在の科学技術とはまったく異なるアプローチで発展した古代超技術の解析を行う学問。一昔前の考古学会では、見向きもされない御伽噺以下の代物だったが、ここ十年前後で次々に発見された数々の物的証拠や研究成果により、現代学会では大きな権威を持っている(尚、あくまで学者レベルであって民間では未だ眉唾物として扱われている。それは、各国政府の情報操作によるところが非常に大きい)。未知の技術によって構築された文明を相手にする為、その研究には、単に考古学的な知識のみならず、物理学や生化学、神秘学や魔術的知識など博物学者的な知識を要する。

古代超技術(こだいちょうぎじゅつ)
 有史以前、或は歴史の裏側で、発展した技術体系の総称である。その多くは現代の科学技術とは大きく異なるアプローチが成されており、具体的に上げるならば実用レベルに達した錬金術や、人間の精神を物理的なエネルギーに変換する理論など、現代論理科学では到達し得ない成果を遺している。

超古代文明(ちょうこだいぶんめい)
 有史以前に古代超技術によって構築されていた文明社会の総称。ムーやアトランティス、レムリア等の、所謂「失われた王国」を指す他、2000年に起こった未確認生物関連事件、2001年(2003年と言う説もあり)に起こった不可能犯罪殺人事件の首謀者や、それらの事件に際して現れた異種生命体は、超古代文明に関わる存在だったと言われている。


時空共振破砕砲『防人の歌』(じくうきょうしんはさいほう『さきもりのうた』)
 東京都庁内部に組み込まれた超巨大音叉型の破壊兵器。1989年のクライシス侵攻の後に行われた首都防衛計画の一環として建造されたもの。帝都守護結界や各種防衛ライン、防衛機構を突破し敵の大規模機動兵力が都心に接近した場合に備え建造された。
 三億五千万以上の時空素子を蓄積したカバラ結晶クリスタル製の巨大音叉に重力素子を臨界まで充填した絶縁オリハルコニウム線とダークマターコロイドからなる超次元コイルハンマーを超高速で衝突させる事で発生する超空間振動をデンジバリアーシステムによって収束し対象に照射する兵器である。対象の空間振動数に共振する様に調律された超物理的音波は同一次元平面上に存在するあらゆる物体を破砕する。


帝都守護結界(ていとしゅごけっかい)
 江戸の都市整備計画の際に、江戸城下町に組み込まれた霊的結界を基礎とする超大型の防御システム。次代の移り変わりと共に徐々に巨大化・複雑化しており、環状線や首都高速道路、幾つかの超高層ビルや東京タワー、更に神社・仏閣(主に稲荷など)、皇居などが、そのシステムの一部である。現在の結界の機能は主に「巨大な悪意の遮断」にあり、人口増加に伴って高密度化する悪意が外部からの操作を受けない様に、また外部に漏洩して霊的環境を破壊しないよう機能している。また、「悪意」と呼ばれるエネルギーの流れを反転させることで発展や進歩を促す作用を生み出している。


東京タワー
 この世界にある東京タワーは過去に何度か倒壊している。帝都守護結界の要であり、首都上に構築された呪術システムが生み出す結界の作用を増幅して放射する働きを持つ。その目立つ形状と、電波塔としてのシステム上、格好の標的と成り易く既に何度も狙われ、そして破壊された。世間には出ていない超技術の進歩から、現在では一ヶ月足らずで再建できるようになっている(嘘)。


呪詛(じゅそ)
 物理法則を無視し、イメージした事柄を現実に遂行させる働きをシステム化したもの。まじないとも言う。
 一定の技法に基づいて集中させ先鋭化した精神を上位次元に満ちる霊的元素・エーテルと共振させキルリアン振動と呼ばれる特殊な振動を発生させることでこの事象は発生する。一定の波長・周波数を持ったキルリアン振動は物理世界に存在するものならば全てのものが内包する本質的部分「霊体」に干渉する事で、強制的に「結果」の現出を為さしめるのである。
 技法の差によって発生するエネルギーの特性が変化し、脳内の発達したある部分によって行われるものを「超能力」、信仰心を集中力の基礎とするものを「神霊力」「法術」、自然界への知識・理解などによるものを「魔力」「魔術」、害意を根幹とするものを「呪力」「呪術」と呼ぶ。


★落天宗関連

落天宗(らくてんしゅう)
 一種の宗教結社であり呪術結社。大和政権によって追われた地方民族・陽食一族を母体とした集団。
 妖怪や悪霊など現世ならざる存在を使役し操る独特の呪詛技術を持ち、それを利用した暗殺の請負等によって勢力を徐々に拡大してきた。
 その時々によって名乗る名前が異なり、戦国時代末期から江戸時代にかけては天海宗を名乗って徳川に協力し、江戸幕府直属の呪術組織として当時最盛期を迎えたが、その後明治維新の際に陰陽寮に大敗を喫し地下に潜伏、落天宗を名乗り始める。
 戦力は妖怪や悪霊と融合することでそれらの力を得た改造人間「妖人」と、特殊な呪術儀式で妖怪や悪霊を実体化させた「護法妖怪」、動物霊を人間に執り憑かせる事で獣人化した「憑」の三種類からなる。
 その目的は、同胞を虐殺した大和政権=日本国にたいする復讐と、夜を汚染する穢れた光の浄化・・・即ち文明社会の破壊とその後の世界の征服である。太平洋戦争末期に起こった大規模抗争が集結した後、一時活動が沈静化していたものの、八十年代末期ごろから活動を再び活発化させている。(当時闇の二大勢力と言われたネロス帝国と暗黒結社ゴルゴムが相次いで倒れたからだと言われている)。
 組織構造は最高権力者である「大祭司」を頂点に、組織運営の実権を有する最高幹部「祭司」、大祭司の近衛集団である「武衆」、各部署の運営を司るその他の幹部「寄合」、一般戦力である妖人とその他の人員からなる。また、組織内部には活動方針に対する意見の相違から穏健派と急進派に別れている。かつては急進派が主流だったが、明治維新の際と太平洋戦争の際に主だったものの多くが死亡し、現在では穏健派が組織の実権を握っている。


穏健派(おんけんは)
 落天宗内部の一勢力。現在は主流派。穏健というよりは保守派であり、大祭司の権威を尊重する勢力。全体的に勤勉で慎ましい分、その感情は復讐の方向に対して激しく、日本という国に対して強い怒りと憎悪の念を抱いている。主に高い身体能力を活かした格闘戦と術を併用して戦う。


急進派(きゅうしんは)
 落天宗内部の一勢力。かつては主流派だったものの、維新と太平洋戦争の際の抗争で主だったものが殆ど死んでしまい、現在は衰退している。妖人としての能力を最大限に活かし、積極的な侵略を推し進めようとしている。全体的に自信過剰で深慮が足りず、戦闘も戦呪術一辺倒のワンパターンな力押しが多い。復讐などの感情は比較的薄く、外の人間との間に生まれたハーフや、若い世代のものが中心となっている。


超保守派(ちょうほしゅは)
 穏健派の中でも特に大祭司の権威を絶対のものとする一団。余りに負の念が高まった結果、感情に抑揚が無くなっている。また、戦法も独特で、殆ど戦呪術は使用せず妖怪の持つ特殊能力を中心に戦う。


大祭司(だいさいし)

 落天宗の首領。名目上組織の長ではあるが、現在は半ば隠居しており、組織運営の実権は祭司会議に委ねている。その正体は不明。年齢は二百歳を越えているものと思われる。


祭司(さいし)
 落天宗の幹部。定員は七名。現在、欠員三で四人。組織の実権は事実上彼らが握っているが、全員が穏健派の人間であるため、基本的に大祭司の意思の下で合議によって作戦立案・組織運営を行っている。太平洋戦争時に四人戦死して二名の補充を行ったが、物語開始以前に一人鬼神によって倒され、更に黄泉孵り作戦において一名死亡した為、決戦編終了時の段階で3名。選抜は幹部20パーセントの推薦と現職祭司過半数の賛成によって選抜されるが、祭司には非常に高い実力を求められるため50年以上新しい幹部候補は生まれていない。


防衆(もりしゅう)
 幹部会のこと。組織における重要な役職を与えられた者達の集まりで、組織運営の根幹を司る。その大半が穏健派である。各々に属性が与えられており、それぞれ“火”“海”“森”“風”“山”“金”“雪”“毒”“鋼”“雷”“砂”“雲”“虫”“獣”“雨”“蛇”“音”からなっている。

武衆(ぶしゅう)
大祭司直属の武闘派集団。その大部分が超保守派に属しており、忠誠心は非常に高い。何れも融合した妖怪の特殊能力を最大限に活かした戦法を常に研鑽しており、単独の戦闘能力は祭司すら上回るという。黄泉孵り作戦の際は、陰陽寮本体を陽動する為、本部から離れていた。





陽食一族(ひしきいちぞく)
 陽食の民、或は菱木族と呼ばれる地方民族。熊襲や蝦夷のようにかつて大和朝廷によって地方に追われた民族。
 その語源には諸説があり、彼らが逃げ込んだ渓谷の大地が多量の鉄分を含み“緋色”に染まっていたからだとする説と、一族が虐殺の手から逃れる為に自らの命を棄てて征夷軍と戦った術士の名が“菱木”だったことから栄誉を讃えて、その名を取ったという説、あるいは大和朝廷を太陽と見立てそれを喰らい自らの糧にしようという決意の表れからだとする説がある。
 彼らが妖人になることが出来るのは、“根源たるもの”と呼ばれる一種のエネルギー生命体=神・・・と契約を結んだためであり、その契約は契約者の死後も遺伝によって後世に受け継がれる仕組みになっている。


“根源たるもの”(こんげんたるもの)
かつて陽食の民に力を与えたと言われる謎の存在。その名の通り、あらゆる悪霊や妖怪の根源であり各地の神話に登場する巨大な蛇の姿で描かれる化物達の王と同質の存在であると言われている。落天宗はこれをあらゆる災害を司り、死の後に新たな命の芽吹きをもたらす永遠の命の象徴・・・即ち一種の神として認識していたが、これと一体化した伊万里京二の言を借りれば、外部からの脅威に対して生じた負の感情に屈し受け入れてしまった“諦め”であるらしい。自然の驚異に対する絶望が生んだ災いやたたりの神ととる事も出来る。また、契約遂行者の戦闘形態などから、滅びた恐竜の怨念である可能性も否定は出来ない。秘宝の存在などから、かつて何者かと争った末に封印されたものだと推測される。


呪われた契約(のろわれやけいやく)
陽食一族と“根源たるもの”が結んだ契約。遺伝によって受け継がれる一種の呪であるといえる。陽食の民は、妖怪や悪霊と融合する能力を得る代わりに、一族から一定の条件を持ったものが現れた場合、その者は“根源たるもの”と融合しなければならないらしい。しかし、契約施された呪いの持つ強制力は余り強くないらしく、契約の遂行自体は手動で行わなければならないらしい。
以下、契約遂行の手順。
1、契約遂行者、竜の心臓、秘宝の指輪を揃える。
2、契約遂行者が竜の心臓を取り込む。(肉体的合一)
3、契約遂行者が“根源たるもの”の意思を受け入れる。(精神的合一)
4、指輪を装着する。
5、一晩じっくり寝かせて熟成させる。(存在の完全同期)
6、完成



竜の心臓(りゅうのしんぞう)
「呪われた契約」の遂行者が“根源たるもの”と合一するために必要な肉体的な依り代。その名の通り心臓の形状をしている。代々、陽食の長を務める者がその体内に保管しており、契約遂行の際は体内から直接引きずり出される。


秘宝の指輪(ひほうのゆびわ)
正式名称は不明、一説には竜の指輪と呼ばれる。碧玉を削って造られた指輪。肉体の損傷箇所を修復する働きを持つが、発動には膨大なエネルギーを必要とする上に他人に対しては使用することが出来ない。その実態は、“根源たるもの”の能力を発揮するために必要な一種のブラックボックスであり、「呪われた契約」遂行者を選別するための装置。この指輪を発見することが出来たものが“根源たるもの”と合一を果たす契約遂行者である。契約遂行者が指輪を装着すると闇から無尽蔵に妖怪を実体化させることが出来るようになり、同時に無限の再生能力を得る。


竜王(りゅうおう)
 飛車が成った駒。飛車同様、前後左右無制限に移動できるほか、斜めに対しても1マスずつ移動出来る様になった。
 「呪われた契約」を果たした契約遂行者・・・伊万里京二が転化変身した姿。或は契約遂行者自身を指し、闇成るものの王であるといわれている。
 青い金属光沢を持つ生体装甲に覆われており、捻れた一対の角が額からは生え、髑髏を思わせる顔面には巨大な複眼が赤い燐光を灯している。両腕の拳には細身の剣のような爪が二対ずつ生え、尻からは太く長い尾が伸びている。その姿は京二の力に対するイメージが形状に多分に影響を与えているためか、その姿は仮面ライダー鬼神を始めとした他の仮面ライダーにとてもよく似ている。契約代行者が力を発揮する為の姿で、鬼神の戦闘形態に相当する。
 身体能力のあらゆる面において鬼神を上回り、更に十種類の強力な特殊能力を有するものの、伊万里京二が呪術に関しての素養を積んでいない為、戦呪術を使用することは出来ない。また通常の状態では、額にライダーの特徴である第三の目=シグナルが付いておらず、超感覚の精度が低くなっている。
 通常は“根源たるもの”に取り込まれ、落天宗の主としての意識を有するもう一人の京二(劇中では京二(仮)と呼称)に意識を支配されているが、鬼神の攻撃を受けたショックで本来の京二の意識が復活し支配権を奪った。本来の京二の意識が復活した後は、二つの意識が拮抗するように左右で赤と青のセパレートカラーに変化し、体内に鬼神の御鬼宝輪と同様の効果を果たす器官が形成され、頭部にシグナルが発生する。


十の超能力(じゅうのちょうのうりょく)
 竜王の身体に備わった十種類の強力な超能力。

・テレキネシス能力(てれきねしすのうりょく)
 任意の物体を自由自在に運動させる能力。自らを浮遊させることも出来る。蛇念波ともいう。
・可燃性ガス分泌能力(かねんせいがすぶんぴつのうりょく)
 口から黒色の可燃性ガスを噴霧する能力。ガスは有毒かつ強い爆発力を持ち、これだけで並みの怪人ならば殺害できる。別名、邪包霧(じゃおうむ)。
・二酸化炭素レーザー発振能力(にさんかたんそれーざーはっしんのうりょく)
 ガス交換によって生じた二酸化炭素を圧縮し、発振気代わりにした生態レーザー発射能力。エネルギー蓄積時、ラジエーター機能として背中が割れ結晶状の背びれが現れ発光を始める。基本的にガイガーミュラー計測器は反応しない。竜王レーザーブレスあるいは竜閃光。
・放電能力(ほうでんのうりょく)
 両目から高電圧の稲妻を放射する能力。レーザーに比べて連射能力に優れるため、掃射や迎撃に用いられる。竜王サンダー(邪雷光)と言い、更に全身に蓄積して一気に解き放つ竜王コレダー(瀑雷陣)という技も存在する。
・尾のドリル化能力(おのどりるかのうりょく)
 付け根の部分から尾を高速で回転させる能力。後方の敵に対する迎撃手段だけでなく、地中を高速で移動することも可能。鬼神との決戦において使用されることは無かった。異世界に棲むティラノサウルス−REXの進化形との関連性は不明。これによる突撃技を竜尾・突貫撃といい放電能力をあわせて電撃掘削大旋回と言う。
・吸収融合能力(きゅうしゅうゆうごうのうりょく)
他の生物を取り込むことでその能力を手に入れる能力。胸が左右に観音開きに開いて対象を丸呑みする。鬼神との決戦において使用されることは無かった。食べたパンの枚数など覚えていない。骸齧(むくろかじり)という。
・フェイズシフト能力(ふぇいずしふとのうりょく)
 物理エネルギーの働きを別の次元層に移し、自身へのダメージを無効化する能力。これを用い、竜王は“根源たるもの”を撃退した。竜王ディメンジョンや
幻魔影とも呼ばれる。
・無限再生能力(むげんさいせいのうりょく)
 指輪の作用で妖怪を無尽蔵に具現化することが出来る。落天宗が企てた「黄泉孵り作戦」の肝である。また、この能力によって無数の蛇を生み出し敵に絡みつかせる技を無蛇羅(むじゃら)、無蛇羅・千頭(むじゃら・せんとう)と言う。
・傀儡化能力(くぐつかのうりょく)
 体内から造り出した寄生生物を標的に取り付かせることで、行動を支配する能力。一度寄生されると、完全に人体と融合しその支配は死によってしか逃れることは出来ない。鬼神との決戦において用いられることは無かった。その寄生生物を魔王蟲という。ブラックサタン首領との関連性は不明。
・ドラゴン変身能力(どらごんへんしんのうりょく)
 竜王は更にもう一段階変身する能力をもっており、その名の通り巨大な竜の姿に変身する。巨大な竜の姿になった竜王の戦闘能力は通常の100倍に相当し、単独で落天宗全戦力を上回る攻撃力を有する。鬼神との決戦において用いられることは無かったが、世界各地に残る竜の神話の幾つかはこの形態に変身した竜王の目撃例だと思われる。竜王ダブルトランスといい、邪竜王と名前を変える。

 更に全能力を同時展開する闇哭悲痛苦痢衝という技も存在すると噂される。この技はテレキネシスによって束縛した敵の周りにガスを発生させて苛み、ドラゴンに変身しつつ無蛇羅を発動し自ら影の蛇になってガスと融合しながら相手の身体を傀儡にかえ、全身の感覚が喪失したところで吸収融合し、放電・レーザーを発動させ内部に取り込んだ敵もろとも爆発する大技である。この際、フェイズシフト能力によって自らは一切ダメージを受けず、敵にはアストラル領域のみならずアカシックレコードレベルで打撃を与える。最早、登場しないためやり放題絶頂の設定である。



護法妖怪(ごほうようかい)
 落天宗がその兵力として扱う使役妖怪。悪霊や妖怪など、現世では明確な実体を持たない者達を、呪力を施した咒符に憑依させる事で、物理的な干渉能力を恒常的に与えている。昔の咒符は紙製だったが、オカルトと電子工学の複合発展により、現在はマイクロチップがその役割を代替している。それにより、複雑な命令に対しより柔軟な対応が可能になっている。


大型護法妖怪(おおがたごほうようかい)
通常の護法妖怪を遥かに上回る規模で製作された護法妖怪。全長は通常のものの十数倍から百倍程度。拠点防衛用や大規模侵攻作戦の要として用いられ、極めて大きな攻撃能力を備える。しかし、妖怪の大規模に展開する為、エネルギーを安定させる為には複雑かつ大型の呪術装置が必要となり、また呼び水として外部からのエネルギー供給も必要となる。更に、機能維持も極めて難しく、稼動開始から一日で分解消滅してしまう。


☆護法妖怪全集

土蜘蛛(つちぐも)
 石の様な肌と、熊ほどの体躯を持つ巨大な蜘蛛の姿をした護法妖怪。牙には麻痺性の毒を分泌する腺があり、注射量に応じて対象に微弱な痺れを与える事から心臓麻痺で致死させることまで調節可能。また口から強靭な糸を分泌することも出来る。この蜘蛛糸は非常に高い弾性力を備えており、10トンの物体を吊るしても断裂する事はない。
 更に、八本の肢が生み出す脚力は、巨体に関わらず高い機動性能を発揮し、鎌の様になった触手(肢ではない)は軽自動車程度なら易々と真っ二つにする。面制圧と要人誘拐等にその能力が発揮され、落天宗の使役する護法妖怪の中ではかなり強力な部類に入る。


影法師(かげほうし)
 人影を立体化した様な姿の護法妖怪。低級霊に半実体を与えた程度の、レベルの低い呪術で大量に生産された、いわば戦闘員としての役割を持った下級護法妖怪。特殊な能力を持たず、力もそれほど強くないので、標準的な体力の成人男性には一対一で立ち向かった場合、倒されてしまうケースもある。また、単純な命令しか認識することが出来ないため、足止めや人海戦術などにしか使用できない。


牛鬼(うしおに)
 大男の胴体に牛の頭を挿げた様な姿の護法妖怪。強靭な筋肉が最大の武器で、拳の一撃で直径1メートル程度の岩の塊を破砕できる優れた腕力も持つ。また、人間と同じ機能を持った手を持ち、簡単な道具ならば使用できる為、このサイズの護法妖怪の中ではかなり汎用性が高い。主に、大型のツルハシ状武器を装備しており、地下施設や大型建造物などの破壊工作に投入される。


子泣き爺
 赤子の身体に老人の面相をつけた護法妖怪。特殊な破壊工作用に生み出された妖怪爆弾ともいえる護法妖怪で、実体化の根源となる咒符チップの他に、強力な動力機関を組み込むことで、重量増加速度を通常の十数乗倍に加速している。この強化子泣き爺作動の際は、地盤そのものに設置される。子泣き爺の最大増加自重は、設置したものの耐久能力に比例するため、ほぼ無限に重量増加を行うことが可能なこの護法妖怪は、地盤だけでなく周囲の大気・電磁場・重力場に強力な干渉を行いながらプレートを破壊し、マントル内部で融解消滅する。落天宗の地下拠点最下層に設置されており、切り札として使用される予定だったが、緊急稼動したため機関の出力が予定値まで上昇せず、過負荷を与える範囲はごく狭い範囲に留まった。


がしゃどくろ(がしゃどくろ)
 巨大な骸骨型の護法妖怪。拠点攻撃・防衛用の兵力。製作には大量の人骨が材料として必要となるが、埋葬形式が火葬中心となった現代日本では収集が困難な為、限定生産となっている。
 東京総攻撃に投入されたものは、複数のがしゃどくろを融合させたもので、全長は300メートル以上、質量に至っては6万トンに達する超弩級の一体である。掌や眼孔から火球を発射できるほか、一次装甲として纏う漆黒の外套は「イザナミの衣」と呼ばれ、あらゆる物理的な衝撃を無効化する。また、内部には護法妖怪の機能を支えるコアとなるユニットが複数存在し、一つでも残っていれば元の巨体に再生することが出来る。

※イザナミの衣
<接触した物体の霊的位相を強制転移させる事で攻撃エネルギーを亜空間に放逐する超空間ゲートであり、外部からの物理的な衝撃を完全に遮断する防御システム。しかし、防衛軍が切り札として放った超空間振動攻撃によってゲートが崩壊した為、消滅した。ライダーの攻撃が通じたのはこのため>




憑(つき)
 護法妖怪より、簡易に調達できる兵力として落天宗が開発した改造人間の一種。動物霊を人間に取り憑かせることで生み出した半獣人。狐憑きやライカンスロープ(狼男)等の現象を、システム化したものだと考えれば判りやすい。主に、人間の活動によって死んだ人間に対して強い情念を持つ動物霊に加工を施し、人間に組み込むことで生み出され、組み込まれた動物の生物的特性を反映した身体能力を持つ。素体となる人間に特性が求められる妖人とは異なり、理論上どのような人間にでも適応する事が出来る為、動物霊さえ調達できれば幾らでも生産することが可能。最も多いタイプは犬で、次いで猫。これは保健所などで年間数万頭以上処分している為、霊の調達が簡単なことと、犬は集団戦闘において、猫は奇襲・隠密戦闘において優れた性能を発揮するからである。また、稀にワニや虎などペットとして飼われていたが、世話しきれなくなり棄てられ、猛獣として処分された危険な動物が憑いた個体も存在する。




妖人(あやかしびと)
 別名「綾禍死人」
 人体に妖怪や悪霊を憑依させる事で、そのエネルギーを利用する事を可能にした改造人間の一種。システムとしてはGOD機関の神話改造人間に近く、妖怪や悪霊を実体化させる際に使用する咒符を人間の身体で代用したもの。科学技術が発展する以前は、特殊な鍛冶技法で呪詛を焼きこんだ金属片を身体の各所に埋め込んでいたが、現在では護法妖怪同様マイクロチップが代替しており能力や生産性が上昇している。埋め込み手術が終わったものは「黄泉の岩戸」と呼ばれる特殊なエネルギースポットで、其処に無数に漂う妖怪や悪霊の幽体と接触し、自身の身体に取り込み、魂を融合させることで妖人として転生する。その大半が、生まれながらに高い適性を持つ落天宗の中心的構成部族・「陽食(ひしき)一族」によって占められるが、別段厳正たる規律が有る訳ではなく、部外者の人間でも高い適正があれば洗脳などを施すことで妖人に生まれ変わらせることもある。
 妖人と成ったものは、通常は人間の姿だが、自らの意思により妖怪・悪霊の力を解放することで全身の身体構造をアストラルシフトさせ妖怪と人間の中間的な姿に変える能力を持つ。また、妖怪そのものが持つ特殊能力と、妖怪の力を利用した戦闘用の呪術を攻撃に使用する。全体的に高い攻撃能力を有するが、身体能力、ことに肉体の耐久能力は余り高くは無いようだ。更に、肉体の形状変化もそれほど激しいものではなく、体形そのものが大きく変化することは無いため、基本的に人間時の服装を維持したまま妖人に変身する。尚、妖人が死と共に爆発四散するのは、生体機能が停止した事により、体組織に呪力によって組み込まれた妖怪のエネルギーが解放され、物理的作用として最も単純なものである熱運動として現出し、瞬間的に発生した莫大な熱運動が有機物質を極めて速やかに化学反応させるためである。
 妖人単体に対して十体前後の護法妖怪が基本単位となって作戦行動を行い、妖人は術や特殊能力を使って後方から遠距離攻撃を行うのが基本戦術である。しかし稀に護法妖怪を除き妖人数名でユニットを組み連携攻撃を行うものもいる。
 基本的に融合した妖怪の名前で呼ばれる事は無く、自ら名乗る場合は「異名・称号+姓(例:地脈守の夏川)」、敬称や公称では「異名・称号(例:地脈守)」、同格・同輩間での呼び合いは「姓(例:夏川)」となっている。


特殊能力(とくしゅのうりょく)
 融合する妖怪の元来備える特性として持っている特別な力の総称。犬神の神通力を備えた鳴き声や、鉄鼠の無数の鼠を操る能力などがそれ。かつて妖人はこの能力のみを武器に戦っていたが、長い間、これのみに戦術を頼ったことで、あらゆる応用手段の対応策が立てられ、有効な攻撃手段たりえなくなった。そのため現在では目晦ましや小手先の技などに廃れてしまっている。しかし穏健派の中でも超保守派とよばれる部類の者たちは未だにこの能力のみを磨き続けている。


戦呪術(いくさまじない)
 特殊能力に代わる有効な戦術として研究・開発された実戦用の呪術の総称。本来、人の命を害するだけの威力を術に求めるには丑の刻参りをみても判る様に複雑な手順と手段を必要とするが、それを妖人の高出力で押し切ってしまっている。扱うエネルギーソースの違いにより陽食北家流と陽食南家流に分かれており、更に北家には水や氷を扱う壬式(いずのえしき)と風や稲妻を扱う癸式(みずのとしき)が、南家には炎と鉄を操る丙式(ひのえしき)と大地や植物を操る戊式(つちのえしき)がある。
 この術の完成は落天宗にとって大きな力となり、戦国時代既に力を失いつつあった陰陽寮と鬼神を一度は打ち倒すことに成功した。しかし、その後より大きな威力を求める開発競争が起こり戦呪術に傾倒し急進的に勢力を拡大しようとする過激派が生まれてしまった。


☆戦呪術全集(取り敢えず名前が出ているもののみ)

鋼球水(はがだまのみず)
 バレーボール大の超高圧の水の塊を発生させ、それをぶつける術。水球内部の圧力は深海1万メートルの水圧に匹敵し、あらゆる物を一瞬で砕く。

錐雨(きりさめ)
 水滴を無数の錐に変えて敵にぶつける技。殺傷力はさして高くないが、広範囲を掃射でき目晦ましに有効。

雷錨(いずちなえ)
 幾条も細かい稲妻を放つ術。威力は高くないが連続して当てれば一時的に痺れさせる事は出来る。

活水(いかしみず)
 内包する生命エネルギー量が通常の千倍近い治癒の水を発生させる術。水を浴びたものは、どのような種類の傷であれ即座に回復する。

白夢(しらゆめ)
 視界を遮断する霧の結界を発生させる。霧をなす水の粒子は術者によって操られており、上級者は粒子の対流を自在に操ることが出来る。

柔絶(やわらたち)“陽食北家流 壬式戦呪術奥義”
 呪力を莫大な量の水に変え、それを極めて強力な水圧で放射する術。非常に高い水圧は剛性や柔軟性を無視して確実に内部にダメージを与えることが可能。

纏夜行(まといやこう)
 周囲に電気を放射し、帯電させる術。攻撃用の術ではなく、その後に放たれる稲妻の術を強化するための術。応用によっては電磁誘導で物体の運動を操ることも可能。

巌割(いわおわり)“陽食北家流 壬式戦呪術 奥義”
 水を大業物より更に優れた刃に鍛え、解き放つ術。ダイヤモンドカッターの1万倍の威力があり、直撃すれば仮面ライダーの強固な生態装甲も一撃で切り裂くことが出来る。

不可視刃(しらぬみのは)
 真空を刃にしてぶつける術。気圧差により内部のものを飛散させる。

三連旋風(みつらねつむじ)
 三つの術からなる連続呪術。大きな風圧を以って敵を足止めする「薙槌(なぎづち)」、真空の周囲を超高圧の空気の層でコーティングすることで気圧差を大きくしその破壊力を高めた真空刃の術「巌刻(いわおきざみ)」、そして真空断熱で生まれた冷気をぶつける「凍枯(こがらし)」からなる。

桜木焔(さくらぎのほむら)
 炎を無数の粒子状に周囲に展開する術。粒子は殆ど推進能力を持たないが、一定時間空中に熱量を維持し、フレアーと同様の働きを持つ。

辰舞風(たつのまいかぜ)
 前方に向かって空気の渦を発射する術。切り刻むのではなく、抉る様な破壊力を持っている。

凍土垂水(いてつちのたるみ)
 地面などを媒介に超低温を伝導させ、水分の凝結によって対象を捕縛・凍結させる術。

土竜神槍(もぐらがみのやり)
 対象の足元の地面を隆起させ、呪力で土を鋭い槍に成型して貫く術。

下天狼(くだりてんろう)“陽食南家流 丙式戦呪術奥義”
 丙式の戦呪術の中では最高クラスの火力を有する術。天狼星の力を借りて摂氏5000度の火球を連続して生み出し敵に向かって叩きつける。

乱鬼灯(みだれほうずき)
 炎の弾丸を発射する術。炎の弾丸は一定の衝撃を受けると破裂して、無数の子弾を周囲に撒き散らす。

茨石檻(いばらいしのおり)
 特殊なワイヤーを地面から生み出し敵を拘束する術。ワイヤーは地中に含まれる炭素・珪素・金属をそれぞれ結晶化・精製し繊維状に束ねた複合強度を持つ強靭なもので、改造人間の膂力をもってしても容易に切断することは出来ない。

海千(うみせん) “陽食北家流 究極奥義”
 複数の術者の連携によってのみ使用可能な合成術。接触した物体を温度・熱量・比熱など無視して強制的に絶対零度まで冷却する特殊な呪力空間を形成しそれを打ち出す術。使用には更に呪文詠唱が必要になり、周囲に存在する水域の精霊=魍魎(もうりょう)が集結し、発動の際はオーラが女性・熊・鮫の形状を取る。

山千(やません) “陽食南家流 究極奥義”
 複数の術者の連携によってのみ使用可能な合成術。地面から引きずり出した巨大な自然石を、飲み込んだものと完全に融合するまで熱量を失うことが無い赤熱したマグマに変換し解き放つ術。発動の際には呪文詠唱が不可欠で、周囲に存在する山界の霊=魑魅(すだま)が集合し、それらが放つオーラが男性・鳥・大蛇の姿をとる。

空渡(そらわたり)“陽食北家流 癸式戦呪術奥義”
 風をまとい、任意の空間へ一瞬で移動することが可能な術。大量の兵員を目的地に直接送ったり、対象を遥彼方へ消し飛ばしたりすることが出来る。ただし激しく動いている物体を移動させることは不可能。



登場人物名鑑



☆主人公サイド

神野江 瞬(かみのえ しゅん)
 24歳。陰陽寮の実行戦力「鬼神」として妖怪や悪霊と戦う。幼い頃、実の父親から殺されかけるものの「赤い仮面のライダー」に助けられ、政府運営の保護養育施設で育てられる。その後、高い霊的素養を持っていたことから陰陽寮の特別教育カリキュラムを施され陰陽師となり、適正試験の結果、五十数年ぶりの鬼神に選ばれる。運動神経・頭脳共に優秀で、更に実父に殺されかけた経験を持ちながら記憶障害や精神障害に陥らず正確に東女の状況を把握できる強靭な精神力を持っている。幼い頃の経験からか、自分の行動の規範を任務や使命としており、自らの意思でその力を振るう事を強く戒めていたが、伊万里京二とであった後は彼の行き方や思考に感化し、自らの思いの為に彼と共に「仮面ライダー鬼神」として戦い始める。
 やや無口で冷静沈着に見えるが、極度の照れ屋で、赤面症。色恋沙汰の話になると直ぐに顔を真っ赤に染めてしまう。また、非常に解説や講釈が好きで戦闘中でも余裕があれば攻撃しながら解説するという荒業をやってのける。仮面ライダーセラフ=ジャンや聖歌と恐らく面識があるものと思われる。


伊万里 京二(いまり きょうじ)
 27歳。別段、佐賀県伊万里市出身ではない。城北大学超考古学研究室に籍を置く、若き天才考古学博士。考古学のみならず、様々な学問に深い造詣を持つ。日本における超考古学の第一人者である。「天才博士」の肩書きを持つが、本人は研究者としてよりも冒険者的な気質に満ち溢れている。また運動神経も優秀で、特にクレー射撃は国体で優勝する程の名手。筋力も発掘や調査作業で鍛えられており、外見よりも数段パワフルである。あと二十年早く生まれていれば改造人間になってもおかしくはなかった。ただし格闘経験は無い。
 細かい事を余り気にしない奔放な性格だが、嫌いなタイプの人間に対してはとことん嫌がらせをするタイプでもある。不屈の精神の保持者で、彼の選択しには「屈服」の二文字は存在しないらしい。女好きで、軟派な性格をしているが本人曰く、「女性には誠実」らしい。また、長々と説明するのが苦手で、ほんの少しの事でも説明を端折る癖がある。幼い頃、十一人の仮面ライダーに助けられたことがある。
 紅茶をこよなく愛し常にティーセットを持ち歩いている。煙草の煙を何より嫌い、苦いものが嫌いなためコーヒーは一切のまず、肝機能の高さからウオッカでも酔う事が出来ないため酒は飲まず、食べ始めると際限がなくなるので甘いものは摂取しない。講義などの関わりで、早瀬玲二や二宮瑠魅と面識があるらしい。彼の愛用するケースの中には、ティーセット、簡易発掘機材、研究用小道具、救急セット、約500グラムのプラスティック爆弾と特製の起爆信管、及びスーパーファミコンと数本のゲームソフトが入っており、緊急時に使用される。四十八のセクハラ技を持つ。曰く、「可愛い反応をするまで! セクハラを! 止めない!!」だそうで。


神崎 紅葉(かんざき くれは)
 陰陽寮の局長であり先代の鬼神。太平洋戦争最後の年に鬼神へと就任し一年間活動した後、自ら能力を封印し現役を離れた。その詳細は不明だが、彼女が最後に携わった旧日本軍が開発した人型兵器の封印に際して何らかの事故が有り、それによって負った心的外傷が原因であるらしい。ウェーブの掛かった銀色の髪をセミロングにし、縁の無い眼鏡をかけた上品そうな初老の女性の姿をしているが、実際には外見年齢よりずっと歳らしい。温和で丁寧な口調とは裏腹に皮肉屋。笑顔のまま痛烈な一言を投げかける。しかし、大部分が幼い頃に親を失った人間である陰陽寮の職員を我が子の様に思っており、戦いの場に送り出さねば成らない事に、常々心を痛めている。能力を封印したとはいえ、鬼神である事を放棄したわけではなく、記憶の一部が瞬と連動しており、意識すれば交感現象を起こすことも出来る。


★「エニグマ」或は「エニグマ」の離反者

高天 アベル(たかき あべる)
 秘密結社「エニグマ」の尖兵・ネクロドラグーンの人間時の姿。この名前は彼が他のネクロイドとは異なり、作戦上必要なとき以外でも人間の姿をとることを好む為、日本支部司令であるメルカトルより贈られたもの。カバーストーリー上ではドイツ系のハーフで戸籍は日本人、職業はフリーカメラマン。数あるネクロイドの中でも異質な存在で、改造人間としての選民意識や組織への帰属意識は薄い。逆に、職務遂行への義務感は非常に強く、目的達成のためならば人間的な感情を完全に廃する事が可能。しかし、悪乗りが過ぎる言動や自ら悪を標榜するふざけた態度などからそう見られることは少なく、同格のネクロイド達からは非常に嫌われている。だが、それらの言動は全て職務を楽しむ為の努力であり、また任務の完遂能力も非常に高いため、上層部からの信任は厚い。ピカレスクロマンに心酔しており、悪の美学に則った行いと真面目な人間をからかうのが趣味で、「エニグマ」日本支部副指令フリッツは最高の獲物。自分に良く似た気質を持つ伊万里京二と神野江瞬に個人として好意を抱き、手を貸したり助言を与えたりした。鬼神によって倒されるが、ネクロジェルフィッシュの手で蘇る。

ネクロドラグーン
登場話:仮面ライダー鬼神中編、後編復活編、後編決戦編
身長:200cm
体重:成体形態77kg、幼生形態213kg
武器:長顎アントニオ、イデアルデコイ、ハイブリットエクステリアなど

 蜻蛉の能力を持つネクロイド、ネクロドラゴンフライが更なる改造を受けて対仮面ライダー戦闘用として生まれ変わった。MRタイプの改造人間との戦いに於いて有効と考えられる様々な魔術機器が組み込まれている。一次装甲を分離することで総合的な防御能力に優れた幼生形態から超音速での空中機動が可能な成体形態へのモード変更が可能な他、伸縮性の槍「長顎アントニオ」や量産試作型戦闘バイク「ガルム」、生体反応擬装システム「擬装幽体(イデアル・デコイ)」などを装備する。また、ハードスペックに頼るだけでなく、特殊機能を応用した必殺技を編み出している。
 本来、ヴァリアント、セラフ抹殺命令に梃入れが入った場合の対応として造られた。
鳴き声:「シュファファファファ・・・・」

※長顎アントニオ
 柄の部分が伸縮することで極めて柔軟な攻撃範囲を持つ特殊な槍状の武器。基礎部分はネクロドラグーン自身の身体の一部であり、一種の触手ともいえる。その伸縮システムにはESP能力解析の途中段階で確立したエナジーコロイド理論により本来物質化に満たない低出力エネルギーを限定空間に固定し、フィールド展開範囲を制御する事であたかも固体物質が伸縮しているように見せているのである。最大伸張範囲は20cm〜50メートル。対呪詛処理が施されている。

※ハイブリッド・エクステリア
 仮面ライダーの、特に超物理的エネルギーを帯びた強力な攻撃の防御手段として組み込まれた着脱可能な一次生態装甲。固有振動数・剛性・弾性の異なる複数の層を複合し、表面に超物理的エネルギーを反射する対呪詛処置を施すことで魔力や神霊力、呪力等を反射防御する。また、一次装甲と二次装甲の間には衝撃緩和用の特殊液剤が満たされており、質量攻撃からも本体を保護している。内部には補助的な駆動システムも内蔵されているが、非常に大きな重量を有するため装備状態では動作が緩慢に成らざるを得ない。ネクロドラグーンの生体組織の一部分である為、分離すると他のネクロイドの死骸同様、黒い霧の様になって分解・蒸発し、また充分な時間と栄養を摂る事で再生することも可能。

※擬装幽体(イデアル・デコイ)
 偽の生体反応を空間上に投影する事で、仮面ライダーの怪人を感知する超感覚に誤認識を誘発させる特殊な擬装装置。本来は、実験・作戦の阻害を防止する為、文字通りデコイとして配置し、ライダーの到着を遅延させる事を目的としたものだが、未だ実験段階の域を出ず広範囲に投影することは不可能だが、投影領域を絞る事で弱点の隠蔽や、死の擬装を行う事が可能。ネクロドラグーンはこれと超高速機動を組み合わせることで、あたかも「消えた」様に見せることが出来る。

※ガルム
最高時速:430km
動力源:ブラッディドライブ
 北欧神話における冥府の番犬の名を持つバイク型戦闘マシンの量産試作型。対仮面ライダー戦闘用ネクロイド・ネクロドラグーンの使い魔的存在。職人芸により、半ばワンオフ的な形で造られたバーゲストに比べ、量産化を前提に設計が成されているため総合的な性能はバーゲストに劣り、またギズモの装備は見送られている。使用されている人工知能も一段レベルの低いもので、バーゲストほど柔軟な思考は出来ない。しかしネクロドラグーン自らの手によってサスペンションを中心にカスタマイズが施され、アクロバティックな動作においてはバーゲストを上回る。やはり通常のバイクへの擬態能力を持ったモトクロッサータイプ。ネクロドラグーンの持続的な機動力の確保を目的とした装備である。バーゲストとは異なり炎を弾丸の様に射出する事も可能。

※必殺技
・スパークファランクス
ガルムに乗って疾走しながら、前方に向かって連続で突きを繰り出す技。凄まじい槍衾に晒されたものは一瞬で血の飛沫に変わる。
・ヘルファイアーストーム
ガルムに火炎放射と、高速ローリング機動を行わせながら敵に突進する技。炎の竜巻に巻き込まれれば、焼き尽くされながら粉砕される。
・スターダストドラグーン
超高空から超高速で急降下し、一撃を繰り出す技。その際、イデアルデコイによって完全に気配を絶ち、完全に不意を撃つ様にして放たれる。あらゆる加速が加えられたアントニオの穂先は重装甲タイプのライダーすら易々と切り裂く。
・デュアルブレット
超高速で回転させながら突きを繰り出し、更にインパクトの瞬間、槍を伸張させることで物体に衝撃を完全に伝導させ粉砕するネクロドラグーンの究極奥義。
・ハリケーンウェイブ
槍を超高速回転させながら敵陣に突進する技。本来一対多数の先頭を主眼に置いた技だが、鬼神との戦いでは飛礫を遮る為に盾として使用した。





水無月 沙耶(みなづき さや)
 元「エニグマ」の女ネクロイド、ネクロジェルフィッシュマザーが、自身が死んだ際に復活の為の器と成る様用意していた少女の名前。元は都内に住む女子中学生だったが、同級生の執拗な虐めを苦に富士の樹海で自殺しようとしていた(実際に首を吊ってぶらさがる寸前だった)所をネクロジェルフィッシュマザーにかどわかされ、取り憑かれた。水無月沙耶の記憶は吸収され、現在は完全にネクロジェルフィッシュ本人である。現在、彼女は何事も無かったように中学校に通い、水無月沙耶を虐めいていた連中に対して再起不能寸前まで恐怖を味あわせ屈服させている。通常は、高校受験を控える普通の女子中学生を演じているが、休日は都内某所にある然る有限会社に足を運び、そこでアルバイトのようなものをしているらしい。ネクロジェルフィッシュ自身の性格は、明るくノリが軽いが、命に対する執着心は非常に強く、また命に見切りを付けるものに対して激しい怒りを発する。また、根暗や陰険な策略を巡らせる事を非常に嫌い、「エニグマ」に所属していた時から「エニグマ」内に漂う空気を非常に嫌っていた。また、自身の製作者であるメルカトルにも生理的な嫌悪を覚えており、組織に属していた頃から旨く離反する方法を考えていたらしい。

ネクロジェルフィッシュ
登場話:仮面ライダー鬼神後編決戦編のおまけ
身長:165cm
体重:46kg
武器:電撃触手、毒触手、スレイブオブタワー

 水母の能力を持つネクロイド。内部が透けて見える柔軟性のボディを持ち、粘液上の腕、頭部からは無数の触手を生やす。触手は電撃を放つものと、毒針が仕込まれたものがあり、敵の耐性に応じて使い分ける。また、その身体は非常に高い柔軟性を有する為、あらゆる衝撃を吸収し、また切断されても即座に修復する優れた治癒能力を持つ。最大の特徴は「スレイブオブタワー」と呼ばれる生態端末を生み出す能力で、これによって生み出された生態端末「ベイビィジェル」は人の頭部に取り付くと電磁パルスを発してその行動を操ることが出来る。語られなかった戦いにおいてヴァリアントと戦い、バーゲストの放った炎にさえ耐えたが、ギズモの放つ超高周波によって体内の水分が沸騰し、柔軟性を失った所にレパラシオンキックを受けて倒された。
鳴き声:「フュルルルル・・・」

児玉 鳴海(こだま なるみ)
 ネクロシケイダの人間形態時の名前。ネクロドラグーンやネクロジェルフィッシュとは異なり、彼は余り人間の姿をとらない。だが、その二人同様彼もまたネクロイドの中でも変り種の一人で、極度の博愛主義者。しかし気が弱く意思が薄弱の為、命令が下ればたとえ感情が許していなくても恐怖に負けて任務を遂行してしまう。しかし、任務の先で出会った不治の病に冒された少女に一目惚れした事から遂に命令に反した行動をとり、一度は処刑される。しかし、彼のキャラクターに目をつけていたネクロジェルフィッシュによって極秘裏に再生処理が施され蘇る。現在はネクロジェルフィッシュと共に怪人専門の有限会社に勤め、その少女の治療費や学費などとして足長おじさんのように仕送りをしている。


ネクロシケイダ
登場話: 仮面ライダー鬼神後編完結編のおまけ
身長:215cm
体重:166kg
武器:鎌、ニードルマウス、デッドリィボイス、トレーディングドライアド 

 蝉の能力を持つネクロイド。腕には斧の様な鎌を持ち、針の様に尖った口吻で敵の体液を吸い取る。また、強力な破壊音波である「デッドリィボイス」は、人の脳のみを破壊するネクロクレインの殺人音波とは異なり、純粋に巨大な音を発生させて周囲の物体を破壊する。更に「トレーディングドライアド」と呼ばれる特殊な魔術兵器を装備し、これは植物の持つ生体エネルギーを吸収し自身の力とする機能を有している。欧州における「エニグマ」最大の敵対組織「バルハラ財団」が進めるバイオマスエネルギー計画に打撃を与えるべく投入されたが、命令を無視した事によりネクロマンティスによって処刑された。
鳴き声:「ジィジィジィジィジー・・・」


◎落天宗

黒畑 仁(くろはた ひとし)
 鉄鼠(てっそ)の妖人。怒涛蝕の黒畑。
 本編中素顔は明らかにならなかったが、白井が頭でっかちと言及したとおり、やや頭が大きく小柄な体躯をしている。超保守派に近い穏健派。純粋な日本人でありながら片言で喋るのは幼い頃に患った病によって声帯が上手く働かない為。その為か、やや卑屈な性格をしている。笛を吹くのが好きで、夜に一人で吹いていたらしい。洋の東西に問わずその腕は絶品だったらしく、隠れファンが組織内に多数いたようだ。

>妖人・鉄鼠としての能力
鉄の前歯を持つ大鼠を召喚し、それを操る特殊能力を持ち専らそれを主軸とした戦法を組み立てる。一応、戦呪術を使用することは可能で、地面から毒ガスを噴霧させる術を操るが、発音に問題があり正確に発動させることが出来ない為、実戦で使用することは皆無。主に陽動作戦を得意とし、自身を含めた大きな戦力に敵の意識を集中させた後、僅かな伏兵で不意を打つ戦法を好んでとる。


白井 修(しらい しゅう)
 水虎の妖人。妖人のコンビ・阿吽雷雲の“雲”の字。
 二十歳前後の美しい容貌と青みを帯びた長い黒髪をもつ青年。穏健派。一般の妖人の中でもトップクラスの実力を有し、強力な戦呪術を多数使用することが出来るため、幹部候補の筆頭格と言われている。基本的に藤堂正輝とコンビを組むことが殆どで、彼らの二つ名は、絶妙かつ強力な連携攻撃を由来としている。また、藤堂正輝のことを単なるパートナーとして以上に大切に思っており、その異様な関係性・性癖は実力を併せて落天宗の若い男女を恐怖させている。温和かつ自信たっぷりの口調で喋る。「誘い受け」

>妖人・水虎としての能力
水流や霧など、水を操る呪術を多数有し、藤堂との連携で変則的且つ強烈なダメージを敵に与える。また、両手の爪は任意に伸張させることが可能で、3cmの鉄板を寸断する切れ味を持っている。ただし、あまり近接格闘戦は得意ではないらしく、後方からの遠距離攻撃や支援を行うことが多い。また、治癒の術も習得している。


藤堂 正輝(とうどう まさき)
 雷獣の妖人。妖人コンビ・阿吽雷雲の“雷”の字。
 14〜16くらいの、中性的な容貌を持つ美少年。穏健派。コンビを組む白井とは戦闘におけるパートナー以上の関係性にあり、彼を兄と呼んで慕っている。一般的な判断力しか持たない人間にはその関係性の全貌を把握することは出来ない。年齢より更に幼い雰囲気の口調で喋る。意外と「攻め」

>妖人・雷獣としての能力。
電撃を放射して敵を攻撃する術を得意とし、白井との連携によって更にその威力を高めることができる。また、戦呪術と体術を組み合わせた必殺技を習得しており、近接格闘術にも造詣が深い。全身を覆う体毛は常に一定の電圧を帯び、ある程度の攻撃ならば弾くことが出来る。
・迅雷脚
放電しながら繰り出す旋風脚。放電によるスパークギャップ現象で接触したものを切り裂くことがある強力なキック。


霧崎 雄吾(きりさき ゆうご)
 鎌鼬の妖人。
 吊上がった目と、痩せた体形がヒステリックでサディスティックなイメージを沸き立たせる青年。過激派。幼い頃、その優れた才能から神童と呼ばれていたが、それを鼻にかけ慢心し、極度の自信過剰に陥っている。落天宗の鼻つまみ者。他の者たちは自分の優れた才能を妬んでいる、と哀れな勘違いをしている。幼い頃に習得した強力な術を幾つも使用できるが、心力の鍛錬を怠っているため、その威力は高くない。

>妖人・鎌鼬としての能力
真空や旋風等、空気を操る術を多数習得しているが、術の発現に重要となる精神力が弱いため、見た目は派手だが呪術的な破壊力は低い。だが、本人はそれに気付いていない為、術一辺倒の戦闘を行う。腕からは鋭い鎌が生え、しりからは有毒で可燃性の高い煙幕ガスを噴霧することが出来る。


三木咲 誠也(みきさき せいや)
 犬神の妖人。斬嶽刀の三木咲。
 鋭い眼差しをした長身の男。武士の様な剣呑な雰囲気を発する。穏健派。落天宗最高幹部・祭司の一人でありリーダー格。また、菱木村の村長でもある。大祭司に対する忠誠心と、祭司としての義務感が非常に高く、その献身的な働きから同僚や部下の信頼は非常に厚い。しかし、少々熱くなりやすく、怒りによって我を忘れてしまうことも多い。かつて陰陽寮との戦いで父母と妹を亡くし、また実の息子も祭司の一人だったが、物語が始まる以前に鬼神によって倒されている。妻もいたが、現在は離縁している。
 かつて、中国にわたった際、神仙が鍛えたと云う山をも断ち割る剣「破山剣千火(はざんけんせんか)」の試練を突破し、見事手にしたらしく、それを鍛えなおした剣・斬嶽刀の名を二つ名としてとっている。
>妖人・犬神としての能力
 強力な炎を操る術とともに、炎を纏った格闘術を習得している。また、その遠吠えには神通力が宿っており、強力なテレキネシスウェーブに転換して敵に叩きつける事が可能。また、祭司のほかの三人との連携攻撃も研究を重ねており、凄まじい力を誇る合成術を繰り出すことも可能。しかし、その最大の戦力は斬嶽刀を用いた剣戟による。斬嶽刀を使用することは即ち自らの命を燃やす事だが、その破壊威力は死を懸けるに充分なものである。

・烈火流星脚
 炎を纏い、後方から放出しながら急降下し、キックを繰り出す技。

※斬嶽刀
 古代中国の仙道によって鍛えられたと言われる伝説の宝刀、一振りで山をも断ち割ったと言われる剣、「破山剣(はざんけん)」の一本、「千火」を三木咲が自らの手で鍛え直したもの。本来の千火は仙道の無限に等しい魂のエネルギーをゆっくり燃焼させて炎を灯す剣だったが、三木咲の手で使用者の魂を急速に燃焼させる魔剣へと造り替えられた。一度、引き抜けば持つものの魂は一瞬で炎と化し、魂が完全に尽き果てるまでその炎は消え去ることはない。鬼神との決戦の際の切り札として投入された。

◎斬嶽刀による必殺技
・斬嶽刀 鉄風雷火(ざんがくとう てっぷうらいか)
 剣を振りぬくと同時に炎を撃ち出す技。直撃すれば山さえ抉る威力を持つ。
・斬嶽刀 流星弾(ざんがくとう りゅうせいだん)
 一度、斬嶽刀を鞘に収め、刀身から噴き出す炎の圧力で砲弾の様に斬嶽刀を打ち出す技。
・斬嶽刀 大火輪(ざんがくとう だいかりん)
 斬嶽刀をブーメランのように旋回させて、攻撃する遠距離攻撃用の技。三木咲は流星弾をフェイントに、この技で鬼神に痛打を与えた。
・必殺 斬嶽刀 大文字斬り(ひっさつ ざんがくとう だいもんじぎり)
 横薙ぎ、袈裟、逆袈裟の三連撃によって敵に送り火の炎を描き出す、三木咲の最強必殺技。描かれた大文字は敵を黄泉へと送り届ける。
・斬嶽刀 精霊流し(ざんがくとう しょうろうながし)
 今は亡き親しき者の力を借りて放たれる剣。



月野 修造
 天狗の妖人。硝子の風の月野
 中肉中背の体躯をした青年。やや、軽いノリをしている。穏健派。祭司の一人であり、祭司の中では最も高い術能力を持つが、大抵サポートに回ることが多いため、その実力が発揮される機会は少ない。基本的に他のメンバーの押え役である。また青年会会長とその内部組織である村興し委員会委員長及び秋祭り執行部長を務め、大の祭り好きでもある。硝子風の異名は、他のものをサポートすることで自身の戦いの色をガラスのように染め替えることが出来ることから。

>妖人・天狗としての能力
大気を制御する術を習得しているが、その大部分が直接攻撃型の呪術でなく後方支援に適したものである。少ない攻撃用の術も出が早く連発し易い中〜低威力のものが殆ど。しかし反面、その特殊能力は非常に強力な威力を持ち、単独でも鬼神に対抗できるといわれているが、広範囲にわたって大規模な被害が発生し、彼が個人で前線に出て行くことは少ないため、使用する機会はほとんど無い。


霜田 涼音(しもだ すずね)
 雪女の妖人。極光公主の霜田。
 長身で、細面の美しい容貌をした女性。祭司の中の紅一点。常に柔和な笑みを欠かさず、同胞に対して深い慈しみを抱く一方、敵には容赦ない苛烈な性格をしている。穏健派。菱木村の婦人会会長を務めており、女性妖人のリーダー的存在でもある。元は夫の在る身だったが鬼神によって倒された後は未亡人を貫いている。その夫はかつての祭司の一人で三木咲の息子であり、そのため三木咲を義父と呼ぶ。

>妖人・雪女としての能力
水に属する術の中でも特に氷や吹雪など冷気を操る術を得意とする。また、「極光の羽衣」と呼ばれる彼女がまとう薄布は、それ自体が強力な断熱作用を有しており、敵に絡めつけると即座に凍結させてしまう事が可能。また、「雪ん子」と呼ばれる式神を展開する能力も備えている。しかし、その最大の武器は「霜田流氷精剣」と呼ばれる呪術と剣術を合成した殺人剣であり、その余りの威力に通常は魔剣として封印されている。


夏川 十六郎(なつかわ じゅうろくろう)
 大鯰の妖人。地脈守の夏川。
 小太りで浅黒い肌の初老の男。如何わしい雰囲気を醸し出す髭とぎょろぎょろした目つきが特徴。穏健派。通常は穏やかで、祭司の知恵袋的役割を果たすが、講釈好きで説明が長いの。しかし、ここぞと言う時の決断力は年の功も合って優れている。四人の祭司の中では唯一先代の鬼神と戦った経験を持ち、その際に右腕を切り落とされたため、現在では機械性の義手をつけている。老人会の副会長でもある。

>妖人・大鯰としての能力
 大地を媒介とする術を得意とし、地震や地割れ、地中の成分を抽出し加工するなど極めて多彩な応用範囲を有する。また、デンキナマズの様に皮下組織が発電・蓄電層となっており敵から受けた稲妻を吸収することも可能。更に長く伸びた髭は自在に操ることが出来る強力な鞭でもある。そして、最大の能力は地脈と融合して大地震を起こす能力を持ち、実行するとマグニチュード7クラスの大地震が広範囲で発生する。


菱木 辰蔵(ひしき しんぞう)
 龍の妖人。大祭司。
 落天宗の首領を務める謎の老人。菱木辰蔵の名は、大祭司そのものを指す名前であり、代が変わる毎に先代から次代へと受け継がれてきた。現在は五代目。その名前は「陽を食らう竜の臓物」を意味し、彼らは名と共に“根源たるもの”が現世に降臨する際にその依り代となる「竜の心臓」を受け継いできている。彼ら菱木辰蔵の至上目的は“根源たるもの”を復活させる事にあり、落天宗が掲げる文明社会の粛清や世界征服は建前に過ぎない。感情の起伏は殆ど存在せず、淡々とその目的を進める。
 その声色からサルに似た怪盗がライバルだと噂されているが、真相は定かではない。

>妖人・龍としての能力
 龍はあらゆる自然の驚異の顕現である為、あらゆる術を使いこなす事が出来る。また、口からの吐息攻撃(ブレスアタック)は町を一瞬で消滅させ、尾の一振りで雷雲を呼ぶと言われ、その能力は想像を絶するが、実際に目撃したものは存在しない。二度と日の目を見る機会は無いのだが。


その他の人物

神野江 惣一郎(かみのえ そういちろう)
 神野江瞬の実父。表向きは生物工学の権威だった。「全ての生き物には役割がある。その役割を一生懸命果たすために生き物は生きている」という思想を半ば信仰のように抱き、それは幼少時の瞬の人格形成に極めて大きな影響を与えた。その正体はバダン残党の怪人、フクロウロイド。正体を知った瞬を殺害しようとしたが、それは目撃者が親類であっても確実に始末する・・・という秘密結社独特の冷酷な秘密主義によるものだけでなく、闇に関わり汚れた人生を歩むよりは死を与えた方が幸せである、という一種の歪んだ愛の形だったようだ。偶然駆けつけた赤いマスクの仮面ライダーによって倒され、絶命する。


赤いマスクの仮面ライダー(あかいますくのかめんらいだー)
 神野江瞬が幼い時分に助けられたと言う仮面ライダー。赤い仮面で顔を覆い、アクロバティックな空中殺法で瞬を襲った怪人=瞬の父親を倒したらしい。即ち、彼女の命の恩人であると同時に、父親を殺した仇でもある。政府の保護養育施設に引き取られるまでの短い時間、瞬は彼と生活を共にしていた。「アオ」、「行動隊長」、「流離のヒーロー」、「宇宙刑事」、「参謀長」、「本部長」などの複数の肩書きと名前を持ち、世界中のあらゆる防衛機関に対し大きな影響力を持つといわれている。また、一説には「パーフェクトサイボーグ」でその身体は「ボロボロ」と噂されているが、同一人物を指しているのかは定かではない。


戻る

inserted by FC2 system